(英エコノミスト誌 2016年3月19日号)

欧州最大のロッテルダム港、大規模拡張を公開 総工費約4000億円

オランダ・ロッテルダム(Rotterdam)港の拡張計画「Maasvlakte 2」の公式なオープンを記念してロッテルダム港を航行する帆船(2013年5月22日撮影)。(c)AFP/ANP/BAS CZERWINSKI〔AFPBB News

欧州最大の港は世界経済のバロメーターだ。

 いわゆる世捨て人でなければ、この世界では誰もが、ロッテルダムの港を通過したモノを所有したり消費したりしている。

 同港の2015年の取扱貨物量は4億6600万トンで、欧州第2位のアントワープにダブルスコア以上の差を付けた。通過する貨物のサイズと中身は絶えず変化しており、世界経済の状態を示す指標を瞬時に与えてくれる。

 また、この港での作業の方法の大きな移り変わり――自動化と化石燃料からの脱皮――は未来も感じさせてくれる。

 大西洋からやって来る大きな船にとっても、内陸から川を下ってくるバージ(はしけ)にとってもアクセスしやすいため、ロッテルダムは近代史の大半を通じて欧州随一の港の座にあり続けた。

 港の成功は人の手によって作り出された。19世紀半ば、ドイツのルール地方で工業化が進んでいたときに、ロッテルダムの人々は、市街を流れるマース川とライン川とを結ぶ水路を掘り、欧州の工業の中心地から北海に出られる航海ルートを生み出したのだ。

 ロッテルダムの港はそれ以降、世界経済と足並みをそろえて進歩してきた。20世紀の半ばには、第2次世界大戦後の好況期に必要な物資を供給するために石油や化学薬品を扱ったり貯蔵したりする施設が新たに造られた。

 1990年代から2000年代にかけてグローバル化が加速したときには海に向かって拡張され、スニーカーや液晶テレビをアジアから積んで来る超大型の貨物船に停泊するスペースを提供した。

 そして今日、この港は、世界経済を形成する4つのトレンドを如実に表している。