鎌田安利、吉田純子両死刑囚の刑執行
法務省は25日午前、1985〜94年に大阪市の小学3年の女児(当時9歳)ら女性5人が殺害された警察庁指定122号事件で死刑が確定した鎌田安利死刑囚(75)=大阪拘置所=と、看護師仲間による福岡連続保険金殺人事件で死刑が確定した吉田純子死刑囚(56)=福岡拘置所=の死刑を執行したと発表した。岩城光英法相が命令した。執行は昨年12月以来約3カ月ぶり。第2次安倍政権発足(12年12月)以降では9回目で、計16人が執行された。
確定判決によると、鎌田死刑囚は87年1月、大阪市住吉区の路上で、わいせつな行為をしようと女児を誘拐、騒がれたため絞殺したほか、85〜94年に金銭トラブルなどから当時19〜45歳の女性4人を殺害し、遺体を山林に捨てるなどした。
鎌田死刑囚は捜査段階で5人の殺害を認めたが、公判では「知人が殺し、遺体の遺棄などを手伝った。自白は警察官に強要された」と無罪を主張した。1、2審で死刑を言い渡され、最高裁も2005年7月、被告側の上告を棄却した。確定から執行までの期間は10年8カ月だった。
看護師だった吉田死刑囚は看護師仲間3人(うち2人は有罪が確定、1人は1審判決前に病死)と共謀するなどし、98〜99年に仲間の夫2人を殺害、死亡保険金計約6700万円をだまし取るなどした。
弁護側は「吉田死刑囚は首謀者ではない」などと死刑回避を求めたが、最高裁は10年3月、「事件を発案、主導して仲間を操り、得た利益のほとんどすべてを取得した」として、1、2審の死刑判決を支持した。確定から執行までの期間は5年11カ月だった。
再審開始決定を受けて釈放された元プロボクサー、袴田巌元被告(80)を除くと、確定死刑囚は124人となった。【和田武士、山下俊輔】
法相別の執行命令数(1993年の再開以降)
法相 在任期間(年・月) 執行人数
後藤田正晴(92・12〜93・8) 3
三ケ月章 (93・8〜94・4) 4
永野茂門 (94・4〜94・5) 0
中井洽 (94・5〜94・6) 0
前田勲男 (94・6〜95・8) 5
田沢智治 (95・8〜95・10) 0
宮沢弘 (95・10〜96・1) 3
長尾立子 (96・1〜96・11) 3
松浦功 (96・11〜97・9) 7
下稲葉耕吉(97・9〜98・7) 3
中村正三郎(98・7〜99・3) 3
陣内孝雄 (99・3〜99・10) 3
臼井日出男(99・10〜00・7) 2
保岡興治 (00・7〜00・12) 3
高村正彦 (00・12〜01・4) 0
森山真弓 (01・4〜03・9) 5
野沢太三 (03・9〜04・9) 2
南野知恵子(04・9〜05・10) 1
杉浦正健 (05・10〜06・9) 0
長勢甚遠 (06・9〜07・8) 10
鳩山邦夫 (07・8〜08・8) 13
保岡興治 (08・8〜08・9) 3
森英介 (08・9〜09・9) 9
千葉景子 (09・9〜10・9) 2
柳田稔 (10・9〜10・11) 0
仙谷由人 (10・11〜11・1) 0
江田五月 (11・1〜11・9) 0
平岡秀夫 (11・9〜12・1) 0
小川敏夫 (12・1〜12・6) 3
滝実 (12・6〜12・10) 4
田中慶秋 (12・10〜12・10)0
滝実 (12・10〜12・12)0
谷垣禎一 (12・12〜14・9)11
松島みどり(14・9〜14・10) 0
上川陽子 (14・10〜15・10)1
岩城光英 (15・10〜) 4
※仙谷氏は官房長官兼務