日本は世界一の“老舗大国”だという。その中でも特に古い、500年以上の歴史を持つ「超・老舗企業」を紹介。その持続可能な経営の秘密とは!?
「会社の主役は職人」代々受け継ぐ熟練の技術『塩瀬総本家』
~(東京都中央区)1349(貞和5)年創業~

塩瀬饅頭は、すべて職人の長年の勘と腕で作られる。
「日本の饅頭の元祖」と言われる塩瀬総本家の始祖・林浄因は、1349(貞和5)年に中国の元朝から日本に帰化。肉などを詰めた中国のマントウ(饅頭)をヒントにして、肉食が許されない僧侶のために小豆を煮詰めて甘味と塩味を加えた餡を作り、宮中に献上した。

日露戦争(1904~’05年)の頃、数寄屋河岸(現在の有楽町)にあった塩瀬総本家
以来、天皇家や公家、将軍家、宮内省など上流階級の人々に向けて、660年以上にわたって代々饅頭を提供し続けてきた。一般庶民が食べられるようになったのは戦後になってからだ。34代目当主の川島英子会長はこう語る。
「塩瀬の饅頭は『薯蕷(じょうよ)饅頭』といって、中国の宮廷料理がルーツ。皮は小麦粉ではなく、大和芋と米の粉を使っているんです。これまでは高級和菓子として一部の方だけに向けて饅頭を作っていましたが、今は多くの方に食べていただけるようになりました」
その製法にレシピはなく、「職人の感覚がすべて」だという。
「気温や湿度によっても皮の具合は違ってきます。代々技術を受け継いできた職人の技が頼り。20年程度ではまだまだで、30年以上続けてやっと本物の職人と呼ばれるくらい、鍛錬を積まなければできない仕事です。塩瀬がこれだけ続いているのは、職人が技術を継承してきてくれたおかげ。会社の主役は職人です。オーナーは職人が技術を継承していく手助けをする“脇役”なのです」(川島会長)
⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1024340
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厳選した国産大和芋をすりおろし
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皮を練り、味・香り・色を整え
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皮であんこを丁寧にくるむ
【塩瀬総本家】東京都中央区明石町7-14 電:03-3541-0776
https://www.shiose.co.jp 松屋銀座店、高島屋日本橋店、大丸東京店など、首都圏を中心にデパートなどに出店。ネット通販も行っている

現在は中央区明石町に移転。本店の1階では塩瀬饅頭など各種和菓子を買うことができる
― 創業500年以上の日本企業 ―