詐欺の振込先口座 名義人に賠償命じる判決

宝くじを悪用した詐欺でだまされた被害者が、振込先の口座に名義を使われた人たちを訴えた裁判で、東京地方裁判所は、「名義人は違法に使われる危険性を容易に認識できた」として、合わせておよそ250万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、「情報料を振り込めば宝くじの当選番号を教える」などとして620万円余りをだまし取られた男性が、詐欺グループを特定できなかったことから、振込先として指定された口座の名義人たちに対して起こしたものです。
23日の判決で、東京地方裁判所の朝倉佳秀裁判長は、「口座の名義人は、詐欺を行った会社に郵便物を転送する仕事を持ちかけられ、免許証などのコピーを渡した結果、名義を使われたが、報酬が高すぎることや、仕事の内容からして、違法に使われる危険性を容易に認識できた」などと指摘しました。
そのうえで、口座の名義人6人について合わせておよそ250万円の賠償を命じました。
原告の弁護士は、「詐欺グループが特定できなくても被害を回復できることや、免許証などのコピーを安易に渡すと詐欺に関わってしまう危険性があることを広く伝える意味で、意義のある判決だ」と話しています。