日本は世界一の“老舗大国”だという。その中でも特に古い、500年以上の歴史を持つ「超・老舗企業」を紹介。その持続可能な経営の秘密とは!?
“目の届く範囲”の商売を800年継続『通圓』
~(京都府宇治市)1160(永暦元)年創業~

【現在の通圓】軒先が長く、お茶に日が当たらないよう北向きに建てられている
鵺(ぬえ)退治で有名な源頼政の家臣・古川右内が、隠居後に「太敬庵通圓政久(たいけいあんつうえんまさひさ)」と名乗り、宇治橋東詰に庵を結んだことに始まる宇治茶の老舗。その後代々「通圓」の姓を名乗って橋守となり、道ゆく旅人にお茶をふるまうようになった。日本で最も歴史のある茶商だ。
⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1024487(一休和尚作の茶筅と茶碗をもつ「初代通圓」木像と、豊臣秀吉が千利休に命じて作らせた釣瓶)

一休和尚作の茶筅と茶碗をもつ「初代通圓」木像と、豊臣秀吉が千利休に命じて作らせた釣瓶。秀吉が茶の湯に使う水を宇治川からくみ上げるという大役を、10・11代目が仰せつかった際に使用した
7代目通圓は一休和尚と親交が厚く、8代目は足利義政の同朋衆茶坊主として仕え、10・11代目は豊臣秀吉とも茶の湯を通じて関わりが深い。徳川家康や伊藤博文もここを訪れている。
「もう800年続いているのだから、その真ん中にいると思って、この先800年続けるつもりで仕事をしています。持続可能な経営のカギは、昔も今も広げすぎないこと」と、24代目当主の通円祐介氏は語る。通圓のお茶は、デパートや他店舗での扱いはない。
「長年信頼いただいている品質や味を保つために、目の届く範囲で商売をしたいのです」(通円氏)
通円氏は大学でお茶の淹れ方を教えたり、冷茶の淹れ方を
ブログで紹介するなど、お茶を淹れて飲む文化の普及に力を入れている。
「お茶を日常的に飲む人が増え、生産者や地域が元気になってくれなければ、茶商も長く続けることはできませんから」(同)
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日本最古の生産地としての伝統と生産技術の高さで有名な宇治茶。煎茶は70~80度に冷ましたお湯でゆっくりと淹れるのがおすすめ。
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通圓一番人気の「あおい」は80g缶入りで税別2000円
店舗では、お茶の販売だけでなく喫茶店も併設していて、宇治川を眺めながら抹茶の甘味や茶そばを食べることができる。
宇治駅前にある店舗は「駅前が寂しくてはいけない」と、年中無休で営業。町に活気を与えている。

江戸時代までは宇治橋の架け替えと一緒に建て替えられていた通圓の建物は、1672(寛文12)年に建てられた。
【通圓】
京都府宇治市宇治東内1番地
電:0774-21-2243
http://www.tsuentea.com/
営:9:30~17:30(電話での注文は月~金曜10:00~17:00) 年中無休
京阪電鉄宇治線宇治駅前・JR奈良線宇治駅徒歩7分。周辺には平等院、宇治上神社などがある
― 創業500年以上の日本企業 ―