レポート
フランスでMVNO「Transatel」のプリペイドSIMを使ってみた
ぼんじゅーる! 普段は「フェチ東京」というウェブサイトの運営と行政書士をしている新井秀美です。フランス・マルセイユ開催された日本のマンガやアニメ、音楽、ファッションなどの博覧会「Japan Expo Sud (ジャパン・エキスポ・スード)」参戦のために人生で初めてフランスに行くことになった10日間。現地でプリペイドSIMを購入、SIMフリースマホを使ってみましたのでレポートを寄稿します。
仕事でたまに韓国に行くときは日本の空港でWi-Fiルーターをレンタルしています。1日500円ほどで借りられるため、2~3泊程度だと手軽に利用できます。しかし今回はフランス用。いつもレンタルするところでは、10日間で1万5000円ほどかかります。(高い…!)
それならばフランスの空港でWi-Fiルーターを借りようと探してみたものの見当たらない。フランス在住の友人に聴くと、SIMフリースマホをルーターとして使うことが多いため、ルーターをレンタルすることは少ないというのです。フランス語で検索してもやはりルーター本体は購入が必要。そんなにフランスに何度も行くわけではないのでちょっともったいないなぁ……微妙なお金を出してルーターを買うくらいなら新しくSIMフリースマホを買って、プリペイドSIMカードを使ってみようということで、ファーウェイのhonor6 Plusを購入しました。
事前に現地でSIMカードを購入した人たちのブログを見てみると、フランスの主だった通信会社はOrange、SFR、freeの3社。代表的な通信会社OrangeでSIMカードを購入した場合でかかる金額は約40ユーロ。そこで探し当てたのがMVNO のTransatelです。値段は30日間有効の通信量1GBプランで9.5ユーロ。しかも広告には割引コードも表示されていたのです!
日本まで普通郵便で7~10営業日とのことでしたが、2月3日の注文で10日には到着しました。普通の横長封筒に入っただけの状態。国内で契約したDMMモバイルではプチプチ封筒に入ってSIMカードが届きましたが、こちらは保護材などがなく、シンプルな梱包です。
シャルル・ド・ゴール空港に到着。同行者は空港内ショップRELAY.でOrangeのSIMカードをテザリング用に購入しました。私もTransatelのSIMカードを挿してみるとばっちり電波をひろっているよう。しかし、インターネットに繋がらない。
スマホが繋がらないからと言っていつまでも空港にいるわけにもいかず、今夜のお宿に向けて移動を開始。パリの通勤電車の中に大量のスーツケースを持ち込みながら(ガイドブックに書いてあったのだけれど、パリの皆さま大荷物でごめんなさい…)設定を試みるもやはりTransatelはインターネット接続ができず、同行者もOrangeのSIMカードでテザリングができずという状況でした。
宿泊予定のAirbnb(エアービーアンドビー)のオーナーとにはガラケーで電話しました。ちなみにAirbnbには電話番号を複数登録している人がいるので、当日の連絡先をはっきり訊いておくと良さそうです。
インターネット接続ができないまま一晩明け、翌日Facebookの友人からの助言で無事に開通。honor6 Plusの仕様かもしれないのですが、インターネット接続のためのAPN設定画面に出てくるこの文言に騙されました。この画面から下のメニューを押すとAPN設定ができるんです。Transatelにもメールで問い合わせをしていましたが、現地時間22時40分に問い合わせをして翌朝10時頃には同様に「APN設定をしてください」という返事をもらえました。お店も18時に閉まってしまうフランスでこんなに早いレスポンスが来るなんてびっくり! サポートがしっかりしていると安心して使えますね。
一方同行者が購入したOrangeのSIMカードは自動でAPN設定ができました。SIMフリースマホでのインターネット接続は問題ありませんでしたが、肝心のテザリングが出来ない。シャンゼリゼ通りでOrangeのショップ発見して聴いてみました。するとこのSIMカードでは通信できる容量も100MB以下でテザリングにも対応していないそう。空港では約10ユーロのものと40ユーロの2種類から選ぶ際に、10ユーロのほうを選んだのが原因のようです。追加でチャージをして利用できましたが、使いみちにあわせてプラン選びに注意ですね(別の機種を使うとなぜかテザリングもできました)。
そういえば、ここは天下のシャンゼリゼ通り。パリのWi-Fi事情はどうでしょうか。さっそくネットワークを検索してみると“freewifi”がたくさん! …と思ったら、フランス語でログインIDとパスワードを要求してくるんです。なんて旅行者に優しくないんだろうと思っていたのですが、実は“free”という通信会社でした。紛らわしい!
無料Wi-Fiは飲食店などで提供されています。個人店では手書きで長いパスワードが書かれていたりという感じで、クセのある文字を判別するのがなかなか面倒。2016年2月現在は街中のフリーWi-Fiに期待するのはあまりおすすめできないなと思います。
3日目には夕方に少し外れの森の中にあるルイ・ヴィトン財団美術館へ行きました。2014年秋にできたばかりの美術館で、屋上からはエッフェル塔や郊外の高層ビル群を見られます。ここでスピードテスト。下り41.92Mbps、上り7.38Mbpsと十分なスピードでした。
4日目、旅の目的であるJapan Expo sudが開催されるマルセイユへ電車で移動していると突然電波が入らない状態になりました。なんとTransatelのチャージがなくなってしまったのです。日本での使用頻度を考えると10日間で1GBでは足りないのであらかじめチャージしておくべきでした。残量はSIMを挿したままこのURLにアクセスすればすぐにわかります。特に普段容量を気にしていない人はこまめに残量をチェックしておきましょう。
Transatelでは利用するエリアとデータ量を決めてチャージする方法と、金額を決めてチャージする方法の2種類があります。私はフランスで1GB分のデータ通信量をオンラインで追加しました。一方同行者の利用するOrangeのチャージはなかなか面倒。オンラインに非対応だったのです。フランスに24時間営業のコンビニは無いので、スーパーかタバコ屋さんが営業している時間にチャージ用のシリアル番号を購入します。そしてレシートのシリアル番号を登録すると使えるようになります。移民などで住所がない人も使うこともあるんだそうですが、フランス語ができない外国人旅行客にはあまり優しくない仕組みですね。
マルセイユはフランス第2の都市。Japan Expo sudへの来場者は3日間でのべ5万人となり、また隣のサッカースタジアムで試合も開催されていました。そんな環境下でしたが、スピードには不満なく利用できました。
無事JapanExpoが終了。少し休憩のため下調べをせずニースへ、それからモナコへと立ち寄りました。
モナコに到着すると快適に使えていたスマホに異変が。「さっきまでGoogleマップで場所を教えてくれてたじゃないか…」となぜ機嫌が悪くなったのかと考えてみると、原因は国でした。フランスで契約している携帯はモナコに行ったら圏外です。これに気づくまで7時間、優しい日本人女性に地図をいただき(ホントにありがとうございました!)モンテカルロから王宮なんとかたどり着けました。
一度圏外に入ってしまったTransatelはフランスに戻ってもなかなか電波が戻ってくれず、連絡も出来ずに困っていましたが、再起動したら電波をつかみました。困ったときは再起動しましょう。
帰国前にシャルル・ド・ゴール空港で到着時にできなかったスピードテストをしてみると、申し分ない速度を記録しました。
慣れない環境でスマホに頼り過ぎると使えなくなったときに困るので紙の地図も1枚位は持っていたほうが良いなというのが今回の旅の教訓になりましたが、初のフランスで使ってみたプリペイドSIMには満足です。MVNOのTransatelを選びましたが10日間でトータル3000円強で利用できました。残った約300MBの容量は台湾などの対応エリアで利用できるそうです。有効期限は30日間と余裕があるので、長い滞在中にメールチェックを毎日少ししたいという人にも便利ですね。
フランスでは移民が多く、固定の住所を持たない人のためにプリペイドSIMが普及しています。ですが、犯罪に使われる可能性もあるため使用開始から2週間以内に氏名やメールアドレスをメールで申告するように法律で定められています。長期滞在の場合はその点には注意しましょう。
新井秀美
世界の0.1%の人がグッとくるフェチを集めたポータルサイト「フェチ東京」代表。本業ではイベント企画から新規事業相談も相続もこなす行政書士。つまるところ好奇心あふれる新しいもの好き。知的財産マネジメント研究会(Smips)分科会「エンタメと知財」共同オーガナイザー。