あるアニメ製作スタジオの終焉について

高栖匡躬

はじめに

 本エピソードの内容は、『星のカービィ』を制作した、ア・ウン エンタテインメントという、アニメーション制作スタジオの最後の瞬間(数か月)についての実話です。


 日本における、CGを使ったアニメ制作の先駆者であり、優れたポリシーを持ち、あのディズニーからも評価され、ピクサーのような制作スタイルに生まれ変わろうとしていた矢先の終焉でした。


 同社の制作総指揮と監督は、吉川惣司さん。

 ルパン三世の映画第一作『ルパン三世(ビデオタイトルは、ルパンVS複製人間)』の監督であり、過去には200本を超える名作アニメに、監督、脚本、構成として中枢に関わり、あのディズニーのスタッフからも尊敬されている方です。


 本当に惜しい会社を無くしてしまったなと、今でも思います。

 アウンに関わっていた人たち、ア・ウンを応援していた人たちも、きっと皆そう考えていることでしょう。

 日本のアニメーション産業の構図からしても、ア・ウンを失った打撃はとても大きかったと思えてなりません。


 だから、残しておこうと思います。

 日本のアニメを変える可能性のあった、ある制作会社の、最末期の記録です。



【特記事項】


 このエピソードは始め、自作のミステリー小説『ホンファの一日』を『カクヨム』で公開するにあたり、制作ノートとして書き始めたものでした。

 なぜならば、『ホンファの一日』は筆者とア・ウンとの関わりの中で、初めて生まれてきたストーリーだからです。

 本稿は、当初は近況ノートに書き、そこに収まらないので、『ホンファの一日』本編の最後尾に移動しました。しかしそれでも、そこに収めるには大きすぎました。


 思い切って記載先を改め、大幅に加筆して、エッセイとして独立させたのが本稿となります。


 当時を思い出しながら、場合によっては関係者に状況を聞き取りしながらの記録なので、一気に書き上げることは難しいのですが、お付き合いをいただければ幸いです。