SIMフリー市場に、中国メーカーのZTEが本格攻勢をかけてくる方針を打ち出しました。同社の日本法人、代表取締役社長 李明氏が語ったことで、「まずは、オープンマーケットでトップ3に入る目標」だと語っています。 

ZTEが本気を出す

すべての写真を見る

10 枚


ZTEジャパンの代表取締役社長、李明氏


これに合わせ、同社は「3万円を切りながら5.5インチのフルHDディスプレイを搭載している」(プロダクトマーケティング ディレクター 吉本晃氏)という、「Blade V580」を投入。昨年12月に発売され、すでに店頭で並んでいる「Blade V6」も値下げを行い、1万9800円というアグレッシブな価格を打ち出してきました。

3万円を切る価格で機能満載な「Blade V580」
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

新たに発表したBlade V580は、5.5インチのフルHDディスプレイのほかに、東芝製のセンサーを搭載した13メガカメラ、5メガピクセルの自撮り用カメラを搭載しており、バッテリーも3000mAhと十分な容量。こうした特徴に加え、この価格帯では珍しい、指紋センサーにも対応しています。価格は2万7800円。SIMフリースマホで"売れ筋"と言われている、3万円を下回る値付けになっています。

背面には13メガピクセルカメラと指紋センサーを搭載
OLYMPUS DIGITAL CAMERA


バッテリーは3000mAhと大容量
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この価格帯のスマホは、プラスチック筐体でコストを抑えるのが一般的ですが、Blade V580は、ここにも金属を採用。「アルマイト加工でさびにくく、使い勝手のいいメタルフレームになっている」(吉本氏)と、ZTEも自信をのぞかせています。直接比較できるものではないことは重々承知していますが、"安くなった"と言われている「iPhone SE」ですら、16GB版で5万2800円。その半額程度で買えて、必要十分なことはこなせるスマホがBlade V580だというわけです。

金属筐体採用で8.55mmとスリム
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

iPhone風デザインでも価格は半額程度
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Blade V580に代表されるように、ZTEはコスパに優れたモデルを開発するのが得意なメーカー。日本でも、「g01」「g02」「g03」「g05」や、値下げを発表した「Blade V6」、ミッドハイモデルの「AXON mini」など、お得感のあるモデルをSIMフリーで投入してきました。こうした機種は、玄人筋からの受けがよく、海外での実績も買われていましたが、実際の広がりは、今ひとつというのが正直なところでした。

1万9800円に値下げされた「Blade V6」
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

米国ではサムスンやアップル、LGに次いで、京セラやalcatelなどとシェアを競うメーカーなだけに、日本での存在感には少々物足りなさが残ります。同時期にSIMフリーモデルをいち早く投入してきた、プラスワン・マーケティング(FREETEL)、ASUS、ファーウェイの3社に比べると、日本市場ではまだまだマイナーな存在にとどまっています。その上位3社ですら、一般層での知名度はまだまだな中では、さらなる取り組みが求められます。

ZTEがSIMフリー市場で存在感を発揮できない理由の1つとして、吉本氏が挙げていたのが、ブランディングの失敗です。吉本氏は「当初gooのスマホだったこともあり、名前が知られていなかった」と過去を振り返ります。ブランドとして、gooの名前が立ってしまう形で販売してきたため、メーカーとしての認知度が下がってしまったというわけです。同時に、gooの場合、当初はネット販売のみにとどまっていたことも、他社のリードを許してしまった原因と言えるかもしれません。

ガラスを背面に使った「g05」など、goo経由でも端末を提供
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

一方で、吉本氏はこの反省を生かし、「今年はその辺に力を入れ、ZTEという名前を知ってもらう活動をしていく」と語っています。また、グローバルで展開するメーカーなだけに、ZTEは幅広いラインナップを持っており、「そこからいろいろなものを持ってきている」(吉本氏)ため、端末のブランドもバラバラになっています。上位モデルとしてAXONがある一方で、Bladeシリーズもあり、さらにBladeシリーズの中でも型番が不規則についてしまっている状況なのです。

これでは、ユーザーが選ぶ際に、どれがいいのかがすぐに分かりません。ZTEではこうした分かりづらさも反省材料だとしおており、「ブランドイメージ、製品系列、ランクまではっきりさせないといけないと感じている。順次整理していきたい」(吉本氏)といいます。

ただ、同じ中国メーカーとして日本のSIMフリー市場で先行しているファーウェイは、ソフトバンクホークスにスポンサードするなど、ブランドイメージを高める施策も打ち出しており、近く銀座にカスタマーサポートの拠点を設ける予定もあるといいます。SIMフリーメーカーの中でも、上位陣は次のステージに進もうとしているというわけです。

同様にZTEも、海外ではNBAのバスケットボールチームのスポンサーをしており、ブランド認知のための活動は行っています。バスケットボールチームのロゴを入れた限定モデルを発売するなど、ファンに対してのアピールにも余念がありません。ただ、日本でのNBAの知名度を考えると、同じ枠組みをそのまま直輸入するだけというのは少々無理があります。同じバスケットボールつながりでソフトバンクがトップパートナーになった「B.LEAGUE」に乗っかるなど、何らかのローカル事情に合わせた取り組みが求められるのかもしれません。

海外ではNBAロゴ入りの「AXON mini」も展開
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
iPhoneの半額以下で国内SIMフリー市場に本格攻勢、ZTEが目指すところとは?

0 コメント