コピックは、Tooが開発したアルコールマーカーブランドだ。もともとは建築やファッションの現場で使われていたものがその汎用(はんよう)性の高さから、イラストや漫画、絵画のジャンルで使われるようになった。
今回は、もともとコピックファンだった筆者がToo公式Blogから、イラストレーター・ちゃだるみさんの人気講座の存在を知り、実際に参加してみた様子をレポートする。
関西中心にコピックを使った体験ワークショップを行っている。今回はワークショップイベントが始まってから、関東初上陸とのこと。コピックの濃淡を生かした絵に定評があり、Twitterでは1日1枚コピックで描いた「今日は何の日?」のイラストをアップしている。(今回のワークショップ開催場所:東急ハンズ横浜店)
実際に色を塗る下絵はちゃだるみさんが描いたもの。今回は、その下絵にコピックチャオを使って、30分間レクチャーを受けながら色を塗っていくワークショップだった。
ちゃだるみさん まずは、薄いベージュを使って、肌を塗っていきましょう。今回使う「コピックチャオ」は、ペン先が「ミディアムブロード」と言って広く塗れる側と、「スーパーブラシ」と言って筆のように塗れる側に分かれています。ブラシのほうが塗り絵で色を重ねていくのにオススメですよ。
ちゃだるみさん コピックの魅力は「薄い色を塗り重ねる」もしくは「濃い色を入れて重ねる」か、自分で選べるところでもあるんですよ。ほっぺなどは薄めのピンクを重ねていくのがいいでしょう。
コピックチャオを使って塗るときは「スーパーブラシ」側を使うべし。
ちゃだるみさん 次は、髪の毛を塗っていきましょう。ポイントは薄い色から塗ることです。薄い色から塗った後、徐々に濃い色を塗り重ねてみてください。
―― えっ、でも人間の普通の髪の毛って黒や茶色ですよね? 濃い茶色を塗ってはいけないんですか?
ちゃだるみさん 実は髪の毛を塗るとき、初心者さんは茶色や黒を選びがちです。それだとコピックの濃淡がうまく出せなかったり、失敗したときにやり直しがきかなかったりするんです。濃い色で全体を塗るのではなく、濃い色は部分的に差し込むことで濃淡の良さが出てグッとしまる絵になりますよ。
―― 濃い色から塗り始めないところがポイントなんですね。納得です。
薄い色から塗り始めることがコツ。
ちゃだるみさん 水玉模様やしま模様も入れてみてください。最初に模様をつけておけば、その模様の上から別の色を塗っても、ちゃんと残っていますよ。
―― 模様との境界をハッキリさせたいときってどうすればいいですか?
ちゃだるみさん コピックマルチライナーを使うと、境界が分かるようになりますのでオススメです。紫に青を重ねるのか、それとも黄色を重ねるのかで見栄えが変わってくるので、塗る前に試し書きをして別の紙でテストしてみることをオススメします。
「コピックマルチライナー」の合わせ技で塗るのもオススメ。
塗る前に、別紙で発色を確かめてから塗ること。
―― ちゃだるみさんの絵のように髪に輝きをつけたいときはどうしたらいいんですか?
ちゃだるみさん 髪に出ている「天使の輪っか」のことですね。
―― はい、この髪の輝きってどの色でも作ることができるんですか?
ちゃだるみさん これはどの色でやっても、ちゃんと作ることができますよ。影を出す位置だったり、色を塗らなかったりする部分を意図的に出せば、同じように作れます。最初のうちはコツが必要かもしれませんが、薄い色から塗っていけばやり直しは効きますし、使っていくうちに「濃い色はこの部分にちょこっとだけでいいんだなー」と量も分かってくるようになります。まずはうまい人の塗り方を参考に、光の角度を意識してみてくださいね。
髪の輝きは光の角度を考える。
女の子はネコを抱いているのだが、正直筆者が塗ったほうはネコではなく、リスに見える。なぜだろう……。また、全体的にごちゃごちゃしている印象だ。一方、ちゃだるみさんの作品のほうが色合いが自然で、洗練されている印象がある。
今回ワークショップに参加した親子に感想を聞いてみたところ「コピックに触ったことがなかったけれど、描きやすくて楽しかった(娘さん)」「娘の付き添いでしたが、漫画家さんのようにすんなり描けて驚いた。子どもに買ってあげる前に試せるのは魅力(お父さん)」と言っていた。
午後からは大人の女性たちもこぞって参加。ワークショップは小さいお子さんにも、お絵描き好きの大人にも好評らしい。
ちゃだるみさんは「コピックって下絵が一緒でも、塗り方によって自由自在に変化するんです。だから、最終的にお客さんによって全く違う印象の絵になるし、毎回新しい発見があります。ワークショップを通じて、コピックの良さを知ってもらえたらうれしいです」と言う。
実際にコピックの販売を行うトゥールズの東急ハンズ販売課マネージャーの高山庄平氏は「コピックは海外愛好者も増えていて、日本に観光に来るとコピックをお土産に買って帰る人も多いんです。既に売上の50%ぐらいが海外のお客さんという店舗もあります」と話してくれた。
高山氏の話を聞いて、国内外問わず、コピックの人気の高さを思い知った筆者であった。今回のワークショップは「色塗り」というテーマであったが「お客さんの声次第ですが、関東でももっとワークショップをやっていきたい(高山氏)」とのこと。筆者も次の機会にはイラストで「天使の輪っか」が表現できるよう上達したいものだ……。
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