【コラム】民族問題研究所に学ぶ「押し売り」のこつ

 

 今にして思えば、『親日人名辞典』は誕生時から政治勢力の特別な保護と恩恵を受けてきた。金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代、同辞典の編さんに対し、国史編さん委員会(国編)を通して8億ウォン(現在のレートで約7650万円)の国家予算が投じられた。これも、国会が一方的に組んでよこした予算だった。当時の国史編さん委員の会議録に、こんなやりとりが出てくる。


A委員「国家機関が民間団体に国庫の支援をするのは問題ではないのか」


国編委員長「われわれが提案したものではなく、要求したわけでもない。この団体の人々が国会でロビー活動でもやったのか、国会の職権で予算を作り、送ってきた」



B委員「彼らの能力や幾つかの部分は、検証されたものではない」


C委員「客観性や公正性が問題だ」


D委員「その予算、元に戻せと言えばいいのではないか」


E委員「国編の委員が全員反対したという点をはっきり残しておくべき」


国編委員長「書記は今日の会議の内容をしっかり記録しておくように」



 光復(日本の植民地支配からの解放)直後、親日派清算の熱気が最も高まっていた当時、反民族行為調査特別委員会(反民特委)が確定した親日派は688人だった。60年の歳月を経て、民族問題研究所はこれを4390人に増やした。韓国をつくり、育て、発展させた人々を多数含んでいた。同じ親日でも、左派であったり北朝鮮に渡ったりした人物については、扱いが寛大だった。こうした不公平・不公正の裏に『親日人名辞典』の政治的目的が隠れている。彼らの目に映る韓国近現代史は、正義と不義の戦いの過程だ。自分たちだけが正義の側に立っているという独善が、彼らに、国民の税金で『親日人名辞典』を制作・配布するという「特別扱い」と「押し売り」をさせたのだろう。この問題に対する教育部(省に相当)の無神経、不見識は『親日人名辞典』興行のもう一つの要因だ。今回も、ソウル・デジテック高校をはじめ、辞典購入を拒否した数校の校長先生の良識が目立っただけだった。

金泰翼(キム・テイク)論説委員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】民族問題研究所に学ぶ「押し売り」のこつ

right

関連ニュース