作業に集中したい時であればあるほど、音楽に頼りたくなることがあります。例えば、周りの音を遮って作業に没頭したい時は「ヘッドホンで耳を塞ぐ」。気分を盛り上げたいなら「ノリノリのBGMを流す」とか。
でも、もし間違った聴き方をしていたら…。ここでは「Quarts」に掲載された音楽と作業効率の関係性を紹介。
01.
【勉強中】
“好きな歌手の唄を聴く”
→集中できなくなる
歌詞って頭に入ってきちゃいます。思い入れがあるなら尚更でしょう。たとえ静かな音楽でも、脳は作業と音楽の両方から情報を得ており、同時に処理する必要があります。そのため、作業パフォーマンスを低下させる可能性が高いと考えられています。
とくに新しい物事を吸収するための複雑な作業をする際は、むしろあらゆる刺激をシャットアウトしたほうがベター。調べ物や勉強をしているときに周りがうるさい場合は、抑揚のないアンビエントなどで騒音を遮断すると良いかも。
02.
【単純作業中】
“適当な曲を流している”
→好きな楽曲のほうが◎
前述した場合とは反対に、情報処理の負荷が少ない単調な作業をしているときには、思い入れのある曲を聴いたほうが“ノッてくる”のだとか。
「アメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)」によれば、ロックやクラシックを聞いている人の、画像、文字、数字に関する認識がより速くなることがわかりました。
組立作業をしている労働者を調査した結果、音楽を聴いている人のほうがより幸福感を感じており、作業も効率的に。さらに、失敗の数も減ったと「Science Direct」に発表されています。
また、米国医師会が発行している媒体「Journal of the American Medial Association(JAMA)」には、クラシックを流して作業した外科医の方が、より正確に作業を行うとの研究結果が。
03.
【問題解決中】
“テンポを上げる!”
→BPMは50−80が最適。
具体例を挙げると、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの『Under The Bridge』が、BPM82。かなりゆっくりしている印象です。
音楽性やジャンルの利点を「Spotify」と共同研究した「The British CBT & Counselling Service」のEmma Gray博士は、「Digital Trend」にこうコメント。
「心を落ち着かせた上で、集中力・想像力・注意力を向上させるには、BPMが50-80の間であることが重要です。学習にも最適。ちなみに、ロックは右脳に働きかけて人を感情的にさせます。学生がクリエイティブを学ぶ際の雰囲気作りにいいでしょう」。
調査結果についてGray氏は、音楽ジャンルよりも、テンポが大きな役割を示しているとも。これについて「Quarts」は、より深い没入感を生み出してフロー状態を生み出せると書いています。
04.
【共同作業中】
“会議室は静かに”
→BGMで協調性がUP!
集中できる無音状態も時と場合によっては逆効果に?神経科学者でミュージシャンのJamshed Bharuchaは、音楽を流したほうがより人と人が“シンクロできる”と言います。それを裏付けるかのような「ドイツ国立学術財団」の調査による結果も。
子どもたちを2組に分けて「お片づけ」をさせたところ、一緒に歌いながら作業をしたグループのほうが協力的だったそうです。とくにお気に入りの音楽を聞くと、ドーパミンが分泌されるため、ワクワクするような「やる気と喜び」を感じられるのだとか。
たとえば、会議を盛り上げるためにみんなが好きなBGMをかけるというのも一つの手と言えるのでしょうか。雰囲気は変わりそうですよね。
つまり、以上のことをまとめるとこんな感じ。
・勉強中:クラシック、インスト、完全な無音。 ・単純作業中:聴いていて幸せになれる楽曲。 ・問題解決中:BPM 50-80で、歌詞が少ない楽曲。 ・共同作業中:作業の種類に合わせたBGMをかける。
たしかにそうだなと思えるところはありますよね。参考にしてみては?
Reference:Red Hot Chili Peppers
Licensed material used with permission by Quartz