【レビュー】Cerevo DOMINATOR(ドミネーター) SPECIAL EDITION
アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』に登場する携帯型心理診断鎮圧執行システム・ドミネーター。公安局刑事課の刑事達が使用し、シビュラシステムとリンクすることで対象の犯罪係数を計測、数値に応じて対象を征圧・排除・完全排除するデバイス。そんな物語を象徴するアイテムが、スマートフォンと連携して対象の犯罪係数を測定、パラライザーからエリミネーターへ完全自動変形する電動スマートトイとして登場。Cerevo DOMINATOR(ドミネーター) SPECIAL EDITIONのレビューです。
発売アナウンス以来、ネット上で話題をさらったまさに未来のコネクテッド・トイ・デバイス。今、シビュラの意思をこの手に。
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■株式会社Cerevoについて

(画像クリックで公式サイトへリンクします)
「グローバル・ニッチ」をキーワードに、インターネット連携/スマートフォン連携ハードウェア開発を行う日本の家電スタートアップ・メーカー。本来はPCやスマートデバイスのハードウェアをモノ作りしている会社だが、その思想はひたすらにイノベーティブ。スマートフォンとスノーボードの連携、スポーツライフに最適化された防水ワイヤレスヘッドをはじめとしたXONシリーズや、デジタル一眼カメラのシャッターを手元のスマートフォンで操作するSmartTrigger(これがマジで優れ物)等、コアでありながら生活を豊かにするアイデアに溢れたアイテムが同社製品の大きな特徴。
「1つの国で100台しか売れなくても、世界100カ国で売ることができれば1万台売れる商品になる」とは、社長の岩佐氏の言葉。とにかくコアでマニアなユーザーが値札を見ずに飛びつくハードウェアを作ることを掲げる同社が、電動変形ドミネーターを作り上げて、ネットを、メディアを揺るがした。モノ作りに対する革新的でひたむきな情熱を常に絶やさず、自らも「geek」であり続ける。彼らの作り上げる製品には「とてつもない技術の無駄遣い」が込められている。
Cerevo DOMINATOR SPECIAL EDITION
発売時期:2016年3月(ワンダーフェスティバル2016冬 先行予約分)
販売価格 SPECIAL EDITION:89,800円(税抜)/通常版:79,800円(税抜)
試作段階でのコードネームはDOMINATOR MAXI(ドミネーター・マキシ)。ワンダーフェスティバル2016冬のCerevoブースにて予約受付したので先行出荷分で到着。この外箱の存在感、ただごとではない。
▲プンプンと沸き立つ高級ハードウェアの芳醇な香り。
もはや抗うことはできない。
▲アクセサリー類は至ってシンプル。
充電器とバッテリー、そして説明書。バッテリーのデザインも非常にスタイリッシュ。
▲携帯型心理診断鎮圧執行システム・ドミネーター。
ドミネーターの市場販売されたトイとしては、バンダイから発売されたPROPLICA ドミネーターが代表的ですが、Cerevo ドミネーターは次元の違う完成度・ギミックでもって、所有者をシビュラシステムへと誘います。
・監督塩谷直義氏、ニトロプラス石渡マコト氏による完全監修で1/1ドミネーターの外観を精巧に再現。
・ドミネーター音声(C.V.日高のり子)を本製品の為に完全録りおろし収録。
・グリップにタッチセンサーを内蔵、握ることでユーザーを自動認識。
・日本電産が本製品の為に独自開発した特殊モーターを採用。パラライザーからエリミネーターへ電動自動変形。
・変形シークエンスは実際のアニメ設定資料を基に、変形秒数にまでこだわった仕様。
・217個のフルカラーLEDライトを搭載、モードに応じて発光。
・スマートデバイスアプリのシビュラとWifiで連携し、本体内蔵のカメラで対象の犯罪係数を測定。モード変更もボイスもアプリ側で自在にコントロール可能。
ざっと特徴を書き連ねましたが、恐らくPSYCHO-PASS第1話を視聴し、ドミネーターを少しでも知る人ならこの時点で察するでしょう。
オーバースペックもいいところです。
なぜ、このドミネーターが生まれたのか。これはCerevo社が掲げる「Screen2Real」(S2R)というプロジェクトで作られたもので、家電メーカーの持つテクノロジーで映画やアニメ作品の中のアイテムを現実世界でのリアルなガジェットで再現し、それらを誰でも手に取ることができる体系で販売展開するというもの。
そう、このドミネーターはワンオフものの製品ではないのです。 これだけのオーバースペックでありながら、(お金さえあれば)誰でも手に入れることができるマスプロダクトであるところが驚異的なのです。
▲パラライザー状態。
やや大ぶりな大型拳銃といったそのビジュアルは1/1で精巧に再現されており、まさにドミネーター実物そのもの。総部品数は約1500点。iPhone等のスマートフォンに使用される部品数は約1000点なので、それらを遥かに上回るパーツが搭載されています。そんな凝縮されたパーツ点数を誇りながらも、無闇に重さが増えることなく、程よい重量感に抑えられているのもポイント。実際に手にするとわかりますが、女性でありながら軽々とドミネーターを扱う常守朱監視官は少し手が大きいことがわかる、そんな重量感さえ伝わってきます。
▲SPECIAL EDITION最大の特徴はグリップ。
グリップ部分に高級家具や楽器に使われるオイル磨き仕上げのローズウッド材を採用し、合成ルビーの公安局マークをあしらった高級モデル。通常版とギミック自体は変わりませんが、購入するならば間違いなくSPECIAL EDITIONをお勧め。試作品では木目の流れがバラバラだったグリップは、製品版で縦に流れる材に変更され、落ち着いた雰囲気の美しいローズウッドの木目と合成ルビーの装飾は所有感をさらに高めてくれます。 そしてこのグリップ部分にタッチセンサーを内蔵。バッテリー挿入状態時にグリップを握り込むと、自動でドミネーターが起動します。
▲洗練されたハードウェアを感じさせる仕上げ。
所有者を魅了するヘヴィー・デューティーなフィニッシュが最高。
▲銃口先端部に搭載されたカメラ。
スマートフォンやタブレットにインストールされたシビュラシステムアプリとWi-fi接続し、カメラが捉えた映像をアプリで再生。ここまで言えばもうおわかりでしょう。
Cerevo ドミネーターを所有することは、手持ちのデバイスにシビュラシステムが介在することと同義になるのです。
まさに「Screen2Real」。シビュラシステムの正体を知ったアニメ本編の視聴者であれば、これがどれほどの意味を成すか、想像には難くない筈。Cerevoドミネーターを手にしたが最後、あなたは既にシビュラの尖兵。
▲バッテリーホルダーはグリップ下部。
バッテリーにセロテープを(雑に)巻きつけてありますが、これは取り外しをスムーズにするための応急処置。差し込むときは何ら問題ないですが、ホルダー内にクリアランスがなく、取り外す時に結構苦労します。そのため接触端子部に触れないようにセロテープを巻きつけ、取り外す時にテープ部分を引っ張ることで着脱しやすくしています。バッテリー駆動時間もパラライザー状態で約1時間、エリミネーター状態で約30分とそこまでスタミナがあるわけではないので、撮影時はバッテリー消費との戦いでした。
▲グリップを握ることでタッチセンサーがユーザーを認識。ドミネーター、起動します。
LEDライトは個体ごとによって発光精度にバラつきがあるため、僅かな色ずれを抑えつつLEDの粒が目立たないよう、面発光に見えるような工夫が施されています。グリップを放すと数秒でLEDは消灯し、後述するアプリ側のコントロールでオートパワーセーブも設定可能。
▲フルカラーLEDが魅せる鮮やかな光。
▲不正ユーザーが使用するとこの通り。
LEDが赤く発光し、トリガーをロック。劇中再現も完璧。
▲エリミネーター状態。銃口が開口し、対象者を排除する。
試作段階では外装内部の配線が剥き出しになっていましたが、製品版では見事に見えなくなっています。
▲前衛的な工学アートのような佇まいを見せる、圧倒的な存在感。
整然と組み込まれた無数のパーツ、それらハードウェアをものの数秒で見事に変形させる技術、音と光。シビュラシステムは現実に存在する――そんな錯覚にさえ陥る、至上の体験。
■専用アプリとの連携
シビュラシステムアプリと連携することでCerevo ドミネーターは性能をフルに発揮しますが、ドミネーター単体でも変形・音声ギミックは楽しめます。ですがここは是非ともアプリと連携させたいところ。アプリと連携することで、ドミネーターは主に下記の2モードで楽しむことができます。
・Transform Mode (変形モード)
対象の犯罪係数の測定を行わずに、変形・発射動作を確認できるモード。工場出荷時はこちらのモードに設定されています。
・Execution Mode (執行モード)
内蔵カメラで対象の犯罪係数の測定を擬似的に行い、数値に応じた執行が可能となるモード。
▲ドミネーターとスマートデバイスをWi-fiで接続するとアプリのメインメニューが起動。
ユーザーインターフェイスもPSYCHO-PASSの世界観をイメージしたデザイン。Wi-fi接続もとても簡単。
▲「Character」を選択するとドミネータ-が発するボイスのユーザーを選択可能。
常守監視官から狡噛執行官、宜野座さんをはじめ、1期から2期の主要キャラクターを網羅。前述の通り、不正ユーザーを選択した時はドミネーターが赤く発光し、使用不可能になるというギミックまで再現したこだわりっぷり。お気に入りのキャラになりきってドミネーターを手に取ろう。このキャラクターの説明文には本編の核心的なネタバレまで含まれているので要注意。
▲変形モード時の設定画面。
ユーザーがトリガーをコントロールすることで変形する「USER CONTROL」の他に、パラライザー及びエリミネーター状態を固定する「PARALYZER ONLY」「ELIMINATOR ONLY」モードも搭載。ドミネーター本体を手にしていなくても、シビュラアプリと接続されていれば、アプリ側で変形をコントロールすることが可能に。
▲執行モード時のデバイス画面。ドミネーターが捉えたカメラの映像がスマートデバイス上で再生される。
人物認証でカメラが人の顔を捉え、トリガーを甘引きすると犯罪係数の計測が開始される。
▲自分のサイコパスを計測したところ、見事犯罪係数700オーバーの執行対象に!
東金君ばりの計測値を叩きだしてめでたく執行完了。トリガーを引くとダキューンと効果音が鳴って画像が撮影され、エリミネーターからパラライザーへ自動変形。撮影した画像はそのままTwitter等のSNSへ投稿することも可能。
なお今回は犯罪係数700というとんでもない数値が出ましたが、次に同じセッティングで計測したら犯罪係数は60と執行対象外に。どうも犯罪係数の測定はランダムではなく、ある種のアルゴリズムがあるようです。
執行モード時におけるパラライザー・エリミネーターの変形条件は下記の通り。
・犯罪係数100未満:パラライザーに変形。但し執行対象では無いためトリガーはロックされる。
・犯罪係数100以上、299以下:パラライザーに変形。
・犯罪係数300以上:エリミネーターに変形。
このように、劇中での犯罪係数の規定設定値通りにドミネーターが自動変形します。
▲SOUND TESTモードでは、本機のために新規収録されたドミネーター音声(C.V.日高のり子)を視聴可能。
デコンポーザーやスローターの音声までも収録済み…教授!これは一体!?
▲セッティングモードではドミネーター本体の様々なパラメーターをコンフィグ可能。
LEDの明るさ、変形スピードの他、ボリュームや音声の出力変更も可能。ドミネーター本体のスピーカーは小さいので、音声や効果音はそこまで大きくならないのですが、音声出力先をスマートデバイス本体やデバイスに接続されたスピーカーに変更することで、より大音量で楽しむことができます。
▲クレジット画面。
最後に動画で実際の変形模様、音声をチェック。
やはり変形の瞬間が一番テンションが上がります。エリミネーターからパラライザーへ整然と戻る様が快感。ドミネーターの音声もバンダイのPROPLICA ドミネーターより鮮明で気持ちいいです。 なお、動画では音声のボリューム確保のために、ドミネーターの音声出力先をアプリへと変更しています。
■総評
果たしてこのドミネーターにどうケチをつけるか。記事を執筆している最中からそれは烏滸がましいにも程があるのではないかと思っていましたが、課題点は幾つか残されています。
課題その1:バッテリー関連
Cerevo社長のTweet内容から、バッテリーの着脱は当初スムーズにできるようテストしてきたみたいですが、製品版では取り出すのに苦労しました。幸い簡単な対処で解決できるので、この点のストレスはなくなる筈です。そしてバッテリーのスタミナ。これはもう本体の消費電力がヤバいのでしょう。エリミネーターでの駆動時間は保って30分。予備のバッテリーは必須だと感じました。
課題その2:発射エフェクト音に迫力がない
本体のスピーカーからの出力だと何とも微妙な発射音。変形音の方がうるさいくらいです。音の出力先をデバイス側かそれを介したスピーカーに変更すれば印象は随分変わります。構造上、アプリを介して内部収録サウンドをアップデートできるのかはわかりませんが、今後のアップデートで変われば大きな魅力へと変わるでしょう。
課題その3:デコンポーザーへの変形
これはもうケチでも何でもなく、純粋にDOMINATOR ver.2.0への課題と言うか切実な希望。ここまで素晴らしい変形を見せつけられると、嫌が応でもデコンポーザーへの夢が膨らみます。
専用オプション類をはじめ、Cerevoではまだこのドミネーターに色々と隠し玉を用意しているみたいです。課題点こそ挙げましたが、長く遊べるマスターピースであることは言うまでもありません。
我々オタクという生き物は果てしなく我儘で、完璧な玩具やフィギュアが欲しいと常に思っている欲の塊。しかしながらCerevoはそのオタク達に向けて、現代技術或いは同社が持つ製品開発力を注ぎ込み、あっと言わせる驚きの完成度でドミネーターを発売しました。そう、このCerevo ドミネーターの一番凄い所はギミックでも何でもなく、2次元にしか存在し得なかったガジェットを、手に取ることができる価格で、それも所有欲を満たすディテールを伴いつつ、同社の得意とする「インターネット/スマートデバイス連携」を用いて、高次元に再現したことに意義があるのです。
繰り返しになりますが、これはワンオフ物の特注品ではありません。誰もが手にすることができるとんでもない技術の無駄遣いの結晶です。 手にした者は、遥か未来に存在するかもしれないシビュラシステムへと思いを馳せ、この技術の塊に驚愕しましょう。まだ手にしてない人は、そうですね。 値段を見ずに購入ボタンをクリックすればいいんじゃないかな!
以上、Cerevo DOMINATOR(ドミネーター) SPECIAL EDITIONのレビューでした。
「成しうる者が為すべきを為す。これこそシビュラが人類にもたらした恩寵である」 Cerevo社がこのドミネーターを作り上げたこと自体が、シビュラの意思なのかもしれません。
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