【寄稿】「成長の壁」に阻まれた韓国、危機をチャンスに

 突破口はまだある。既存の組み立て産業中心の考え方を独自技術中心の部品素材産業へと転換することだ。独自技術に裏付けられた核心部品素材産業は、その特性上、技術開発に長い時間がかかり、後発業者の参入が難しいが、いったん開発に成功すれば、長期にわたる収益が保障されるメリットがある。

 例えば韓国が液化天然ガス(LNG)タンカーを組み立てることで得られるマージンは船体価格の約5-10%だ。一方で、マージンとほぼ同水準の5%(1隻当たり約100億ウォン)の技術料をフランスに支払うという、貯蔵タンクの特許技術がフランスの手にあるためだ。数千人もの作業員1年以上かけて船を建造して得られる収益が数人の研究者が開発した技術の使用料と同等というわけだ。

 これまで韓国は重要部品を輸入し、完成品を組み立てて輸出する組み立て産業が主流だった。現在の主力産業が成長できたのは、高い技術力がなくても、市場参入が比較的容易だったことが理由だ。しかし、韓国が日本を追い越したように、中国をはじめとする開発途上国が韓国に追いつくはずだ。

 英国で尊敬されるチャーチル元首相は、「悲観論者はあらゆるチャンスの中で困難を探し出し、楽観論者はあらゆる困難の中からチャンスを探し出す」という言葉を残した。皆が韓国経済は苦しいというが、希望はある。成長の壁の前に立ちすくむ韓国経済が急転直下するか、飛躍するかは我々のやりようにかかっている。危機こそチャンスだ。

全国経済人連合会(全経連) 李承哲(イ・スンチョル)副会長
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