ソフトウエア名 | PYTHIAN(ピュティア) |
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発売元 | Studio e.go! |
ジャンル | ファンタジー・シミュレーションRPG |
特典 | CDストッカー |
備考 | 成人向け(18歳未満購入禁止) |
価格 | ¥8,800 |
ソフトウエア名 | 時の異邦人 |
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発売元 | AGREE |
ジャンル | ファンタジー・シミュレーションRPG |
備考 | 一般向け |
価格 | ¥4,800 |
ストーリー
革命の首都ヴァルムーン。
回収屋のヒルトと自称・霊工学の権威ディーテは、革命の士ヴォルフラムに取り入り、太古の文明をたどることとなった。ディーテは、自らの欲求を満たすために。ヒルトは、喪失した己の過去と、その記憶の糸を手繰るために。
ある日、遺跡を巡っていたヒルトとディーテの前に、ピュティアという名の少女が現れた。生まれながらにして呪われた運命を背負うピュティアは、その運命から逃れるために、ヒルトの命を奪うという。
過去を失ったヒルトと、呪われしピュティア。革命と、太古の文明によって翻弄される運命の行き着く場所は、はたして……?
ゲームの概要
18禁版と一般版が出ています。ジャンルとしてはファンタジー・シミュレーションRPGと謳われているんですが、ほとんどビジュアル・ノベルです(詳しくは後述)。やたら戦闘の少ない『ファーランド』をギャルゲーにした感じでしょうか。『キャッスルファンタジア〜聖魔大戦〜』よりも戦闘ははるかに少ないです。
18禁版のエロはオマケ程度で、「エロはちょっと……」という人でもそんなに問題ないようです。まあ、そういう方は一般版が出ているのでこちらをどうぞ(安いし)。内容はほぼ同一ですが、一部CGの差し替えとイベントの追加があるようです。
Studio e.go!作品としては『キャッスルファンタジア〜聖魔大戦〜』の次にあたりますが、戦闘システムがビジュアルも含めて大幅に進歩しています。比べ物になりません。軽快性がなくなってしまいましたが、恰好いいです。
グラフィック☆☆☆☆☆
原画は、『ファーランド』シリーズ(TGL)や『キャッスルファンタジア』シリーズ(Studio e.go!)でお馴染みの、山本和枝さんです。イベントシーンの1枚絵は、観賞モードで100枚以上あります。ちょっと少ないかもしれませんが、1枚1枚のクオリティが『キャッスルファンタジア〜聖魔大戦〜』より高いです。美麗CGを堪能してください。
戦闘シーンのビジュアルは、かなり完成度が高いと思います。
操作性☆☆☆☆
戦闘はマニュアルを読むと複雑なんですが、実際にやってみると簡単です。マウスで軽快に操作できます。このあたり、『キャッスルファンタジア〜聖魔大戦〜』よりも随分と洗練されていますね。
戦闘シーンは、もはやタクティカルRPGの定番となった、擬似3Dのクオータービューです。ただし、高さの概念はありません。
音楽☆☆☆
オープニング主題歌が恰好良いです。音楽面全般、なかなかいい線いってると思うんですが、以下の理由でちょっと困りました。
SEもBGMも全てWAVEなんですが、人の声は録音レベルが高すぎて、ボリュームを下げてもうるさいです。WAVEエディタで波形を見たら、完全にレベルがオーバーしてました。おかげで、音が割れてしまいます。
あと、ボイスはありません。ご注意ください。
どうでもいいことかもしれませんが、戦闘でのピュティアの声が可愛くない……(あうぅ
シナリオ☆
マルチ・ストーリーですが、ストーリー分岐はエンディングに影響しません。要するに、東京から大阪へ行くのに自動車を使うか新幹線で行くかという違いでしかないです。エンディングは2つ、「みんなエンド」と「ピュティア・エンド」です。
個々のミニ・ストーリーはそこそこ面白いんですが、ヒロイン(?)であるピュティアの扱いがよくわかりませんでした。ピュティアの絡んでるストーリーというのが前半ちょろっとあって、あとはそこにいるだけ……という感じ。なぜに『PYTHIAN』なのやら。最初、ヒルト(主人公)の命を狙ってたと思ったら、いきなり仲間になって親しげだし。いや、展開としてはいいんですけど、やたら文章を書き並べてビジュアル・ノベル化してるくせに、かんじんのヒルトとピュティアが互いを受け入れるシーン(えっちい意味じゃないです)がすっこーんと抜けてるんですね。とっても戸惑ってしまいました。重要な場面だと思うんですけどねぇ。全体的に、かゆいところに手が届かないというか、キャラクターの魅力をイマイチ感じられません。エンディングも……これはちょっと非道すぎるかも。少なくとも、私は納得できませんでした。
戦闘が少ない分、作業量も少ないです。でも、テキスト読むのに疲れます、はい。
難易度☆☆
戦闘の難易度は、まあ普通かやや簡単という程度です。しかし、回数が少ないですね。1回あたりの敵の数も少ないですし。せっかく戦闘システムは上手く作ってあるのに、ちょっと勿体ない気がします。バランス調整して作り込めば、かなり面白くなったと思うんですが。
全体評価☆
ビジュアル以外で見るべきところがないです。シミュレーションRPGとしては、RPG部分の作り込みが足りないです。かと云って、ビジュアル・ノベルとして評価しても、描写がわかりにくいとかいろいろと問題があって、点数の付けようがありません。『キャッスルファンタジア〜聖魔大戦〜』がかなりいい出来だったんで期待したんですが、完全に裏切られました。
あと、ギャルゲーだから仕方ないのかもしれませんが、女の子に道具屋で買った物を何の脈絡もなくプレゼントして信頼度を上げるというシステムは、つくづく呆れ果てました。いくらなんでも、これは非道すぎます。ファンタジー・シミュレーションRPGですか? 冗談じゃないという印象です。
というわけで、あまりお薦めできません。ストーリーは見ようによってはそこそこ面白いので、山本和枝さんのCG目当てと割り切ってしまえば、それなりには楽しめると思いますが……。
結局、制作側は、何を作りたかったんでしょうねぇ……という困った作品です。せめて、RPGを作りたいのかアドベンチャーを作りたいのかビジュアル・ノベルを作りたいのか、そのへんをはっきりしてほしかったです。しょせんギャルゲー、されどギャルゲー。『キャッスルファンタジア〜聖魔大戦〜』が面白かった分、納得できないものが残りました。