政府の「国際金融経済分析会合」で、世界的経済学者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授が消費税率10%への引き上げ見送りを安倍晋三首相に進言し、増税延期は確定的になってきた。さらに「税率5%への減税を」と踏み込むのが22日の同会合に出席するポール・クルーグマン米プリンストン大名誉教授だ。財務省の激しい抵抗も予想されるが、消費減税は実現するのか。
スティグリッツ氏と同様にノーベル経済学賞受賞者であるクルーグマン氏は日本経済にも詳しく、デフレ脱却のために大胆な金融政策や財政政策の実行を訴えてきた。2014年11月には首相官邸を訪ね、増税延期を進言した。
内閣官房参与の浜田宏一米エール大学名誉教授との共著『2020年世界経済の勝者と敗者』(講談社)でも「増税以降、日本経済は勢いを失い始めた」としたうえで、効果的な政策は「増税した消費税を一時的に減税することです。安倍首相が増税したことは気の迷いだったと一笑に付せばよい。そうして、元の税率に戻すのです」と述べた。14年4月に8%に引き上げた税率を5%に戻せという主張だ。
クルーグマン氏の消費減税案について「経済の常識と日本の現実のデータをみても適切な処方箋だ」と語るのは、上武大教授の田中秀臣氏。
「日本経済の抱える問題は消費の低迷にあり、その原因は消費増税だ。財務省は消費増税で将来不安が消え、景気が上向くと主張してきたが、実態は逆で、消費者は財布のひもを引き締め、社会保障や年金も不安定化している。最も確実な対策は消費税率を5%に戻すことだ」と訴える。