また当時定年間近だった別の元陸軍中領(中佐に相当)は功労研修(定年退職間近の公務員への研修)の期間中、問題のメーカーに韓国軍が定めた防弾チョッキの基準などの情報を提供し、5100万ウォン(約490万円)の現金を受け取ったとして検察に身柄を拘束された。この元中領も2012年にメーカーの取締役として再就職していた。さらに監査院によると、09年から数百発の弾薬を無断で持ち出していた陸軍士官学校の元教官も、問題のメーカーから株式などおよそ1億1000万ウォン(約1100万円)相当の金品を受け取り、退官後はメーカーの研究所長として再就職していた。問題のメーカーとその子会社には08年から14年までの期間に、29人の元陸軍将校が再就職していたという。
監査院によると問題は防弾チョッキだけでなく、防弾ヘルメットでも不正が行われていたという。2012年に防衛事業庁に勤務していたある予備役将校は防弾ヘルメット入札の際、1位で落札した企業に対し、2位の企業に納品の権利を譲るよう圧力をかけていたことが分かった。この2位の企業は問題の防弾チョッキを韓国軍に納品したまさにそのメーカーだった。監査院によると、この予備役将校は除隊直後の14年2月、メーカーの持ち株会社に再就職し、4カ月の間に給与名目で4600万ウォン(約440万円)の現金を受け取っていたという。また別の陸軍予備役将校は11年、防衛事業庁に勤務していた際、ヘルメットの付属品に関する入札で、1位で落札した企業に対して不当に減点措置を下し脱落させていた。監査院はこれら一連の不正に関与した元陸軍少将など3人の元将校と5人の大領(大佐に相当)、メーカーの関係者など合計13人について検察に捜査を依頼した。また国防部と防衛事業庁に対しては、問題のメーカーとの独占契約の取り消しと、退職者や除隊者の再就職の実態などについて調べるようあらためて求めた。