伝統的に男性中心だったフランス企業が女性役員の登用を急いでいる。女性役員の比率を法律で定めた野心的なクオータ制(割当制)が来年、達成期限を迎えるためだ。
■今年指名の女性役員の半数以上は外国人
議決権行使助言会社のプロキシインベストによると、CAC40指数を構成する40社では今年すでに合計44件の役員選任が株主総会の承認に向けて提案されているが、うち28件が女性役員だ。
しかし、有力候補の獲得をめぐる争いは激しい。先月まで米ゼネラル・エレクトリック(GE)の仏法人を率いていたクララ・ゲマール氏は、1人で28件のうち3件を占めている。ダノン、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、ブイグの3社からの指名だ。ゲマール氏はすでにヴェオリアで役員を務めている。
さらに、フランスの主要企業が視野を大きく広げていることを明白に示す事実として、今年指名された女性役員の半数以上を外国人が占めていることがあげられる。
2011年制定の法律により、CAC40社は来年末までに取締役会の女性比率を40%以上にしなければならない。現時点での40社総計の女性役員比率は約35%だ。
しかし、その達成期限が迫るなかで女性の非常勤役員候補の獲得争いが激しくなっていると、ヘッドハンターらは言う。
「明らかな候補はもう不足している」と、ラッセル・レイノルズ・アソシエイツの仏支社を率いるマルク・サングレ・フェリエール氏はフィナンシャル・タイムズ紙に語った。「今年は決定的な年で、女性の上級幹部を見つけるのは難しい。その多くがすでにリクルートされているからだ」
「ますます難しくなっている」と、エリック・サーモン・アンド・パートナーズのロレーヌ・クロン・デュ・リュアール氏は言う。「私たちが最近手がけている役員の獲得は全て女性だ。今のフランスで役員になろうとする男性は運が悪い」
来年末までに割当基準を満たせない企業は、その達成に寄与しないような変更を取締役会レベルで行うことを禁じられる。仏企業は欧州内の一部の競合企業よりは先んじている。