アンディ・グローブが死去した。本書は日本では『インテル戦略転換』と訳されているが、原題は"Only the Paranoid Survive"。Paranoidは「偏執狂」などと訳されるが、本人は「心配性」といった意味で使っている。
シリコンバレーという言葉は半導体メーカーが集まったことから生まれたが、インテルの本業のDRAMは低価格の日本製品に押され、インテルはDRAMから撤退してCPUで勝負することを決める。このように急速に変化する業界では、いつも「新しい敵はどこにいるか」と心配する企業だけが生き残るのだ。本書にはおもしろいエピソードが紹介されている。
続きは3月28日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。
シリコンバレーという言葉は半導体メーカーが集まったことから生まれたが、インテルの本業のDRAMは低価格の日本製品に押され、インテルはDRAMから撤退してCPUで勝負することを決める。このように急速に変化する業界では、いつも「新しい敵はどこにいるか」と心配する企業だけが生き残るのだ。本書にはおもしろいエピソードが紹介されている。
私は、IBMの担当者が大手パソコン・メーカーにOS/2[IBMの独自OS]の採用を依頼している現場にたまたま居合わせたことがある。この担当者はそれを売り込もうとしながらも、あきらめている風でもあった。一方、相手のコンピュータ・メーカーの代表は、OSのような技術の要をパソコンで競合関係にあるIBMに頼りたくないという様子だった。二人の間のやりとりはぎこちなく、不自然で、商談はとうとう成立しなかった。このように業界の構造がハードウェアとソフトウェアの水平分業になり、IBMのような垂直統合企業は没落することを明らかにしたのが1996年に書かれた本書で、IT産業の構造転換を論じた古典だ。訳本は3万5000円の値がついているが、原著はKindleで1500円で読める。
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