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【社会】

「安心・安全な保育所を」 子供を亡くした親ら議員に切実訴え

入園のための活動体験や保育士の勤務実態を書いた紙を国会議員(左側)らに手渡す保護者や保育士たち=23日午後、衆院第2議員会館で

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 「保育所は入(はい)れたら終わりではない」。共働き家庭の「保活」の厳しさが注目される中、首都圏で子育てをする親たちが23日、国会で保育制度の充実を訴えた。認可外施設で子どもを亡くした母親は、安心できるはずの施設で事故が頻発している状況を説明。保育士らは、労働条件の改善が、子どもたちを育む環境の底上げになると強調した。 (小林由比)

 子どもたちを抱っこして集まった母親や保育士らは「育休とらせて」などのプラカードを掲げいずれも切羽詰まった表情。

 国の認可保育所に入れずやむを得ず利用した認可外施設で、二〇一一年、昼寝中の当時一歳七カ月だった長女を亡くした、さいたま市の阿部一美さん(37)は、事故原因について「施設の環境や厳しい労働実態など複合的な問題がある。子どもの思いや安全が置き去りにされている」と指摘した。

 その後生まれた長男も当初、認可保育所に入れなかった。阿部さんは、国が待機児童対策として、保育士の資格がない人にも保育ができるようにするなど規制の緩和を進めていることに「私たちは、どこでもいいから預けたいということではない。保育環境を良くしない限り事故はなくならない。待機児童の数を減らすためにこれ以上の規制緩和はしないでほしい」と求めた。

 東京都目黒区で二児を育てる女性は「保育士さんの待遇は最悪で、外に出られる時間も限られている。そんな状況で子どもが元気で笑顔で育ってくれるのか。安心して預けられる保育所を一つでも多く作ってほしい」と訴えた。

 都内の認可保育所を辞めた経験がある保育士の男性は「月に四十時間以上残業をしても残業代が支払われなかった。法律違反の労働環境を正し、さらに処遇改善を望みたい」と要望。

 私立の認可保育所で三十年近く働く保育士の女性は「保育士の仕事は子どもが持つ発達の力を助けること。何となく子どもをみているわけではない。仕事に見合った評価をしてほしい」と言葉に力を込めた。

 

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