【寄稿】「成長の壁」に阻まれた韓国、危機をチャンスに

 「時間が解決する」という言葉がある。失恋したり、困難に直面したりした友人によく使われる慰めのクリシェ(決まり文句)だ。しかし、今の韓国の経済状況を見れば、そんな表現までも安易には使えなそうだ。時がたっても経済状況が一向に改善しないからだ。

 経済成長率は過去10年で8年間も世界平均を下回り、経済成長のけん引役だった主力輸出業種は通貨危機当時も経験しなかった減収を2年連続で味わった。懸念が現実となった韓国経済の「成長の壁」に果たして突破口はあるのだろうか。

 需要はあるが、まだ産業的な供給が十分ではないいわゆる「過小供給産業」の育成が一つの答えになるかもしれない。韓国では医療、観光、自動車改造などの産業が代表的だ。世界的な医療技術はあるが、東南アジア各国よりも病院への大規模投資が少ないほか、韓国は国土の64%が山地なのにもかかわらず、スイスのような山岳列車は見当たらない。全て需要は大きく、十分に対応できる能力もあるが、産業が活性化されていない有望業種だ。

 過小供給産業を発掘、育成するためには、政府の産業政策も転換が必要だ。政府はこれまで主力産業の構造調整に焦点を合わせてきた。問題は最近、造船、プラント、鉄鋼、石油化学などの主力産業の大半が世界市場で供給過剰産業となっているため、韓国だけの努力では問題解決が事実上困難である点だ。結局成長の壁を克服する新たな活路を切り開くためには、過小供給産業の活性化戦略が効果的な手段となる。

全国経済人連合会(全経連) 李承哲(イ・スンチョル)副会長
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