(英エコノミスト誌 2016年3月19日号)

中国北部の炭鉱で落盤事故、11人死亡

中国・陝西省西安付近の鉱山で、仕事を終えた作業員ら(2008年11月21日撮影、本文とは関係ありません)。〔AFPBB News

鉱山労働者の大規模な抗議行動が政府の改革計画にとって悪い前兆だ。

「共産党は俺たちのカネを返せ!」「生きていたい、食べさせろ!」──。

 3月12日、ロシアとの国境に近い中国・黒竜江省の双鴨山(そうおうさん、シュワンヤーシヤン)市のうらぶれた通りで数千人の炭鉱労働者が掲げた横断幕には、そんなスローガンがなぐり書きされていた。

 彼らはこの日、中国東北部最大の石炭会社で双鴨山最大の国有企業でもある竜煤グループの本社前に集まり、少なくとも2カ月支給されていない賃金を払えと声を上げた。

 中には鉄道の運行を邪魔したり、機動隊員ともみ合ったりする者もいた。インターネットでは、抗議行動の写真がソーシャルメディアで拡散されていった。その一方で、検閲当局がそれを削除していった。

 今回の抗議行動は、国有企業の従業員によるものとしては、これまで何年もなかった大規模なものだ。中国政府は、竜煤グループのような国有企業の過剰生産能力を縮小してその莫大な赤字を圧縮しようとしている。政府は今後、おそらく同様の出来事に直面することになるだろう。

 人事社会保障相(労働大臣に相当)の尹蔚民氏は2月、今後5年間で炭鉱労働者130万人と鉄鋼労働者50万人が職を失う可能性があると述べていた。

 これらにアルミやガラスの産業も加えれば計300万~500万人が失業するかもしれないとの推計もある。1990年代の後半に国有企業が行ったリストラでは数千万人分の雇用が失われた。それに比べればまだはるかに少ない。

 だが、双鴨山のように少数の国有企業のおかげで経済が成り立っている都市もある。そういう場所での事業縮小は大きな衝撃をもたらすだろうし、下手をすれば騒乱が起こるかもしれない。