短時間で専門知識を学ぶ「ウルトララーニング」の考えかた

短時間で専門知識を学ぶ「ウルトララーニング」の考えかた

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知識がゼロのところからたった15日間で微積分の試験に合格するところまで学習するとして、どのような学び方をすればよいでしょうか?

もちろん、何ヶ月、あるいは一年かけて学ぶのに比べて体系的に、包括的に学ぶことはできません。ですが、標準的な試験に合格する程度にその分野について知りたいという場合を想定しています。

これは学びについていつも探求している Scott H. Young のブログで提起されていた仮想的な質問で、これをもとに、彼は「ウルトララーニング」という学習方法について考えを進めています。

まず、できるだけ深い場所まで学んでみる

これはもちろん試験の難易度や範囲の広さにもよるのですが、「知識がゼロのところから」を念頭にした場合、細かく暗記をするよりも、その分野がもっている基本的な構造をまず与えられた時間でできるだけ深いところまで学んでみるのが結局近道になるというのが彼の「ウルトララーニング」の考え方です。

Instead, what I’m arguing is that, contrary to the gut instinct of many lazy college students, the only way to get good enough in such a short time is to go deep. This strategy, which I’ll call ultralearning, is the act of flipping that original intuition on its head. Instead of trying to memorize details well enough to pass exams, you try to learn the principles well enough so that your insufficient memorization of the details doesn’t matter quite as much.

かわりに私がおすすめしたいのは、サボりがちだった大学生の多くが本能的に暗記に走るのとは逆に、短時間で習熟するためにまず深く飛び込んでみることだ。私がウルトララーニングと呼んでいるこの作戦は、試験に合格する程度に暗記をするよりも、まずその分野の原理をとらえるを重視する。暗記はディテールにこだわりすぎるので、そうした不完全な記憶をあてにしなくてよいところまでまず原理を追求するわけだ。

「暗記は時間がかかりすぎる」というのが、彼の主張の面白いところです。

暗記すべきポイントは個別で、応用が効かず、数が多いので、それを詰め込んでいると作業をしている気にはなるもののあまり約にはたちません。逆に、原理を教えてくれる問題を数パターン深く学んでしまうほうがかえって効率がいいというわけです。

同じことは、プログラミングなどでもよくいわれますね。まず、最初にアプリを一つ作るところまでやってしまうと、道筋と構造とが頭に入るので、次に同じことをする際に入り口と向かうべき出口がわかるというわけです。

これは新しい分野について学ぶときには私もよく使う手法で、たとえば新書をいくつか読んで分野の基本を学んだら、いきなり原典を読むのが楽しかったりします。

Scott は「速く学ぶ」技術の重要性も指摘しています。つまり、応用の聞かない記憶だけで語っていると知的なネタの引き出しがすぐに枯渇してしまうのに対して、原理に踏み込む人は常に新しいアイデアを生み出す泉を自らの内側にもつことができるのです。

そこには、時間をかけてすべてのディテールを学ぶよりも、高速に本質を探すという指導方針の違いがあるのです。

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