「経済学の教科書を書き換えなければ」
「1930年代の大恐慌よりも暗い状況だ」
最近内外の経済専門家が異口同音に指摘する世界経済の診断だ。2008年の世界的な金融危機以降、7年余りで8兆ドルもの資金が供給されたにもかかわらず、消費(需要)と投資が順調に伸びた国はないのだから無理もない。スイス、デンマーク、日本、欧州連合(EU)などが史上初のマイナス金利を導入したが、消費がさらに冷え込むという不可思議な状況を生んでいる。グローバル化の急進展とは裏腹に、昨年の世界の貿易総額は前年を12%近く下回り、当面は回復の兆しが見えない。
豊富な流動性と低金利が需要と投資を促進し、雇用と貿易を活性化するという経済学理論と成長の公式が完全に崩壊した「ニューノーマル(新たな常態)」だ。新興国の工業化に伴う商品・原材料の供給過剰、高齢化、機械・デジタル化などによる複合効果の産物であり、こうした状況は長期化するとの見方が有力だ。
韓国経済はその影響でこれまでにない「苦難の行軍」を強いられている。韓国経済はこれまでの危機を為替相場や米中のような「ホワイトナイト」に助けられた。1998年の通貨危機と2008年の金融危機はウォン安で輸出競争力を得られたし、米中経済の好況をうまく利用し、危機から脱出できた。しかし、現在は何にも頼れない状況だ。
それならば、希望が見えない暗黒局面をどうやって突破するのか。まず輸出に経済成長の80%を依存する外向きの経済構造を「内部プラス外部」の複合型へと変えていく必要がある。日本式の商品中心の輸出戦略とシンガポール式のグローバル内需成長戦略を組み合わせ、ツートップ型の経済をつくるべきだ。韓国が世界的な競争力を確保した医療サービス分野、韓流ブームを活用した観光、コンベンション、教育などの分野を国家戦略産業として育成すれば、かなりの雇用創出効果が期待できる。さらに、5000万人の韓国市場を乗り越え、アジア・中東を含む30億人余りが全て韓国の内需市場だと考える発想の転換も必須だ。