国内の新車市場が低迷している。日本自動車工業会は17日、2015年度の販売台数が前年度比6.8%減の493万台となる見通しだと発表した。500万台を下回るのは4年ぶり。14年の消費税、15年の軽自動車税と相次ぐ増税が逆風になり、消費者が新車の購入を手控えている。16年度も実質的に横ばいを見込んでおり、需要回復には時間がかかりそうだ。
自工会の15年度の予測によると、排気量660cc超の登録車は消費増税後の反動で落ち込んだ14年度並みの313万台となお低迷している。国内市場の約4割を占める軽自動車は、昨年の増税が直撃し180万台と16.9%の大幅な減少になった。軽自動車は13年度の226万台をピークに前年割れが続いている。
今年2月までの実績値では、14カ月連続で前年同月を下回った。昨年4月から2月までの累計販売台数は、前年同期比で6.5%減の430万台だ。登録車が0.5%増の271万台になったものの、軽自動車は16.5%減の158万台と苦戦が際立つ。
15年度は新型車の投入が少なかったのも低迷の要因だ。15年12月にトヨタ自動車が主力のハイブリッド車「プリウス」の新型車を発売したが、15年度の販売台数への寄与は限定的だった。
16年度も新車市場は厳しさが続く見通しだ。自工会は16年度は今年度予想比で6.5%増の525万台になると予想するが、これは来年4月に予定される10%への消費増税を前提とした数字だ。増税前に駆け込み需要が発生するとみており、自工会の池史彦会長(ホンダ会長)は17日の記者会見で、「駆け込み需要の影響を除けば15年度と同程度の水準だろう」との見方を示した。
国内の新車市場は12年度から3年連続で500万台を超える水準を維持してきたが、相次ぐ増税で消費者の購入意欲は徐々に低下している。これまでの増税時に需要を先食いした部分も多いとみられ、来年春の増税前にどれだけの需要が発生するかは不透明だ。消費税の再引き上げ後は需要が急減する可能性が高く、新車市場の低迷は長引きそうだ。