自治体の4割 20年後は介護職員の確保困難か

人口減少が深刻になるなか、経済産業省はおよそ20年後の2035年には、介護職員の確保が難しくなるおそれがある自治体は全体の4割の700余りになると推計したうえで、ロボットの導入などで介護現場の効率化を図るべきだなどとする内容の報告書をまとめました。
経済産業省は、今後の介護サービスの在り方について専門家の研究会で検討した内容を報告書にまとめました。
この中で、団塊の世代が85歳以上になる2035年に、介護が必要になる人の数と、労働者に占める介護職員の割合から、福島県を除く全国1682の市区町村ごとに、介護職員を確保できるかどうかを推計しました。
その結果、介護職員の確保が難しくなるおそれがある自治体は、働く世代の減少が見込まれる地方都市や過疎地などで573、東京23区など都市部でも142と、合わせて全体の43%に当たる715の自治体に上るとしています。そのうえで報告書は、対策として高齢者を赤外線を使って見守るシステムや、食事や移動を支援するロボットなどの導入で、介護現場の効率化を図るべきだとしています。
介護人材を確保するため、国はすでに介護現場への地域の高齢者の参加や、いったん職場を離れた介護福祉士の再就職を図っていますが、今回の報告書は関連機器の積極的な導入も促す形になっています。
これについて研究会のメンバーで国際医療福祉大学の高橋泰教授は「介護の担い手が少なくなることを前提に対策を考えざるをえない時代になった。サービスの質を落とさないためには、機器を導入して生産性を上げ、働き方を変えていくことが大切になってくる」と話しています。