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映画で中国の扱いが大きいからって「中国!中国!」と騒ぐのはみっともない

映画

www.sankei.com

公開中の「オデッセイ」などハリウッドの大作映画で、中国のキャストや風景などの“中国色”が目立つ作品が増えてきた。背景には、中国の巨大な映画市場とその特殊性がある。

 「オデッセイ」は、火星にたった一人残された男のサバイバルを描いたSF作品。その作品で、中国は救出計画の鍵となり、プロジェクトの成否を心配そうに見守る中国人群衆の姿が何度も映し出された。

 映画評論家の秋本鉄次さんは「『70億人が彼の還りを待っている』というキャッチコピーなのに、米国以外は中国ばかり。まるで米中共同救出作戦のようで、違和感を覚えた」と語る。

「オデッセイ」で重要なキーを握る存在として中国が出てくることに違和感があるらしい記者と映画評論家 秋本鉄次。

いやー、こういうのが一番恥ずかしい。
しかも記事の根拠が映画2本だけ……。



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米中タッグ

当然、他の評論?記事でも還暦の映画評論家 秋本鉄次は同じことを書いてる。

だが、私は偏屈だ。還暦を過ぎてますます偏屈になってきた気がする。救出に手を貸すのが中国で、NASAに協力して、という後半がどうも合点がいかない。

何だよ、宇宙進出も米中協力かよ、大国同士で仲がおよろしいことで、きっと太平洋も最終的に米中で支配する密約もあんじゃねーの、と皮肉りたくなる。
映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『オデッセイ』 | まいじつ

明らかに原作を読んでない、調べてない。
密約を勘ぐる以前にまず読んだほうがいいんじゃなかろうか。
仕事ならせめて読むか調べてからにしたら?

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原作に、支援国として中国が登場する。
これをわざわざ日本やロシアに変える理由なんざどこにもないし、設定をわざわざ変えるならそれこそ違和感。

さらにいうなら現実の中国にしろいまや経済成長を続け、宇宙開発に関しても力を入れてる。
別に中国の技術や状況を誇張しまくった結果でもない。

中国は来年、アメリカのアレシボ天文台(プエルトリコ)を上回る世界最大の電波望遠鏡を完成させる予定だ。世界最大の太陽望遠鏡の建設も計画している。その大きさは、アメリカが現在ハワイに建設中のものの倍近くに達する。

 先月には独自の火星探査機をお披露目し、来年には宇宙ステーション「天宮2号」を打ち上げる。22年頃には有人宇宙ステーションを稼働させたいと、中国当局は考えている。
宇宙での「中国外し」は限界 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

中国の国家航天局は9月20日、同国の新世代ロケットの皮切りとなる「長征6」ロケット初号機を太原衛星発射センター(山西省)から打ち上げた。

 さらに航天局は9月25日、酒泉衛星発射センター(甘粛省)から、同じく新世代の「長征11」の初打ち上げを実施。わずか5日の間隔で、新型ロケット2機種の初打ち上げを相次いで成功させたわけだ。
新しい「長征」が中国の宇宙開発を加速する理由:日経ビジネスオンライン

中国がアメリカに協力することは現代であれば充分ありえる。
だからこそ作中に盛り込まれている。

もちろんハリウッドに巨大な中国資本が入り、さらに映画のマーケットとして中国を意識したうえでプロパガンダの意味があることを否定はしませんよ。

でもね、こうやって中国が出てくるたびに日本で「ちうごくがーちうごくがー」って恥ずかしいったらねーわ。
 
 

日米か米中か

「バトルシップ」で日米で手を組んで宇宙人と戦った設定がありましたが、アレを見た中国でどっかのご立派な映画評論家が「どうして演習中に地球を脅かす宇宙人が登場して、それを倒すのが日米なんだ!?あの宇宙人は我々の暗喩ではないのか!!プロパガンダだ!」なんて言い出したらこっぱずかいしいのと同じ。

「ブラックレイン」に松田優作が出てることを中国で「日本人をあんな大きな役につけるだなんて!」という指摘が合ったとすればどう感じるんだよ?

「ダイハード」だって日本がバブル景気で買収しまくってたから日本企業が買収したナカトミビルでテロが起きたし、そりゃあ今なら中国人だって出るでしょうよ。
「中国人が出てる!」じゃなく、どうして「日本人俳優も出れるように頑張れ!」にならんのかね、こういういうひとは。
まぁ、映画評論家なんざ大多数はろくでもない。
 

ハリウッドに進出するアジアと取り残される日本

いまのハリウッドを見ると監督には、韓国出身者の進出が目立つ。
「イノセント・ガーデン」を撮ったパク・チャヌク。
ポン・ジュノは「スノーピアサー」
キム・ジウンはシュワルツェネッガー主演「ラストスタンド」
「オールド・ボーイ」もハリウッド・リメイクし、キム・ギドクはヴェネツィア国際映画祭やカンヌで受賞歴も多数ある。
韓国映画を見ると昭和初期の日本にあったような熱量や勢いが感じられる。

中国資本も拡大し、アジアがハリウッドでも存在感を増しつつある。
そんな中、日本映画界だけは相変わらず。

「中国資本がハリウッドに進出して憂鬱だ」なんて言ってる間に日本の才能が出てこないことを嘆くのが先じゃね?
NBAだって中国人プレイヤーのヤオ・ミンが活躍してバスケットに関しても日本より圧倒的に盛り上がってる。

妬んでる間に気づけば追いつかれて追い越されてる。
勢いのある日本人監督を考えても、名前を思いつかない時点でヤバいよなぁ……。

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