登録 : 2016.03.24 09:01 修正 : 2016.03.24 14:27

23日、ソウル鍾路区の監査院で行われた「戦力支援物資獲得不正の機動点検」に対する監査結果の発表で、関係者が徹甲弾防弾性能試験で前面だけを貫通した防弾板(右)と完全に貫通した防弾チョッキを指している=連合ニュース
先端防弾服の開発に成功しておきながら
「軍マフィア」のロビーで事業取り消し
サムヤンコムテックに独占供給権を与える

退役将軍7人含む予備役29人
賄賂受けとり情報提供した後に天下り
サムヤン化学のロビイストとして活動

 国防部が28億ウォン(約2億7千万円)かけ開発した最先端の防弾服が、防衛産業メーカー「サムヤンコムテック」のロビーで事業が取り消され、同社に約2700億ウォン(約260億円)に達する一般防弾服の独占事業権を与えていた事実が明らかになった。昨年、「貫通する防弾服」を生産して問題になったサムヤンコムテックが属すサムヤン化学グループは、6年間で予備役軍人29人を系列会社などで採用し、ロビイストとして活用した。そのうち「高級公職者の再就職倫理規定」を破り偽装就業した退役少将が7人含まれていた事実も確認された。

 監査院は23日、国防部や防衛事業庁など5機関を対象に防弾服などの戦力支援物資獲得での不正を点検し、これらの事実を確認したと明らかにした。監査院の監査結果によると、国防部は28億ウォンかけ徹甲弾を防げる液体防弾服の開発に成功し、各軍に2012年から普及することを決めた。液体防弾服は、北朝鮮が2006年に戦車や軍艦を貫通させるため開発した徹甲弾を普及させているという情報に対応し、軍当局が2007年から開発に着手したものだった。

 液体防弾服の開発事業は、2011年10月に軍戦力支援物資の調達業務を総括する国防部1級公務員のK氏の指示で突然中断された。陸軍少将出身のK氏は当時、サムヤンコムテック所属の退役軍人の請託を受け、徹甲弾を阻止できない“新型”の多目的防弾服の研究開発事業を推進した。サムヤンコムテックは北朝鮮のN小銃の普通弾防御性能を新型防弾服の評価基準に盛り込むよう請託し、K氏はこれを受け入れた。当時、国内で該当小銃の普通弾を保有するのはサムヤンコムテックしかなかった。さらにK氏は、特定業者に独占供給権を与える方向に事業方式を変え、サムヤンコムテックにこの情報を与えた。結局、サムヤンコムテックは2012年の研究開発業者に選ばれ、2014~2018年に1284億ウォン(約123億円)相当の供給契約を獲得。2019~2025年に1492億ウォン(約143億円)相当の防弾服の供給権も保障された。

 実際に国防部は、2014~2015年にサムヤンコムテックから約3万5200着(約260億ウォン=約25億円)の一般防弾服を購入し、国外の派兵部隊に支給した。監査院が昨年6月に実験すると、この防弾服は徹甲弾が完全に貫通することが分かった。

 サムヤンコムテックから約4000万ウォン(約384万円)を受け取っていたK氏は、妻が同社の系列会社に偽装就職して給料を受けとる形をとった。元陸軍佐官級将校は、同社に国防部の内部情報を流した見返りに5100万ウォン(約490万円)を受け取り、その後、同社理事に採用された。陸軍士官学校教授だったD氏は、サムヤンコムテックに試験用弾薬534発を無断搬出して提供し、虚偽や防弾試験成績書を発給する代わり、1億1000万ウォン(約1千万円)相当の株式を受け取りサムヤンコムテックの研究所長に就任した。今回の不正と直接関連性はないが、K氏の前任で国防部1級公務員を務めたR氏も、陸軍将軍を退役した後、サムヤン化学工業に一時就職した事実が明らかになった。

 監査院は元将軍3人、佐官級将校5人、公務員2人とサムヤンコムテックの3人など13人に対し、検察に捜査を要請し、捜査参考資料を提供した。公職者倫理法による就業審査を回避した9人に対しては、公職者倫理委に通知した。監査院がサムヤンコムテックの防弾服独占供給権を取り消すよう通知したことに対し、国防部は「関連企業を不正業者として制裁し、研究開発確認書の発給を抹消する案を検討する」と明らかにした。

キム・ジウン、キム・ジンチョル記者

多目的防弾服事業不正事件の概要//ハンギョレ新聞社

防弾服不正のサムヤンコムテック
催涙弾で荒稼ぎして急成長

 軍との“黒い取引き”で防弾服の不正を行ったサムヤンコムテックは、1980年代に催涙弾で荒稼ぎしたサムヤン化学グループの系列会社だ。武器・銃砲弾の製造業を業種として登録しているが、主に防弾服や防弾ヘルメットなどを生産して軍に納品している。

 サムヤン化学グループの母体として1975年に設立されたサムヤン化学工業は、1979年に防衛産業メーカーに指定された後、催涙弾を生産して全斗煥(チョンドゥファン)・盧泰愚(ノテウ)軍事政権期に急成長した。同社の会長ハン・ヨンジャ氏は、1987年にサムスンや現代グループの経営者らを引き離し、個人納税1位を記録するほどだった。大手企業の初任給が40万ウォンだった当時のハン会長の所得税は28億ウォンだった。

 サムヤン化学の軍事政権との“コネクション”は、1996年の元大統領の秘密資金事件の調査過程で明らかになったこともある。1987年の大統領選挙直前、ハン会長の秘密資金100億ウォンが、全斗煥大統領に渡った。1993年の「栗谷不正」の事件の時も、ハン会長は収賄容疑を受けた。

 サムヤン化学は1989年の国政監査で催涙弾の製造中断を宣言した後も、防衛事業を維持してきたが、今回の防弾服不正の主犯となるサムヤンコムテックをはじめ複数の系列会社に将官級の退役軍人が勤め、「軍マフィア」の温床との指摘を受けてきた。監査院の監査結果、サムヤンコムテックなどサムヤン化学関連企業に2008年2月から2014年5月まで携わった退役少将ら陸軍の元将校は29人になる。彼らが軍とサムヤン化学をつなぐ核心的な役割を果たしてきたという。

キム・ジンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-03-24 01:27

http://www.hani.co.kr/arti/politics/administration/736594.html訳Y.B

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