地価と建築費の高騰や国内外の富裕層による積極的な投資活動によって、首都圏マンション価格は上昇が続いている。昼間にフードコートに設置された約800席の大半が埋まり、ベビーカーが所狭しと並ぶ。ランチを楽しむのは“ムサコマダム”と呼ばれる主婦。商業施設「グランツリー武蔵小杉」(川崎市中原区)の平日の光景だ。リクルート住まいカンパニーの「2016年版 住みたい街ランキング」で、再開発が進む武蔵小杉は4位。12年の15位から大きく順位を上げた。グランツリー武蔵小杉が原動力となり、おしゃれで新しい街のイメージが定着し、新築マンション価格も跳ね上がってきた。
同施設に隣接する形で完成したのが、住友不動産が販売する地上53階建ての免震型タワーマンション「シティタワー武蔵小杉」。住戸によっては1坪(3.3平方メートル)当たりの分譲単価が400万円を超える。高級物件がひしめく東京都港区の数年前と匹敵する価格帯だ。それでも東京都心部に本社を置く金融機関に勤めるファミリー層を中心に人気は高い。総戸数は800。既に約6割の住戸が契約済みで、菅井一樹・武蔵小杉マンションギャラリー主任は「これから1年半かけて売り切る」と自信を示す。
都心部の超高層マンションの人気も根強い。代表例が、昨年11月に三井不動産が発売した地上44階建ての「パークコート 赤坂檜町 ザ タワー」(東京都港区)だ。販売戸数は163で、平均価格は2億6400万円。坪単価は平均約1000万円と、バブル崩壊後の物件としては初めて大台に達した高額物件だが、東京ミッドタウンに近い抜群のロケーションを武器に全住戸に申し込みがあった。
不動産経済研究所(同新宿区)によると、2月に首都圏で発売された物件の平均価格は5773万円。前年同月比1.4%増で9カ月連続の上昇だ。一方、企業業績の好転でリストラに伴う土地放出が激減したこともあり、郊外でも「マンション開発に適した広い土地は高値で取引されている」(不動産会社の担当者)。東京・多摩地区の旧官舎跡地の入札は、周辺より約3割も高い価格で不動産開発会社が競り落とした。
こうした状況は前回の価格上昇局面の終盤に当たる2008年頃と酷似しており、手が届きにくくなってきた30~40代のファミリー層の購入意欲は鈍ってきた。前回はリーマン・ショックが契機となって価格が反落したが、「『同じような事態(価格調整)が再び訪れるはず』との危機感から、高値が予想される入札競争には参加しない事業者が顕著に増えてきた」(不動産会社)との指摘もある。都心部についても、「シンガポールや香港、台北、上海に比べると割安感は大きい」との見方がある半面、年明け以降の円高や株安で投資マネーの流入が鈍る可能性もあり、マンション販売や地価動向の先行きは不透明感が拭えない。(伊藤俊祐)
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