『3月のライオン』『ハチミツとクローバー』がヒット作として知られる羽海野チカの一巻完結短編集がこの『スピカ』である。「野球を続ける夢」を追えなくなった少年と「バレエを続ける夢」を追い続けることに迷いだした少女による青春ストーリーの表題作「スピカ」や、世界に数頭しかいない幻の「ミドリ色のイヌ」を探す少年探偵の話である「ミドリの仔犬」などが含まれる。
『スピカ』には少年探偵・バレエ・ショートストーリー・エッセイなど様々なジャンルの、ユーモアとその裏にちょっとしたほろ苦さを感じる大人な味わいの短編が6つ収録されている。
(出典:『スピカ』)
ボーイ・ミーツ・ガール「スピカ」
表題作の「スピカ」は怪我によって「野球を続ける夢」を追えなくなった少年と親の反対にあい「バレエを続ける夢」を追い続けることに迷いだした少女による青春ストーリーである。
転校生の「美園さん」は「イリオモテヤマネコ」のような少女である。転校してきてから朝は遅刻ギリギリ、休み時間は寝てて、放課後はすぐにいなくなると天然記念物並みの遭遇のしにくさであった。彼女は学校の外でバレエをしていたのだ。
そんな彼女と勉強を教えることを通じて仲良くなった野球部の少年の物語になっている。「夢を追うこと」をテーマにその辛さや覚悟が描かれている。
(出典:『スピカ』)
エッセイ「イノセンスを待ちながら」
短いエッセイであるが最後にのっている「イノセンスを待ちながら」もいい。羽海野さんが強く心に残っている作品だと言う、アニメ映画の押井守監督の「パトレイバー劇場版」「攻殻機動隊」に出てくる「南雲警部」「バトー」について語られている。
心の内を語らないことで共通する二人のキャラクターの「人間臭さ」に心を打たれるという。短い中でも羽海野チカさんが「攻殻機動隊」などの映画をこう見るのかと感じるエッセイとなっている。
(出典:『スピカ』)
まとめ
というわけで羽海野チカさんの『スピカ』を紹介した。羽海野さんファンで「ハチクロ」や「三月のライオン」が好きな人はぜひ読んでみたほうがいい。気にいるはずである。羽海野作品を読んだことがなくても心地よい読後感を得たい人にはオススメの作品である。
(出典:『スピカ』)
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