相続した不動産を売却しようとしたら、不動産やさんが・・・
「古い抵当権がついていますねー」
「ファッ!!??」
と、登記簿をよくよくみてみると、長期間放置された抵当権の登記が、たしかにありました。明治(大正昭和)時代に債権額を100円(100万円ではないです)として登記されているものでした。みたいなストーリーです。
このような古い抵当権を、俗に「休眠担保権」といいます。
この古い抵当権の登記をどのように消すのか?についてご説明したいと思います。今回は、抵当権者が個人の場合に限定して(住宅ローンのイメージで金融機関が抵当権者になることは、イメージしやすいかと思われますが、もちろん、お金を貸した個人も抵当権者にはなれます。昔、100円を貸されたのです。)ご説明いたします。
債権額を現在の価値に換算する必要はありません
これは、いちおう結論だけ。後に司法書士が請求する手続きの報酬および立替実費の中に、現在の価値に換算した債権額が入ってくることはありません。
まず検討する、比較的簡便な手続きとしての、供託による抹消手続き
供託という手続きは、その中に、いろいろな種類があるのですが、今回の供託手続きは、供託所という機関に、お金を 債権額の「弁済」として預かってもらうという手続きです。
理屈としては、抵当権のもととなる債権が「弁済」で消えたら、抵当権は、自動的に、消えます(ただ、抵当権の登記は自動的には消えません!)。とりあえず、抵当権の登記を消したい!ということを今やっておりまして、今回の手続きは、抵当権の登記を消す手続きに、抵当権者を関与させなくて済むという点で、普通よりだいぶ簡便なんだ、というものです。
そして、供託する金額(預かってもらうお金)の元金は、先ほどご説明したとおり、先ほどの例でいくと、100円です。それにあわせて元金100円に対する現在までの利息・損害金は、あわせて払い込まなくてはなりませんが、それでも5000円前後で収まるのがふつうです。これに、別に司法書士報酬その他の実費(登録免許税など)が手続きにかかる費用となります。
供託による抹消ができない場合
そんな感じでできるんなら、いいじゃん!ということなのですが、そうは問屋がおろしませんで、供託による抹消ができない場合があります。これは、抵当権者の相続人がいらっしゃることが判明している場合です。
このときは、原則どおりの方法で消すことになります。
原則どおりの方法としての、抵当権者の相続人全員を相手方として、裁判をする方法
これが、なかなか古い抵当権が消せずに残っている理由となろうかと思います。費用がかかりすぎる、というですね。
抵当権者の相続人の調査、これがなかなか大変です。
通常、被告(抵当権者の相続人)の人数は、多くなります。
原則どおりの方法としての裁判は、裁判であるがゆえに、形式的にではあれ、反論の機会を与えることが必要となります。要するに、裁判所からのお手紙が届く状態でないと、手続きがはじまらないといったことになります。
被告のうち、数名が所在不明といったことはよくあります。
このような場合、裁判所からのお手紙が届かないために、裁判が始まらないということを防ぐために、裁判所の前の掲示板などに,訴状その他の送付物を掲示する方法を使うこともあります。
できないことはないのですが、大変だ、というですね。
こちらの場合、債権が時効消滅したという主張をすることが多いかと思います。理屈としては、債権が時効消滅したならば、抵当権は自動的に消えます(ただ、抵当権の登記は自動的には消えません!)。勝訴判決までゲットできれば、あとは、抵当権者の関与がなくても、抹消の手続きはできます。
判決による抹消の場合に気をつけること
時効消滅の原因日付までに発生している抵当権者の相続登記は、入れる必要がある!という。この見積もりまで、計算しておかないとという、これは忘備録ですね。
まとめ
古い時代の抵当権を消す方法は、いちおうあります。ただ、簡便な方法が使えない事案の場合、時間と費用が、かかります。
法律で、もっと簡単な方法をつくっていただけると助かるのですけどね・・・
とりあえず、今日はこれまでっ。
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