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アンノン・ゲーム

人生は未知のもの。だから、私は書き続ける-。

銀河英雄伝説・第4話「帝国の残照」感想

銀河英雄伝説

 

あらすじ

 



自由惑星同盟イゼルローン要塞攻略を計画していた頃、

銀河帝国ではアスターテ会戦の戦功者を称える儀式が執り行われていた。

その主役は、ローエングラム伯ラインハルトである。

自由惑星同盟軍を撃破し、帝国軍に圧倒的勝利をもたらした功績に対し、

ラインハルトは帝国元帥に叙されようとしていた-】

 

昇進したラインハルトは、姉のアンネローゼと久しぶりに会う機会が持てた。

だが彼女は、銀河帝国皇帝・フリードリヒ4世の寵姫として王宮に暮らしていた。

 

ラインハルト、そして同行するキルヒアイスは、

10年前の出来事を思い出す。

 

キルヒアイスの自宅の隣は空き家だったのだが、

ある時、貧乏貴族が引っ越してきた。

 

気になって庭に出ると、隣の家の玄関から金髪の美少年が出てきた。

 

キルヒアイスが自己紹介すると、上の名を俗っぽいという。

しかし、苗字は爽やかだと褒めてくれた。

 

彼の名はラインハルト・フォン・ミューゼルといった。

 

しばらくして、ラインハルトと同じ金色の髪を持つ美少女が現れた。

彼女はアンネローゼと名乗った。

 

キルヒアイスはアンネローゼに髪を撫でてもらうと、

驚いて自室に走っていってしまう。

 

ラインハルトとキルヒアイスは同じ学校に通って仲を深めるが、

クラスには意地の悪い生徒もいた。

 

ラインハルトはそういった連中を叩いたりして、敵を多く作ったので、

キルヒアイスは気が気ではなかった。

 

ある日のこと。

 

アンネローゼが美味しいケーキを焼いたので、

喜んだ2人は走りながらラインハルトの自宅に向かう。

 

すると、玄関先に見慣れない高級な車が止まっていた。

 

車からは銀河帝国の役人が降りてきて、

アンネローゼが時の皇帝・フリードリヒ4世に見初められたと言った。

 

驚いたラインハルトが家の中に入ると、

酒を飲んだくれている父親の前に金貨の入った袋があった。

 

わずかばかりの金で姉を売られたラインハルトは、

アンネローゼを取り戻そうと銃を持って王宮に乗り込むが、

自分の力のなさを痛感し、軍人になることを決意する。

 

そして、キルヒアイスもラインハルトと同じ道を歩むのであった-。

 

台詞

 

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ラインハルト「なあ、キルヒアイス銀河帝国は反乱軍と戦争しているはずだな」

キルヒアイス「うん、確か140年近く戦っているはずだけど」

ラインハルト「じゃあ、彼らはいったい何をしているんだ?

戦場では多くの人々が死んでいるというのに。まるでお祭り騒ぎじゃないか」

キルヒアイス「あの人たちの身内は戦争なんかに行かないよ。上級貴族だもの」

ラインハルト「つまり、他人の痛みなんか知ったこっちゃないというわけだ」

 

(中略)

 

ラインハルト「・・・力だ」

キルヒアイス「えっ?」

ラインハルト「力がほしい」

キルヒアイス「ラインハルト?」

 

ラインハルト「姉さんを取り戻すには、あんなくだらない奴らの言うことを、

黙って聞かなくても済むだけの力がいるんだ。

相手が貴族なら、貴族を凌ぐ力を。相手が皇帝なら、皇帝を・・・」

キルヒアイス「ラインハルト・・・」

 

ラインハルト「これひとつじゃ何もできやしない。

キルヒアイス、僕は幼年学校に行って軍人になる。

それが、その力を手に入れる一番早い方法だ。

キルヒアイス、一緒に来い。2人で姉さんを取り戻すんだ」

ラインハルト「僕が、軍人に・・・?」

 

アンネローゼ(回想)「ジーク、弟と仲良くしてやってね」


キルヒアイス「うん、それが望みなら」

ラインハルト「いつの日か、必ず」

 

感想

 

ラインハルトは最初、ミューゼルという姓で、

貴族とは名ばかりの貧乏な家で育ちました。

 

母親は早くに亡くしていたようで、

5歳上の姉・アンネローゼが彼の面倒を見ていました。

 

キルヒアイスはラインハルトのはじめての友達なんでしょうね。

いつも一緒にいるので、兄弟といってもいいかも知れません。

 

また、キルヒアイスにとってアンネローゼは初恋の人のように思えます。

髪を撫でてもらった時のリアクションは、ドキドキしたからなんですよ。

 

そんな2人にとっての大切な女性が、

突然、時の皇帝の側室として王宮に連れ去られてしまいます。

 

ラインハルトの父はお金ほしさにこの話を承諾し、

アンネローゼも相手が王家なので、断ることはできませんでした。

 

でも、幼い2人の少年にとっては、たいへんショッキングな出来事でした。

 

実はアンネローゼが嫁いだフリードリヒ4世は、

彼女よりずっと年上の男性で、祖父と孫ほどの年齢差があったんです。

 

これでは玉の輿で嬉しいとは言えませんよね。

 

これがきっかけで、ラインハルトは銀河帝国そのものを憎むようになり、

「自身の手で宇宙を統一したい」という野望に燃えて行くんです。

 

アンネローゼも本当は辛かったんだと思いますが、

弟に「未来を大切にしなさい」と言っていましたね。

 

優しくて素敵な女性です。

 

ラインハルトは愛する姉と引き裂かれたため、

彼女を取り戻すために権力と戦う道を選びましたが、

軍人を辞めて歴史の研究をしたいと願うヤン・ウェンリーとは対照的です。

 

まったく違うタイプの2人の天才が対決するから、

銀河英雄伝説は面白いのかも知れませんね。

 

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