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 法務省は25日、女性5人を殺害した鎌田安利死刑囚(75)と、連続保険金殺害事件の吉田純子死刑囚(56)の死刑を執行したと発表した。執行は昨年12月以来、約3カ月ぶり。2014年12月の第3次安倍政権発足以来、3度目で、12年12月の自民党への政権交代後では9度目、執行されたのは計16人となった。

 確定判決によると、鎌田死刑囚は1987年に大阪市住吉区で帰宅途中だった小学3年の女児(当時9)を誘拐して自宅に連れ込み、首を絞めて殺害したほか、85~94年にかけて、主婦やスナック店員ら当時19~45歳の女性4人を殺害した。殺人罪などで99年に大阪地裁で死刑判決を受け、最高裁で確定。大阪拘置所で刑が執行された。

 吉田死刑囚は、福岡県久留米市の元看護師4人が98~99年に、静脈に空気を注射するなどの方法で4人のうち2人の夫を殺害し、保険金をだまし取った事件で、04年に福岡地裁で死刑判決を受け、10年に最高裁で確定した。福岡拘置所で執行された。女性の死刑囚の執行は、1950年以降で5人目。

 法務省によると、死刑が執行されていない収容中の確定死刑囚は、これで124人となった。

 昨年10月に就任した岩城光英法相にとっては2度目の執行で、執行された死刑囚は計4人となった。岩城法相は昨年12月、裁判員裁判で確定した死刑囚を含む2人に死刑を執行。09年5月に裁判員制度が始まって以来、市民が判断に加わった死刑囚への執行は初めてだった。前回の執行後の会見で岩城法相は「死刑判決は極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に裁判所が慎重な審理を尽くして言い渡すもの。裁判所の判断を尊重し、法の定めに従って慎重かつ厳正に対処すべきだと考えている」と話していた。(金子元希)