スマホやPCといった汎用のハードウェアの製造流通ビジネス等は除いたゲーム関連業界の活動量を指標化したゲーム・ビジネス・インデックス(GBI)を試作してみました。
このGBIの動向をみると、リーマンショック後の大幅な下落傾向が2011年頃に底を打ったものの、回復は緩やかで、一進一退を続けていたことが分かります。
特徴的なのは、リーマンショック直後よりも、1年以上遅れて現れた影響のほうが大きい点です。売上の要因としてコンテンツの魅力が大きく、開発費用が絞られると後に売上の低下となって現れるという業界の特徴が、GBIの上でも見られます。
GBIは、「ハードウェア・インデックス」、「デベロッパー&パブリッシャー・インデックス」、「流通・小売インデックス」の3指標を合成して作成しています。
そこで四半期単位のGBIの前期比の要因を3指標ごとに見てみます。
すると、リーマンショック直後の大幅な下落の要因はハードウェアの落ち込みによるものであったことが分かります。
そして、2011年以降の回復の主な要因となっているのは、ソフトウェアの開発・販売(デベロップメント&パブリッシング)のようです。
特に、コンテンツ配信の上昇が回復の原動力となっています。
こういった動きの背景には、ゲーム機の国内生産の低下(海外移転等)のほか、スマホの普及があるものと思われます。
◎関連記事
keizaikaisekiroom.hatenablog.com
このため、ハードウェア・インデックスは、リーマンショック以降、2009年後半に一旦回復を見せたものの再び急落し、以降、緩やかな下落傾向が続いています。
また、消費税引き上げ直前にゲーム機の生産が低下し、税率引き上げ直後には、むしろ上昇しており、直接的な消費増税の影響が見られないことや、ここ数年の停滞や、2013年以降の景気拡大局面においても指標が上向いていないことから、ゲーム機の需要そのものの低下傾向が伺えます。
流通・小売インデックスをみると、消費増引き上げ時に駆け込み需要らしき動きも見られますが、指数全体の変動と見比べて変動幅がごく小さくなっています。
ここからは、消費者の購買動機に占める、所得(景気の状況)や価格(消費増税)以外の要因の大きさ(コンテンツの魅力か?)が伺えます。
今後の業界の動向を左右するポイントも、ここにありそうに思われます。
改めて、ゲーム関連産業の指数の動きを俯瞰してみると、ゲーム機の国内生産ビジネスとゲーム関連の流通ビジネスはあまり順調とは言えません。その中で、中間段階のゲーム開発とデジタル配信のビジネスは低落傾向を免れている状態です。
GBI全体としては、2014年から2015年にかけて多少回復傾向にあり、その原動力は「ディベロッパー&パブリッシャー・インデックス」であり、そのうちのコンテンツ配信が牽引役でした。
やはりスマホの普及などもあり、ゲームの世界の構造も様変わりという感じです。
◎ミニ経済分析
ゲーム・ビジネス・インデックス(GBI)|その他の研究・分析レポート|経済産業省
◎スライド資料
◎ミニ経済分析の一覧表