ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」を活用した、ロボットだけで接客を行う携帯ショップ「Pepperだらけの携帯ショップ」が東京・表参道に期間限定オープンしました。複数台のPepperが客の呼び込み、受付、来店目的などのヒアリング、商品紹介などの業務を分担して行います。
Pepperだらけの携帯ショップに足を踏み入れると、「店長」という腕章を着けたPepperが出迎えてくれます。来店目的のヒアリングを行うほか、マイクロソフトのAzureと連携し、顔に搭載するカメラが客の年齢や性別などを識別。「春といえば?」といった簡単な質問に答えるだけで、顧客にとって適切と思われる商品をレコメンドします。
レコメンドした商品は巨大なタッチディスプレイ「Surface Hub」に表示されます。購入ボタンをタップすると、QRコード入りの紙がプリントされます。なお店頭にある在庫はiPhone 6sのみで、それ以外の商品はQRコードをスマートフォンで読み取り、決済情報を入力して購入を完了させる形。商品は後日宅配されます。このデモでソフトバンクは、在庫を置ける物理スペースが小さい小規模店舗でも、商品棚をバーチャルに無限に拡大できるとアピールします。
質問に答えるとiPhone 6sがレコメンドされた
QRコードをスマートフォンで読み取って購入が完了。商品は宅配で届く
なおレコメンドされた商品の「購入する」ボタンをタップすると、QRコードが印字された紙がプリントアウトされます。このQRコードをスマートフォンで読み取って、購入を完了させる形。このため、初めからスマートフォンで買えばいいのではないか?と思いますが、今回はあくまでレコメンド機能のデモ。また小規模な小売店としては「商品棚をバーチャルに拡大する」という意味で、物理的な商品棚は少なくてもバーチャルに商品棚を拡大できるというメリットがあります。
また1階でiPhone 6sを購入すると、2階の契約窓口に案内されます。決済に使えるのはクレジットカードのみで、決済情報はPepperの指示に従って、卓上のiPad Proに入力します。
契約・購入手続きが完了すると、ロボットアームが客に商品を渡してくれます。
フロアや裏側にスタッフを配置
Pepperだらけの携帯ショップは、店員を代替するソリューションの実証実験でありながら、各フロアには人間のスタッフが配置されます。また、商品棚の後ろにもスタッフが待機し、防犯上の理由から契約が完了したタイミングでロボットアームで掴む商品を並べるなど、人力が欠かせないものとなっています。ソフトバンクは小売業の課題について、労働人口の減少に伴う人材の確保、および訪日外国人の増加による多言語応対を挙げており、今回の携帯ショップで得られたフィードバックから、Pepperを今後小売業にどのように活用するかを探る考えです。
なお筆者の場合、店員とPepperの2択ならほぼ100%店員に話しかけるのですが、この店舗ではPepperしかいないので、自然とPepperに話しかけることができました。いざ話しかけてみると、受け答えや身振り手振りの愛くるしさもあり、思ったよりも違和感は感じません。ここにきて人工知能が急速な発展を見せるなか、ある種の接客業はロボットに代替されてしまうのではないかと感じるほどでした。
ロボットによる接客、いわば未来の小売を一足先に体験できるPepperだらけの携帯ショップは、東京・表参道で4月3日までの期間限定で営業中。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。