家族のために手縫いで仕上げた愛らしい猫の刺繍(ししゅう)をめぐって、奈良県在住の主婦と、世界展開する人気ファッションブランド「ポール&ジョー」(P&J)の側で、ガチンコのバトルが繰り広げられた。主婦の刺繍は趣味のレベルを超越し、インターネットで画像を見た海外の人から引き合いが来るほどのクオリティー。しかし何の承諾もなしに、そっくりのデザインが施されたハンカチを同ブランドから販売された、というのだ。「ハンカチ1枚でも声を上げる!」。主婦は著作権を侵害されたとして販売差し止めを求めて大阪地裁に提訴した。“アリと巨人”の戦いを制したのは−。
訴えたのは、奈良県橿原市のhirokoさん。
訴状によると、hirokoさんは平成25年4月ごろ、家族のリクエストに応じ、白いシャツの左胸あたりに猫の顔を刺繍した。
ネットの画像を参考に作った刺繍は、ちょうど胸ポケットから猫が顔を出したようなデザインになっており、今にも動きだしそうなほどの完成度の高さだ。
このシャツを撮影してネット上の画像共有サイトに投稿すると、国内外から「販売はしていないのか」と問い合わせが殺到。hirokoさんは趣味で刺繍をしているだけと、最初は断っていたが、ある英国人男性の熱心な依頼を受けて発注に応じた。
それをきっかけに、できる範囲で注文を受け付けるようになり、猫刺繍のシャツを個人で販売するようになった。
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