巨人の投手4人の野球賭博や数々の金銭にからむ問題に揺れているプロ野球のシーズンが、きょう開幕する。

 一連の問題にかかわる調査はまだ続いている。全容解明は果たされておらず、ファンの疑念も払拭(ふっしょく)されてはいない。

 日ごろから安易に金銭がやりとりされる風土は、賭博や八百長へと発展するおそれがある。さらに反社会的勢力と関係がつながることも許されない。

 選手、関係者は真剣なプレーをファンに披露するだけでなく、長年続いたあしき金銭文化を根絶するシーズンとしなくてはならない。

 日本野球機構(NPB)は、選手が自分から違反を申し出れば処分を軽くするという期限つきの措置を検討している。

 NPBの調査には強制力がなく、真実にたどり着くまでの壁は厚い。自主申告を促す措置は問題の全容をあぶりだすための苦肉の策とみられる。

 だが、ここまで選手の間で日常化していた金銭問題の根深さを考えれば、もっと根本的な対策が必要だろう。

 開幕直前の今週もまた、新たな金銭のやりとりが明らかになっている。高校野球を舞台にした賭けやくじなど、いくつもの球団で次々と発覚した。

 しかし、いずれも野球協約違反にはあたらないとして実質的な処分をしていない。

 高木投手と巨人のほかの選手1人は、違法と見られる闇スロットに出入りしていたが、球団は厳重注意しただけだ。

 これらについても毅然(きぜん)とした態度を取るべきだ。コミッショナーは全球団に対し、賭博が刑法により処罰されることを選手に認識させるよう求める通達を出したが、その程度では同じ事態が繰り返されかねない。

 12年に関西の社会人野球のチームで、高校野球や競馬を対象にした部内賭博が明るみに出た。告発する投書が会社へ届き、社内調査が行われた。

 この野球部は日本選手権予選への出場を辞退し、半年間の対外試合禁止となった。警察にも報告し、単純賭博容疑で部員18人が書類送致されている。

 法令順守は当然のこと、社会のルールや倫理に反する行為をしない。プロ野球界に必要なのは、徹底した意識改革だ。野球協約が不適切な行為を見逃してしまうのならば、それを不処分の理由にするのではなく、協約の見直しを検討すべきだ。

 コミッショナーをはじめ、プロ野球に身を置く全員が球界浄化への強い意志を持ち、このシーズンに臨んでもらいたい。