組み体操 46年間で9人死亡 92人に障害

組み体操 46年間で9人死亡 92人に障害
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学校の組み体操の練習中などにこの46年間に9人が死亡し、障害が残った子どもは92人に上ることがスポーツ庁の分析で分かりました。スポーツ庁は安全を確保できない場合は組み体操を行わないよう全国の教育委員会などに通知しました。
学校の組み体操で子どもがけがをする事故が相次いでいることから、スポーツ庁は対策を検討してきました。
スポーツ庁が、日本スポーツ振興センターのデータをもとに分析したところ、組み体操の練習中などに起きる事故は年間8000件を超えていて、昨年度までの46年間に9人が死亡、障害が残った子どもは92人に上ることが分かりました。また、昨年度の事故8592件のうち、最もけが人が多かったのが「タワー」と呼ばれる技で14.4%、次いで「倒立」が13.6%、「ピラミッド」が13.2%でした。
けがをした子どもがどの位置にいたかを分析すると、「タワー」では中段が最も多く46%、「ピラミッド」ではいちばん下の段が44%を占めましたが、どの位置でもけが人は出ていました。
スポーツ庁は安全が確保できない場合は組み体操を行わないことや、体格差の大きい小学校高学年では特に慎重に検討すること、それに低い段数でも重大な事故が起きることを教員に周知徹底するよう25日、全国の教育委員会などに通知しました。
国として組み体操を一律に禁止したり段数を制限したりしないことについて、スポーツ庁学校体育室の八田和嗣室長は「子どもたちの一体感が生まれるなど教育的効果も指摘されている。学校が安全を最優先に考えながら主体的に判断してほしい」と話しています。

馳文科相「緊張感持って対応を」

馳文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で、「学校や学校長には安全配慮義務という厳しいことばが課されており、組み体操を行うのであれば、より緊張感を持って対応してもらわなければならないという思いを込めたつもりだ」と述べました。そのうえで、馳大臣は「組み体操は学習指導要領に明記されていないものの、運動会の種目として高い教育的価値があると評価したい。ただ、より周到な練習期間や計画、配置を踏まえて行ったほうがよいと思うし、子どもの大事な体を預かっているという緊張感を持って取り組んでもらわないといけない」と述べました。