韓国軍は北朝鮮の朝鮮人民軍が使用する小銃の銃弾を防ぐことができる高品質の防弾チョッキを新たに開発したが、ある防衛関連メーカーからの賄賂攻勢でこの新防弾チョッキ導入計画を白紙に戻していたことが分かった。その後、前線の兵士ら3万5000人に実際に配布された防弾チョッキはこのメーカーが納品した従来品で、これは北朝鮮兵士が使う小銃の銃弾を防げないものだった。
監査院は23日、国防部(省に相当)や防衛事業庁など五つの部処(省庁)を対象に、主に物資の購入や納品について行った監査の結果を発表し、上記の不正について明らかにした。監査院によると、国防科学研究所(ADD)は2007年から10年にかけて総額28億ウォン(現在のレートで約2億7000万円、以下同じ)を投入し、先端ナノ技術を活用した高性能液体防弾チョッキの開発に成功した。朝鮮人民軍は通常の防弾チョッキを貫通するAK74小銃を使用しているが、この新しい防弾チョッキはAK74の銃弾が貫通しないことが実験で立証されていた。
ところが韓国軍は2011年末、この新防弾チョッキの調達計画を突然撤回した。表向きの理由は「短期間での普及が困難で、価格も通常の防弾チョッキに比べて2倍と高く、重量もあって実際の使用に問題があるため」となっていた。
その後、韓国軍は当初の計画を変更し、AK74の銃弾を防ぐことができない通常の防弾チョッキを前線に配布することを決定。問題の防衛機器メーカーに30万着、金額にして2700億ウォン(約260億円)相当の防弾チョッキを注文しただけでなく、このメーカーと2025年までの独占契約を結んだ。この防弾チョッキは14年から前線の部隊などにすでに配布されている。
その後、防弾チョッキが変更された一連のプロセスを監査院が調べたところ、問題のメーカーと韓国軍幹部との間に根深い癒着関係のあることが分かった。監査院によると、新防弾チョッキ導入計画の白紙化を決めたのは元陸軍少将のある国防部幹部で、2011年の時点ですでに問題のメーカーから要請を受けていたという。さらにこの幹部は妻を書類の上でメーカーに就職させ、メーカー側から3900万ウォン(約380万円)の現金を追加で受け取っていた。