無料対話アプリのLINE(東京・渋谷)は24日、今夏をメドに格安スマートフォン(スマホ)事業に参入すると発表した。料金を月500円からに抑え、同社の対話アプリを使う際のデータ通信を使い放題にする。格安スマホはイオンやケーブルテレビ大手などが販売を始めており、市場が拡大している。LINEの参入で競争が一段と激しくなりそうだ。
月額500円のプランでは、音声通話や動画視聴などの機能がある同社の対話アプリにデータ通信量の上限を設けず、使い放題にする。交流サイト(SNS)のフェイスブックとツイッターも無制限で使える。NTTドコモから回線を借りてサービスを提供する。
SNSを使って動画を見る人は、データ通信量がすぐに上限に達し、見られなくなってしまうことも珍しくない。LINEのスマホなら追加課金や通信速度の制限を気にしなくてすむ。
調査会社のMM総研(東京・港)によると15年9月時点の国内のスマホ契約数は7237万件。LINEを使う人は6800万人に達している。このままではLINEの利用者数の上積みは望めない。舛田淳取締役は「国内の携帯の半分はまだスマホになっていない。既存のスマホ利用者も料金に不満がある」と話し、格安スマホで新市場を開拓する考えを示した。
LINEは「格安スマホ事業だけで黒字にできる」とみている。使い放題にして顧客に同社のアプリを長時間利用してもらえば、広告収入や有料サービスへ加入する機会が増える効果を見込める。ただ、同様のサービスが他社も含めて普及すれば回線への負担が増し、通信会社が対応を迫られる可能性も出てくる。
格安スマホ市場には異業種企業が相次ぎ参入し、安さやサービスを競い合っている。イオン傘下のイオンリテールは2月からデータ通信だけで月額480円のプランを選べるようにした。ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(JCOM)の格安スマホは月額2980円で、自社の動画配信サービスの通信を無制限に使える。格安スマホの契約数は15年9月末に405万回線で、17年3月末までに9割増えるとの予測がある。