それでも中国のアフリカ進出のスピードは加速しています。現在アフリカ全土には100万人以上の中国人が暮らしています。さらに中国政府には2億人から3億人の移民をアフリカに送り込む計画があると言います。
かつては中国人のほとんどが鉱山労働者、工事現場作業員などでした。しかしいま、ビジネスに成功して莫大な金を手にした中国人は、経営者や投資家に転身しました。投資される側のアフリカ各国の政府や企業は、投資家の要求や条件を飲まざるをえなくなります。
しかも成功者が本国から一族を呼び寄せて、サイドビジネスを任せる。そこで資本を手にした中国人がまた別のビジネスを手がけ、さらに親族を呼び、中国人の人口が増えていく。数十年後、気付いたときには町も文化も、そして国土も、中国に支配されているとしても不思議ではないのです。
【PROFILE】ザイール共和国(現コンゴ民主共和国)生まれ。国際政治評論家。1985年に来日し東京電機大学電子工学科を卒業。現在、千葉科学大学教授、神奈川工科大学特任教授。総務省、経済産業省、文部科学省の任期付き参与。近著に『中国が喰いモノにするアフリカを日本が救う』(講談社+α新書)。
※SAPIO2016年4月号