米連邦準備理事会(FRB)の金融政策決定者の中から突然、インフレ見通しを巡って議論が持ち上がった。複数のメンバーが、早ければ4月にも利上げを議題に取り上げようとしている。
フィラデルフィア連銀のパトリック・ハーカー総裁は23日、経済は速く立ち直っているとしてFRBに利上げを実施するよう呼びかけた。同氏の発言の前には、他の3人のFRBメンバーが、イエレン議長のハト派姿勢と対照的な発言をしている。イエレン議長は先週、利上げ期待の縮小が金融市場の沈静化につながったことを認めている。
FRBは2015年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げしたが、その後は据え置いている。また、今年の利上げは、メンバーたちが前もって予想した利幅の半分ほどにとどまることを示唆する一連の見通しを発表した。
イエレン議長は、物価変動の大きいエネルギーと食品を除いた最近のコアインフレ率が1.7%上昇したという重要性を大げさに取り上げなかった。FRBは、全体的な物価が今年末に1.6%、また17年には徐々に上がって1.8%となり、目標の2%に達するのは18年になると見込んでいる。
■「インフレ率さらに上昇の可能性」アナリストら
イエレン議長の論調は、ウォール街のアナリスト調査と異なるばかりか、コアインフレの上昇に自信を持ったと今月発言した、サンフランシスコ連銀のジョン・ウィリアムズ総裁のような人物とも異なる。
ウィリアムズ氏とアトランタ連銀のデニス・ロックハート総裁は、ハーカー総裁と同様に今年投票権を持っていないが、4月の利上げは検討すべきだとも語っている。一方、カンザスシティー連銀のエスター・ジョージ総裁は「3月利上げ」に投票した。
スタンレー・フィッシャー副議長は今月初旬、インフレ率の加速を示す兆候があると指摘した。
失業率が今年、07年11月以来で最低となる4.7%に下がる見通しであることに加え、アトランタ連銀が公表する経済成長率の見通しが第1四半期にちょうど2%を切ると見ていることから、多くのアナリストは今年インフレ率がさらに上昇する可能性があると主張している。
クレディ・スイスのジェームス・スウィーニー氏は、国内の指標はFRBのハト派の動きを正当化できないと主張し、「インフレが加速すると見込むだけの単純な理由が多数ある」と述べた。