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河野一二三氏が手掛けるホラーゲーム「NightCry」のPC版が2016年3月29日発売。メディア向け完成披露会の模様をレポート
河野氏を始め,実写PVの制作を担当した清水 崇監督など,本作に携わったスタッフによるトークも行われたこのイベントの模様をお届けする。
「NightCry」公式サイト
イベントには河野氏,清水氏のほか,本作のクリーチャーデザインを担当するデザイナーの伊藤暢達氏,プランナーの池田祥也氏,効果音の制作担当であるサウンドクリエイターの小池 令氏が参加。MCはジャンクハンター吉田氏が務めている。
MCの吉田氏から,河野氏に向けて最初に投げられた質問は,本作でなぜ「クロックタワー」のタイトルを掲げなかったのかというもの。本作をクロックタワーの“精神的続編”としている河野氏は,「クロックタワーというタイトルを使えるならば,それもありだった」と前置きし,「僕はとにかく,クリックタイプのホラーゲームを作りたかった」と続ける。
河野氏によると,クロックタワーシリーズはすでに自身の手から離れ,最新作ではゲームシステムなども変わってしまっていて,そこから再びクリックタイプのゲームに戻すことに違和感があったという。そもそもクリックタイプのホラーゲームを作ろうとしても,パブリッシャからお金を出してもらえないだろういうことで,インディーズ作品として,クロックタワーとは直接関係のない“精神的続編”として作ることになったそうだ。
またMCの吉田氏が,自身が開発に携わった「ALIEN: ISOLATION -エイリアン アイソレーション-」を本作と重ね,「倒せない敵に対するプレイヤーのフラストレーション」について,ゲームとしてどう対処するのかと問うと,河野氏は「フラストレーションは溜めればいい」と返答。「僕らは“作りたいから作る”というスタンス。だからこそのインディーズ作品であり,プレイヤーがある程度限定されることも認識したうえで,信念をもって制作している」と語った。
そんな開発陣の信念のもとに作られている本作は,Kickstarterでの資金調達が終了した2015年秋頃に,グラフィックスをすべて描き直したそうだ。清水氏が制作したPVには本作のゲーム画面が出てくるシーンがあるが,そのときには開発初期の画面だったため,その後見せてもらうたびにグラフィックスが綺麗になっていく過程に驚かされたと清水氏はコメントしていた。
また,クリーチャーデザインを手掛けた伊藤氏は,実は開発初期の段階のグラフィックスにはあまり満足しておらず,描き直し後の画面を見て納得のいく仕上がりになったと同時に,「お金は大丈夫なのか!?」ということを心配したという。それに対し「大丈夫じゃなかったです」と返す河野氏は,自分が借金を背負ってしまったことが業界の噂になっていることも自覚しつつ,「ウン千万ぐらいの借金ならすぐ返せます。億は行っていないから大丈夫」と笑顔で答えている。
各方面で活躍するベテランクリエイターの中で,一人若手のクリエイターとしてトークに参加した池田氏は,本作の元となった「クロックタワー」の大ファンで,半年前にプロジェクトに参加してからは,その熱意を込めて開発を続けてきたと述べる。プランナーながら,自らUnityでイベントシーンを組んでしまうやり手で,河野氏は「この半年間で,ほかのスタッフの2年ぶんぐらいの仕事をしている」と,その働きぶりを大いに評価。本作のスタッフロールには池田氏の名前がトップに掲げられているという。
これまで「NINJA GAIDEN」シリーズなどのサウンドを手掛けてきた小池氏は,本作では効果音を担当している。河野氏から送られてきた依頼リストを見て「これはインディーズゲームのボリュームではないな」というのが第一印象だったとか。リストの内容や開発段階のムービーを見てもその結末が一向に掴めず,「これはきっと,プレイヤーは楽しいだろうな」と思いつつ,2週間程度のタイトなスケジュールで一気に制作したとのことだった。
また,もう一つ吉田氏が河野氏に尋ねたのが,PS Vita版のバイオレンス表現がどうなるかという点だ。ゲーム中は,かなりえげつないシーンがあるとのことだが,河野氏自身は表現の規制についてはあまり考えずに作ってきたとのこと。家庭用ゲーム機で発売するとなれば,もしかすると表現を変えざるを得ないところも出てくるかもしれないので,現状の内容を楽しみたいのならPC版をプレイするのがお勧めだそうだ。
ここで最新のトレーラー映像とともに,本作のPC版の発売日が2016年3月29日となることが発表された。価格は,ゲーム本編が2480円,サントラ同梱版が3980円,サントラ+アートブック同梱版が4980円,サントラ+アートブック+絵コンテ同梱版が5980円(すべて税込)。
来週発売にも関わらず,河野氏は「(主人公の)モニカが襲われるシーンを,つい先週に3つぶっ込んだ」と,かなりギリギリの段階まで開発をしていたことも告白している。なお,クラウドファンディングのバッカーには,ゲーム本編がこの日に提供され,グッズ等のリワードに関しては後日配送になるとのことである。
その後,行われた質疑応答では,PS4での発売予定や続編などについて触れられた。
PS4版について河野氏は「出したいという思いは強い」と述べ,さらには「VR化と,清水氏による映像化」もやりたいこととして挙げている。当然,そうなれば資金をどうするかの課題が出てくるわけだが,「作りたいという意欲を持っていれば,チャンスはどこかで掴める」と続け,そのために謎の活動(本人いわく「とある国の王族に会う」)を行っていることも明かし,会場を笑わせていた。
次回作についてはすでに構想はあるそうで,エンディングにもそれをほのめかす伏線が張ってあるとのこと。また,伊藤氏が手掛けたシザーウォーカーには実は別の姿があり,本作ではその活躍の場をほとんど作れなかったことを悔やんでいて,もし次の機会があるなら,ぜひその姿で活躍させたいと考えているそうだ。
最後に河野氏は「本作は本当にいろんな方に助けられた作品で,僕自身の思い入れも強いので,これからも大事にしていきたい」とその思いを語り,イベントを締めくくった。
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