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ubuntuBSD登場
SourceForgeに「ubuntuBSD - The power of FreeBSD kernel with familiarity of Ubuntu OS」が登場しました。Jon Boden氏が取り組んでいるプロジェクトで,現在の構成はUbuntu 15.10 Wily WerewolfのカーネルをFreeBSD 10.1カーネルに置き換えたものが提供されています。現在配布物はベータの段階にあるとされ,amd64(x64)版のISOインストールイメージが提供されています。
インストーラはテキストベースで,インストールするとXFceで構成されたデスクトップ環境が起動してきます。ブート領域はUFSですが,それ以外の領域にはZFSを選択することができます。デスクトップ環境としても利用できますが,サーバ構成でインストールしてサーバとして活用することもできるとされています。
ubuntuBSDに関してはSoftpediaに掲載された記事「Meet ubuntuBSD, UNIX for Human Beings - It brings full ZFS integrations and the Xfce desktop」に内容が簡潔にまとまっています。
LinuxディストリビューションにFreeBSDカーネル
LinuxディストリビューションのカーネルだけをFreeBSDカーネルに置き換える取り組みはこれまでいくつかありましたし,LinuxカーネルにFreeBSDやNetBSDのパッケージ管理システムを組み合わせるといった構成もありました。いろいろなものがありましたが,ubuntuBSDに近いところでは「Debian GNU/kFreeBSD」などが挙げられます。
LinuxディストリビューションがFreeBSDカーネルを採用する理由はいくつかあります。理念に基づくものであったり,ただの興味本位だったりします。理由はさまざまですが,こうした取り組みはこれまでその後の継続的な解決には結びついていないというのが現状です。
大元になっているLinuxディストリビューションはLinuxカーネルを利用することを前提にしていることが多くLinuxカーネル固有の機能を使う必要があったりして追いかけるのが大変になったり,FreeBSDプロジェクトやFreeBSDベースのディストリビューションが提供しているサービスと比較しても中途半端な状態になりやすいからです。
そして最も大きな理由は,開発を主導している開発者が興味を失ったり開発にかける時間がなくなることで,自然と話題に上らなくなるというものです。
UbuntuとZFSをめぐるこれから
ubuntuBSDもこれまで登場した似たようなプロジェクトと同じ道を辿る可能性がありますが,タイミング的には納得しやすいときにでてきたプロジェクトと言えます。
Canonicalは来月にリリースを予定しているUbuntu 16.04でZFSをデフォルトでサポートする旨を発表しました。LinuxディストリビューションでZFSを採用することはこれまで多くのユーザが望んできましたが,これまではライセンスの問題から採用されることはありませんでした。Linuxカーネルが採用しているGPLv2とZFSのCDDLはライセンスが相容れないとされています(しかしこの議論は最終的に法廷で議論する必要があるのではないかとされており,本当に衝突するものなのか明らかになっていません)。
Canonicalは法律的に問題がないと判断しZFSの搭載を発表したのですが,発表後にSoftware Freedom Conservancyが異議を唱え,Ubuntu 16.04に搭載されるのか,または今回は無理でも将来的なバージョンで搭載されることになるのか不透明な状況です。CanonicalとしてもZFSの採用はコンテナ技術の活用において利用する価値があるとしており,なかなか状況がまとまらないといった雰囲気があります。
そこでubuntuBSD
であれば,カーネルだけFreeBSDカーネルに置き換えればUbuntuの機能を使ったままZFSも利用できるじゃないか,という考えもでてきます。ubuntuBSDはその点でタイムリーです。すでにDebian GNU/kFreeBSDでこうした構成が可能であることは示されていましたので,実現もそれほど難しくはなかったでしょう。
ubuntuBSDが今後発展していくのか,これまでの似たようなプロジェクトと同じような運命を辿ることになるのかは今後の開発者と,もし産まれるのであればそのコミュニティの活動次第ということになると思いますが,タイムリーでおもしろい取り組みであることは間違いないと思います。
話題になっているZFSを使ってみたいけれど,PC-BSDはちょっと……という方は,一度ubuntuBSDを試してみるとよいかもしれませんね。
FreeBSD勉強会 告知
第51回 4月14日(木) 19:00~ FreeBSD 10.3R / 11.0 新機能紹介
2016年3月末または4月の値には安定板の最新バージョンとなるFreeBSD 10.3-RELEASEのリリースが予定されています。さらに今年の夏となる7月末または8月には,次期メジャーアップグレードバージョンとなるFreeBSD 11.0-RELEASEのリリースが予定されています。FreeBSD 11.0-RELEASEには現在の10系にはバックポートされていない魅力的な機能がたくさん用意されており,リリースが楽しみなバージョンです。
第51回目となる今回はFreeBSD 10.3-RELEASEの登場のタイミングに合わせて,10.3-RELEASEの新機能を紹介するとともに,11.0-RELEASEで登場が予定されている新機能や変更点を先取りして紹介します。最近のFreeBSDがどうなっているのか,最新版に移行しようかどうか迷っているので詳しく内容を知りたい,そんな方向けの勉強会です。
参加申請はこちらから。