公益通報者保護法 処分などできるよう見直しを

公益通報者保護法 処分などできるよう見直しを
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企業の不正を内部通報した人が、解雇されるなど不当な扱いを受けたと訴えるケースが相次いでいることを受けて、消費者庁の検討会は、不当な扱いを行った企業に対し、何らかの行政指導や処分ができるよう、「公益通報者保護法」を見直すべきだという報告書をまとめました。
企業の不正を内部通報した人の不当な扱いを禁じた「公益通報者保護法」は、10年前の平成18年に施行されましたが、企業に対する処分や罰則の規定がなく、法律の実効性に課題があると指摘されています。
消費者庁によりますと、法律の施行後も、内部通報をした人が解雇されるなど不当な扱いを受けたとして裁判を起こすケースが相次ぎ、これまでに少なくとも29件確認されているということです。
このため、消費者庁に設けられた有識者による検討会は、内部通報した人を解雇したり降格したりした企業に対して、指導や勧告など何らかの行政指導や処分ができるよう、公益通報者保護法を見直すべきだという報告書をまとめました。また、内部通報をした人を国として適切に守れるように、消費者庁に専門の対応窓口を設けることも求めています。ただ、今回の報告書では、企業や経営者らに刑事罰も科せるようにするかどうかまでは意見がまとまらず、今後も引き続き議論を続けることになりました。

市民グループ「刑事罰の導入を」

消費者庁の検討会が、公益通報者保護法の見直しを求める報告書をまとめたことを受けて、内部通報の経験者などで作る市民グループが記者会見を開き、「一定の評価はできるものの、刑事罰を導入するなど、より厳しい制度にすべきだ」と訴えました。

記者会見を開いたのは、内部通報の経験者や消費者団体、弁護士などで作る市民グループです。この中で、グループの事務局長を務める拝師徳彦弁護士は、「内部通報を消費者庁が受け付けるようにし、通報者が守られない場合、行政指導や処分で対処すべきだと踏み込んだのは大きな前進だ」と述べ、検討会の報告書に一定の評価をしました。一方で、「消費者庁に持たせる権限について何も触れられていないほか、企業や経営者らに刑事罰を科すことも盛り込まれておらず、重要な論点が積み残されている」として、より厳しい制度となるよう、さらに議論を深めるべきだと訴えました。