そんな中、千葉から「葬儀に行っていいか」と相談を受けた。当時ナンバー2だった岡田茂(後の社長)に確認したところ、答えはノー。
そこで翌72年、二人っきりでギリシャ・エーゲ海行の船上結婚式を行い、「週刊明星」に独占取材させた。さらに発売日に合わせて、カラー写真入りの「結婚報告状」を全メディアに送った。
さらに94年の離婚では、野際が福永の自宅に駆け込んだ。千葉と親しい福永を頼って、「離婚を渋る千葉に離婚届にサインをさせて」と。福永は離婚届の証人欄に印鑑を押したうえで、芸能レポーターの鬼沢慶一と話し合い、ホテルでの離婚会見を演出した。
「宣伝マンがそこまでやるかと社内でも言われた。でも、そこまで役者に食い込まないと…。宣伝とはそういうもの」。彼流のプロモート術だった。 (敬称略)
■福永邦昭(ふくなが・くにあき) 1940年3月17日、東京都生まれ、76歳。63(昭和38)年、東映に入社。洋画宣伝室や宣伝プロデューサー、宣伝部長、東映ビデオ取締役を経て、2002年で定年退職。一昨年、「日本元気シニア総研」に参加し、研究委員、シニアビジネスアドバイザーの資格を取得。29日に講演「シニア世代のアプローチ法・プロモート術」を渋谷区総合文化センターで開催。問い合わせは同総研((電)050・5533・3100)