宮城・石巻市 大川小を震災遺構で保存で調整

東日本大震災の津波で児童ら84人が犠牲になり保存か解体か議論が続いている宮城県石巻市の大川小学校の旧校舎について、石巻市は震災遺構として保存する方向で国と調整を進めていることが分かりました。石巻市は、来週、結論を公表する方針です。
宮城県石巻市の大川小学校では震災の津波で児童と教職員合わせて84人が犠牲になりました。大川小学校の旧校舎を巡っては「教訓を伝えるために保存すべきだ」という意見と「見るのがつらく解体すべき」という意見があり議論が続いていて、去年、市が行った住民の意向調査でも「一部保存」または「全部保存」という回答が市全体で過半数を占める一方、地元の大川地区では逆に「解体」が過半数を占め、意見が分かれています。
これについて石巻市は、犠牲者を悼む鎮魂の場所であり、震災の教訓を伝承し将来の防災にも役立つなどとして、震災遺構として保存する方向で国と調整を進めていることが分かりました。石巻市は津波と火災の被害を受けた門脇小学校の旧校舎についても保存したい考えで、保存費用の問題などについて国と調整を進め、来週、この2つの学校について結論を公表する方針です。
震災遺構を巡っては、宮城県南三陸町の防災対策庁舎でも保存か解体か意見が分かれ、震災から20年間、県が維持・管理することになったほか、岩手県大槌町の旧役場庁舎は、地元の高校生や町議会が時間をかけて議論するよう求めて年度内の解体という方針が見送られるなど、各地で議論が続いています。