医療保険はどう選ぶ?自分にあったプランを選ぶための基礎知識
病気や怪我に備えて入る民間の医療保険。各保険会社から多くのプランが出ていて、どう選べばいいかは悩ましいところです。そこで今回は、民間の医療保険を検討する際の基礎知識を紹介。さらに、公的医療保険には「高額療養費制度」という制度もあり、民間の医療保険に入らなくても、入院などの大きな医療費の負担が減らせる可能性がある、などのポイントも合わせてお伝えします。
目次
1. 「医療保険」は2種類存在
2. 公的医療保険の制度を知ろう
●払い過ぎた医療費が返ってくる「高額療養費制度」
●病気や怪我で仕事を休んだら支払われる「傷病手当金」
3. 民間の医療保険に入るなら、自分にあったプランを
●保障内容の概要
●保障期間の違い
●ボーナスのあるタイプと掛け捨てタイプの選択
4. まとめ
1. 「医療保険」は2種類存在
まず、「医療保険」は大きく分けて2種類あります。
1つは、国民健康保険や被用者保険などの公的医療保険。月々の保険料を支払うことで、病院にかかった際の医療費が3割負担ですむというのが主な特徴です。日本の医療保険制度では、誰もが何らかの公的医療保険に加入することが義務付けられています。
もう1つが民間の医療保険です。公的医療保険とは異なり、加入は任意です。また保険のプランによって内容はさまざまですが、「病気や怪我で手術や入院をしたらお金が支払われる」といったものが基本となります。
民間の医療保険への加入を検討する際は、まず公的医療保険でどこまでの保障が受けられるかを知っておきましょう。
2.公的医療保険の制度を知ろう
誰もが加入している国民健康保険や被用者保険などの公的医療保険でも、医療費の一部が返金される可能性があります。それが「高額療養費制度」です。
払い過ぎた医療費が返ってくる「高額療養費制度」
「高額療養費制度」は1ヶ月(1日から月末まで)の医療費の自己負担額が、所得に応じた規定の金額を超えた場合、その差額が返金されるという制度です。
※厚生労働省保健局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成27年1月診療分から)」より抜粋
たとえば、70歳未満で月収28万円以上53万円未満の人が、入院費に100万円かかったとします。健康保険加入時の自己負担割合は3割ですので、窓口での支払いは30万円となります。上記の表に当てはめると、自己負担額の上限は8万7,430円になり、30万円との差額となる21万2,570円がこの制度を利用することで返金されることになります。
◆上記例の内訳
自己負担額の上限:
8万100円+(100万円(総医療費)-26万7,000円)×1%=8万7,430円
返金される金額:
30万円(窓口での支払い)-8万7,430円(自己負担額の上限)=21万2,570円
高額療養費の支払い申請を行う場合は、ご自身が加入している公的医療保険に、支払い申請書を提出しましょう。その際は病院などの領収書の添付を求められることもあります。
なお、この制度では食事代、個室を希望した場合などの差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは対象となりません。その他にもケースによっては支払いの対象にならないこともあるため、厚生労働省のWebサイトなどを確認することをおすすめします。
※厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ
http://www.mhlw.go.jp/
病気や怪我で仕事を休んだら支払われる「傷病手当金」
病気や怪我が原因で4日以上休むことになり(3日連続の休みを含む必要あり)、給与が支払われない場合に、手当が支給される制度が「傷病手当金」です。1日につき被保険者の標準報酬日額の3分の2に相当する額が最大1年6ヶ月支給されるため、制度を利用すれば「療養中は無収入となり、貯蓄が減っていくだけ…」という事態は避けられるのではないでしょうか。利用する際は会社の健康保険組合や全国健康保険協会などに申請しましょう。
ただし、個人事業主の方などが加入する「国民健康保険」では「傷病手当金」の制度はありませんのでご注意ください。また、詳細な内容については全国健康保険協会のWebサイトなどを確認してください。
※全国健康保険協会:病気やケガで会社を休んだとき
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139
3. 民間の医療保険に入るなら、自分にあったプランを
ここまで説明してきたように、公的医療保険だけでも病気や怪我に対する保障はある程度存在します。また、万が一の備えという観点では、ご自身で貯蓄をするという選択肢もあります。
とはいえ、「世帯収入に占めるご自身の稼ぎの割合が大きい」「貯蓄が少ない」「高額のローンを抱えている」など、何かあった場合のリスクは人それぞれ。また実際に入院するような事態になると、健康なときに比べ気弱になってしまう方もいるはずです。そういった不安を解消するために、民間の医療保険を利用するのは一案といえるでしょう。
ただし民間の医療保険には、保険会社ごとにさまざまなプランが存在しています。大切なことはご自分の考えにあったプランを選択することです。ここでは、民間の医療保険の代表的な特徴をピックアップして解説していきますので、各プランを考慮する際にご参照ください。
保障内容の概要
民間の医療保険は、ベースとなる「主契約」とオプションの「特約」から成り立っています。民間の医療保険における保障内容の一つを取り上げると、「病気や怪我で入院した場合に、入院1日につき5,000円の給付金が支払われる」といったものがあり、これは「主契約」にあたります。「特約」は「通院治療にも給付金が支払われる」「特定の病気が原因の場合は保障が手厚くなる」など、保障内容を上乗せする契約です。
プランを選択する際は、どこまでの保障を求めるかを見ていくのが一つの指針になります。以下にいくつかの「特約」の例を取り上げ、主だった点を紹介しますのでご参照ください。
通院特約
基本的には、入院給付金を受け取った後、その病気や怪我の治療を目的とした通院時に給付金が支払われる特約です。ただし、単なる風邪などの通院は対象とならないことが多いので、内容をよく確認した上で検討しましょう。
三大疾病特約
主にがん・心筋梗塞・脳卒中で“特定の状態”になった際に給付金が支払われる特約です。ただし、単に診断されただけでは要件を満たさないケースがあるため、よく契約内容を確認しましょう。
先進医療特約
厚生労働大臣が定める先進医療に該当する治療を受けた際に、給付金が受け取れる特約です。なお契約時には「先進医療」だった治療が、時期が過ぎ治療を受けた段階で「先進医療」ではなくなった場合は、要件を満たさないケースもあります。
女性疾病特約
女性特有の病気(乳がんや卵巣がんなど)や女性に多い病気(鉄欠乏性貧血やバセドウ病など)で入院した際の保障が手厚くなる特約です。
保障期間の違い
民間の医療保険を検討する際は、保障期間の違いにも注目しましょう。保障期間の長さに応じて、主に「定期医療保険」と「終身医療保険」に分けられます。
定期医療保険の特徴
定期医療保険は、10年など一定期間で保障が終了するタイプのプランで、保障期間中に一定の保険料を支払います。保険料は更新時の年齢に応じて変動するものが多いため、年齢が上がるほど保険料は上がる傾向があります。
終身医療保険の特徴
終身医療保険は、保障期間が生涯が続くタイプのプランです。保険料の払込期間は、「加入時から60歳まで」といったように設定した期間で保険料を支払う「短期払い」、生涯保険料を支払っていく「終身払い」、この2種類に分けられます。
「短期払い」は保険料の支払いを終えた後も保障が受けられるの特徴です。「終身払い」は生涯保険料を支払っていきますが、「短期払い」に比べて月あたりの支払う保険料は低めに設定されていることが多いようです。
ボーナスのあるタイプと掛け捨てタイプの選択
各プランを選ぶ上で「ボーナスのあるタイプ」か「掛け捨てタイプ」かも考慮する必要があります。これは給付金以外にも、お金が受け取れるかどうかが違いになります。
ボーナスのあるタイプの特徴
「ボーナスのあるタイプ」は、特定の条件を満たした際に保険料の一部が支払われるプランです。お金の受け取り方はプランによって複数の種類があり、「一定期間で入院しなかったら健康祝金として支払われる」「一定期間保険料を支払い続けると、払い込んだ保険料が規定の返戻率に応じて戻ってくる」などがあります。基本的に「掛け捨て」に比べて保険料が高めな傾向があります。
掛け捨てタイプの特徴
「掛け捨てタイプ」は、給付金の支払いがなければ月々支払う保険料はそのまま切り捨てられます。その分、月々の支払いは「ボーナスのあるタイプ」よりもリーズナブルです。
「ボーナスのあるタイプ」と比べて「掛け捨てタイプ」はもったいないように見えますが、一概にそうとはいえません。「ボーナスのあるタイプ」は「入院すると健康祝金がもらえない」「規定の期間よりも早くに解約すると返戻率が下がる」などのケースもあり、「掛け捨てタイプ」と比べて「どのくらい保険料が高いのか」「受け取れるお金はどのくらい見込めるのか」などと比較して、判断しましょう。
まとめ
さて「民間の医療保険は加入するべきかどうか」という点については、人によって事情やリスクへの捉え方などが異なるため、一概にどうすべきであるとは言い切れません。
ただし、ここまで述べたように、公的医療保険だけでも医療費の負担はある程度減らすことができます。また、勤務先によっては福利厚生で保障を受けられることもあります。それらを把握した上で、世帯収入やご家庭の状況、後に控えるライフイベントなどを考慮して、民間の医療保険に加入するかを検討されることをおすすめします。本記事がその参考となれば幸いです。
(注釈)
※本記事は2016年3月時点での内容です。
※記事中でご紹介している制度や商品に関してのトラブル等について、弊社では一切責任を負いかねます。予めご了承ください。