消えた韓流ドラマ、地上波放送は在京TVキー局で1局、「嫌韓」ムードが背景に
配信日時:2016年3月20日(日) 17時40分
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一時、人気を集めた「韓流ドラマ」が在京民放キー局の地上波から、ほとんど姿を消した。NHKも昨年8月、放映を打ち切った。その背景には日本社会で広がった「嫌韓」ムードがある。資料写真。
2016年3月18日、一世を風靡(ふうび)した「韓流ドラマ」がテレビの地上波から影を潜めて久しい。日韓関係が悪化して「嫌韓」ムードが広がり、スポンサーがつきにくくなったことや、新しいスターの不在、魅力的なコンテンツ不足などが重なったためとみられる。在京民放キー局で放映しているのは1局(3月現在)だけだ。
韓流ドラマの人気に火を付けたのは、何と言っても「冬のソナタ」。03年にNHKのBSで放送された後、翌年には地上波で再放送され、男女の織りなす恋愛模様が特に主婦層のハートをつかんだ。主演のペ・ヨンジュンは日本で「ヨン様」と呼ばれるほどのスターになり、来日するたび空港に大勢の女性ファンが詰めかけた。
その後、民放各局も韓流ドラマ枠を設け追随。「天国の会談」「真実」などが相次いで放映された。しかし、ブームは長続きせず、各局は次第に撤退、NHKでもBSプレミアムで放送された「奇皇后〜ふたつの愛 涙の誓い」が 昨年8月に終了し、12年続いた韓流ドラマの流れが途絶えた。
韓流ドラマを紹介しているサイトによると、NHK総合、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビの地上波は、いずれも「放送予定なし」。在京民放キー局で放送しているのはテレビ東京1局だ。東京周辺ではMXテレビ、テレビ神奈川、テレビ埼玉、千葉テレビなどのローカル局でかろうじて生き残っている。
韓流ドラマは中国などでは引き続き人気を保っており、衰退にとどめを刺したのは、日本社会で「嫌韓」ムードが一気に拡大したことだろう。12年8月の李明博大統領(当時)の 竹島(韓国名・独島)上陸や、天皇陛下への謝罪要求発言などを契機に、音楽の分野でも人気だったK−POPが急速に勢いを失った。
韓流ドラマが海外に輸出されるようになったのは、政府の後押しがあったからだ。1997年のアジア通貨危機がきっかけで翌年、当時の金大中大統領が「文化大統領宣言」を発表。文化を21世紀の基幹産業とすることを決定した。99年度にはコンテンツ予算を一挙に6倍に増やし、文化産業の育成に本腰を入れ始めた。
そのお膝元の韓国では最近、作品の劣化が指摘されている。聯合ニュースによると、テレビ局間の激しい視聴率競争の弊害か、過激なシーンやせりふで注目を集めようとする粗悪なドラマが増加。放送通信審議委員会(放審委)が審議の都度、制裁措置を取っているが、昨年、地上波テレビ番組で放審委が制裁を決めたものは20件で、7件だった14年と比較すると、一気に3倍近くになったという。
韓流ドラマは昨今、テレビ各局のBSやCATVで放送枠の“埋め草”的に使われることが多い。日韓関係に好転の兆しが見え始めた今、韓流ドラマが人気のバロメーターでもある地上波で“復権”できるかどうかは、ひとえにより魅力的な作品を生み出せるかに懸かっている。(編集/日向)
韓流ドラマの人気に火を付けたのは、何と言っても「冬のソナタ」。03年にNHKのBSで放送された後、翌年には地上波で再放送され、男女の織りなす恋愛模様が特に主婦層のハートをつかんだ。主演のペ・ヨンジュンは日本で「ヨン様」と呼ばれるほどのスターになり、来日するたび空港に大勢の女性ファンが詰めかけた。
その後、民放各局も韓流ドラマ枠を設け追随。「天国の会談」「真実」などが相次いで放映された。しかし、ブームは長続きせず、各局は次第に撤退、NHKでもBSプレミアムで放送された「奇皇后〜ふたつの愛 涙の誓い」が 昨年8月に終了し、12年続いた韓流ドラマの流れが途絶えた。
韓流ドラマを紹介しているサイトによると、NHK総合、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビの地上波は、いずれも「放送予定なし」。在京民放キー局で放送しているのはテレビ東京1局だ。東京周辺ではMXテレビ、テレビ神奈川、テレビ埼玉、千葉テレビなどのローカル局でかろうじて生き残っている。
韓流ドラマは中国などでは引き続き人気を保っており、衰退にとどめを刺したのは、日本社会で「嫌韓」ムードが一気に拡大したことだろう。12年8月の李明博大統領(当時)の 竹島(韓国名・独島)上陸や、天皇陛下への謝罪要求発言などを契機に、音楽の分野でも人気だったK−POPが急速に勢いを失った。
韓流ドラマが海外に輸出されるようになったのは、政府の後押しがあったからだ。1997年のアジア通貨危機がきっかけで翌年、当時の金大中大統領が「文化大統領宣言」を発表。文化を21世紀の基幹産業とすることを決定した。99年度にはコンテンツ予算を一挙に6倍に増やし、文化産業の育成に本腰を入れ始めた。
そのお膝元の韓国では最近、作品の劣化が指摘されている。聯合ニュースによると、テレビ局間の激しい視聴率競争の弊害か、過激なシーンやせりふで注目を集めようとする粗悪なドラマが増加。放送通信審議委員会(放審委)が審議の都度、制裁措置を取っているが、昨年、地上波テレビ番組で放審委が制裁を決めたものは20件で、7件だった14年と比較すると、一気に3倍近くになったという。
韓流ドラマは昨今、テレビ各局のBSやCATVで放送枠の“埋め草”的に使われることが多い。日韓関係に好転の兆しが見え始めた今、韓流ドラマが人気のバロメーターでもある地上波で“復権”できるかどうかは、ひとえにより魅力的な作品を生み出せるかに懸かっている。(編集/日向)
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