□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第36位】 亜人 6巻 / 桜井画門 (★ ) 「あ、今お腹蹴った!ほら、さわってみて」みたいなポーズの6巻。
6巻にして初めて全身が表紙に収まっている構図が新鮮。
背景の紫色がこれまでにないくらい明るいのに
いつもより禍々しいのが不思議。
出版:講談社
装丁:アルティザン 深海和宏 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第37位】 箱入りドロップス 4巻 / 津留崎優 意外に自由度が高くてネタを考えるのが楽しそうな箱縛り。
ドロップの箱(1巻)、部屋(2巻)、チョコレート菓子の箱(3巻)ときて、
4巻は水槽で水中ふわふわ系。
水中アレンジとして、タイトルには泡が引っかかり、
作者名は英字表記を含めてゆらめくように崩して配置している。
出版:芳文社
装丁:コメワークス 木緒なち,苅籠由佳 [ ] ▲帯 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第38位】 僕だけがいない街 6巻 / 三部けい 背中合わせの現在の自分と過去の自分。
過去の自分のところにだけ雪を降らせている。
ありそうでなかった組み合わせ、かつストーリー的に最初で最後。
アニメ化発表のタイミングと重なって、とてもふさわしいと思った表紙。
出版:KADOKAWA/角川書店
装丁:VOLARE 星野ゆきお [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第39位】 ばくおん!! 6巻 / おりもとみまな こちらも6巻時点でアニメ化発表。このタイミングで来夢先輩(ヘルメットキャラ)が表紙を飾るのは中々アグレッシブと思えるが、黄緑色背景に合わせるレギュラーキャラは誰かと考えれば6巻がこうなるのは必然。そして3年を超える連載で、背景カラーは順当に『けいおん! 』単行本の赤、青、黄、紫、ピンク(雑誌付属の掛け替えカバー)、黄緑を消費し、レギュラー勢全員が表紙を飾った状態で残るは白一色。次は白!絶対白が来るよ!!!!!!(
こなかった模様 )
出版:秋田書店
装丁:芦田デザイン事務所 芦田慎太郎 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第40位】 ノー・ガンズ・ライフ
1・2巻 / カラスマタスク SFハードボイルド作品。銃頭のインパクトある主人公に、人物イラストのシルエットに近い形で部分的に見える町並みを背負わせている。イラストはシックにまとめて、そこに1巻はピンク、2巻は黄色と鮮やかな色使いのタイトルを載せてアクセントを付けている。表紙の他、カバー下、目次、幕間、奥付などちょっとしたところに草野さん色が強く出ているのも見所。
出版:集英社
装丁: 草野剛 [ ] ▲目次 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第41位】 カフカの「城」他三篇 / 森泉岳土 カフカの「城」、漱石の「こころ」より“先生と私”、ポーの「盗まれた手紙」、ドストエフスキーの「鰐」。名作小説を各16ページで表現した作品。大判ハードカバー。荒々しくも緻密なタッチで描かれたカフカの「城」を想起させるイラスト、大まかで断片的な塗り、英字タイトル優先の文字配置。作品内容の紹介を読むと「アート」「文学」「文芸」のような文字が並ぶ作品なのでおおよそ「コミック」という言葉で連想される作品とは遠く、装丁も異質なのだけれども、読み味はきちんと漫画で、装丁も漫画が載っていそうと思えるので、漫画は広いな~と思と思いました(小並感)。
出版:河出書房新社
装丁:セキネシンイチ制作室 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第42位】 はるみねーしょん 5巻 / 大沖 (★ ) 定期観測作品。
「ハワイ」と「いつもよりタイトルが曲がっている」
という情報しか言うことがないし、そこを掘り下げる気もないけれども、
こう長い記事にいつもさらっと入れておきたい。
出版:芳文社
装丁:里見英樹 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第43位】 BLUE GIANT 5巻 / 石塚 真一 サックスを吹く高校生を主人公とした、ジャズの音楽作品。
この作品のカバーは、タイトルのデザインや彩色の仕方を毎回大きく変えてくる、いわゆるフォーマットばらばらタイプ。5巻はステージの上でライトを浴びるピアニストを多めの黒で描き、そこにピンクの文字を入れてアクセントを付けている。単巻で十二分に魅力的だが、1巻の表紙と対になって、主人公と対面しているという旨のAmazonコメントを見て、言われてみればとさらに痺れた。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 [ ] ▲第1巻 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第44位】 町田くんの世界 1巻 / 安藤 ゆき 人が好きで人に好かれる物静かなメガネ、町田君の日常を描いた作品。
イラスト、作者名、レーベルマーク、タイトルの振り仮名は横、タイトル、タイトルの英字、巻数は縦。箱に入った資料を運ぶという学生の地味なシチュエーションイラストを用いていながら、大胆な文字組みとイラスト配置が平衡感覚に訴えてきて、「一見普通な町田君、何か普通じゃない」を感じさせる。短編集『昏倒少女』(
▲ )も白を基調としたイラスト+面白い文字組みの近しいエッセンスを持った同じ川谷さんのデザインで、こちらも面白い。
出版:集英社
装丁:川谷デザイン [ ] ▲短編集『昏倒少女』 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第45位】 サウダージ / 田辺剛、カリブsong 古典的名作の翻案を中心とした、カリブsong(狩撫麻礼)原作の短編集。
カバーはほんのりと乳白色を帯び、女性と雪景色のイラストの印刷はグレー、文字は黒。物語は全て原作の場所に関わらず英語圏のどこかの国に移されていることもあって、小さい日本語エリアを右上に設けつつ、タイトル、原作者、作画のクレジットを別々に大きくレイアウトして表紙を飾り立て、日本離れした雰囲気を出している。
出版:KADOKAWA / エンターブレイン
装丁:セキネシンイチ制作室 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第46位】 人間交差点ベスト
セレクション 上下巻 / 弘兼憲史, 矢島正雄 『人間交差点』全27巻中でも評価の高い作品で構成された厳選編集決定版。上巻は男性、下巻は女性。齢を重ねた人の手を黒で浮き出させた表紙で、27冊分の歴史の重みを2冊の中に感じさせる。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 [ ] 写真:上田義彦 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第47位】 鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン! / 鴻池剛 傍若無人な猫に振り回される作者の毎日を面白おかしく描いた猫エッセイ。
障子破りのイラストを使用した表紙で、 擬音を入れたタイトル、真顔のキャラと破け、集中線と、少ない要素でぽんたのキャラを表したシンプルでコミカルなデザイン。裏表紙(
▲ )にはお尻が描かれ、本を障子に見立てたような表裏でワンセットの構成も面白い。
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:Pri graphics 吉田健人 [ ] ▲裏表紙 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第48位】 よつばと! 13巻 / あずまきよひこ 道路に現れた水溜りを元気よく飛び越える一瞬。そのタイミングでその位置だと
よつばは無事飛び越えられたのか?と思った人はカバー下のチェックをお忘れなく。
2年と9ヶ月ぶりの新刊。初登場にして(メタ的な意味でも)次に何年後に会えるか分からないばーちゃんを表紙に出してくれても良かった気がしないでもない。
出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:里見英樹 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第49位】 弟の夫 1巻 / 田亀源五郎 父娘二人暮らしの家に、亡くなった双子の弟の夫(カナダ人)がやってきた…という、ゲイアートの巨匠、田亀源五郎、初の一般誌連載作品。体格が良い、もっと言えばガチムチ寄りの大人二人が並んでいて、濃い素材によるそっち系の趣が出そうでこれが意外と出ていないというか、人と空と景色のバランスがよくイラストの色合いが自然で、どこにでもありそうな平凡な景色が絵になっている…とガチムチが調和して、素材のインパクトが程よく抑えられている。
もちろんこの作品はBLではなく、表紙にもBLの雰囲気はなくて、この表紙を見ていて、BL作品の表紙からかもし出されるBLの気配はどのような要素によるものなのか何となくわかった気がする。
出版:双葉社
装丁:BodyDouble こじままさき □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第50位】 宇宙兄弟 25巻 / 小山宙哉 ここ数巻、表紙の背景に色が挿されていてカラフルになっている本作品。
特に25巻は、紫色のバック、空を見上げる主人公に
いつもの細やかな星のホログラムがいつも以上にかみ合って、
まさに宇宙へ。
ちなみにカバーのホログラムPPは、「スターダスト」という名前らしい。
出版:講談社
装丁:セキネシンイチ制作室 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第51位】 つまさきおとしと私 / ツナミノ ユウ 妖怪「つまさきおとし」の平穏を脅かすストーカー女の狂気を描いた、ハートフル病理2Pコメディ。
コミカルなイラストがよりポップになると同時に不安を煽るような、グレー、ピンク、イエローの組み合わせが個性的な表紙。とにかく発色がよい。カバー下にはおまけマンガ、さらにカバー裏にもちょっとしたアイデアが光るおまけあり。
出版:講談社
装丁:GENI A LOIDE 小林満 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第52位】 なかよし60周年記念版 カードキャプターさくら 1巻 / CLAMP (★ ) なかよし60周年を記念して刊行された豪華装丁版。
クロウカードを模した金の箔押しによる飾り枠が煌びやかで、
ピンクをふんだんに使いながらも大人びた仕上がりに。
『なかよし60周年記念版』という情報も箔押しで違和感なく
入っていて程よく特別感が出ているのも良い。
全9巻。
出版:講談社
装丁:arcoinc 楠目智宏,池田悠 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第53位】 少年Y 7巻 / とうじたつや, ハジメ 「負けたらどうなる?」
「ゴリラに殴られる。力いっぱいね」
物理的に怖い表紙。
ヤンキー、幽霊、妖怪、ゾンビなどに比べて
ゴリラはそれほど学校を徘徊しないので、絵面としても珍しい。
出版:秋田書店
装丁:- □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第54位】 山羊座の友人 / 乙一, ミヨカワ将 ベランダに飛ばされてきたのは、イジメ加害者の殺害と被害者の自殺について書かれた未来の新聞の切れ端。乙一と「ST&RS-スターズ-」作者による1冊完結の青春ミステリー作品。
振り向きざまの主人公と後姿の友人を小さく捉えた住宅地の風景イラストに描き文字風のタイトル。文字の蛍光イエローが薄暗いイラストに浮き出て、日常から何かが外れるような異様な雰囲気を形成している。カバー下は黒と金。各話の扉、奥付など全体的にコードデザインスタジオ色強し。
出版:集英社
装丁:コードデザインスタジオ [ ] ▲本体表紙 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第55位】恋は雨上がりのように 1巻 / 眉月じゅん 少女17歳⇒バイト先のおじさんファミレス店長。海辺の街を舞台に青春の交差点で立ち止まったままの彼女と人生の折り返し地点にさしかかった彼が織りなす小さな恋のものがたり。
「雨あがり」のワードと合わせてヒロインには傘。タイトルには英字と共に傘のマークを小さく添えている(
▲ )。傘を着色することで、青空間を出さずに綺麗な青を組み入れた、白・青・ピンクのシンプルのすっきりした3色構成が目を引く。
出版:小学館
装丁:SALIDAS [ ] ▲タイトル拡大 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第56位】 となりの吸血鬼さん 1巻 / 甘党 上の作品で傘を使っていたので続けて紹介したい傘持ち表紙。こちらはイマドキの吸血鬼の日常を描いた作品ということで、傘を持つのは吸血鬼で手にしているのは日傘、そして傘を差す必要のないキャラを隣に配置。巻数マークは血の雫で、タイトルロゴも所々が赤く染まってこちらも血がしたたり有り。背景に散らばっているのは銀の丸とピンクの十字架。デザイン込みでわかりやすく可愛く吸血鬼アピールしている。
出版:KADOKAWA/メディアファクトリー
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【第57位】 孤独のグルメ 2巻
/ 久住 昌之,谷口 ジロー 井之頭五郎のぶらり一人飯再び。
第1巻は1997年発売で、おそらく第2巻の予定もなかったであろうこのときのロゴは、丸みを帯びたフォントのタイトルと作者名を看板の枠の中に入れたものだったが、2008年に新装版を発売し、新規イラストと共にロゴも現在の白抜きタイプに一新。ドラマから入った人にも訴求力ありそうな、ダンディ感を押し出したイラストにもマッチしている。
出版:扶桑社
装丁:日下潤一,赤波江春菜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第58位】 水色の部屋
上下巻 / ゴトウユキコ 「歪んだ愛が描きたかった。暗い映画を観てるような漫画が描きたかった。」と言う通りの母と息子の性と愛の物語。「水色」を下巻に持ってくる構成に虚を突かれた表紙。可読性は添える文字に任せたと言わんばかりに大胆に崩しの入ったタイトル文字は、あのアラーキーによるもの。 出版:太田出版装丁:セキネシンイチ制作室 森敬太 [ ] 題字:荒木経惟 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第59位】 グッドナイト、アイラブユー
1巻 / たらちねジョン 「私の死を、ロンドンの友人に伝えて」。大学生の主人公が、母の遺言で訪れた異国の地で家族のルーツに出会っていく旅の物語。 帯で挟まれた(カバー全体で見ると枠)、とてもリアルな海外の駅のホームイラスト、そして主人公だけは帯の部分まではみ出して配置。文字はタイプライターで打たれたようなものににじみが入っていて、巻数マークは海外の手紙の消印を模している。下の方には地図も重ねられていて、海外風というより、日本を基点として国外に赴く「旅」という感覚が感情の要素込みでデザインされているように感じた。ノート風の目次、カバー下(▲ )など拘りが見れる箇所多し。 出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス装丁:円と球[ ] ▲カバー下 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第60位】 本が好き子さん / なるあすく エクストリーム読書ガール「本が好き子さん」の、ほのぼのブックライフを描いた4コマ作品。
立ち泳ぎを駆使して、サメがいる海でも本を読む好き子さん。二色分割で水と空気の背景を作って1枚絵でエクストリーム読書を表現。内容が一目で分かるかつシンプルな色使いですっきり整っている。
出版:太田出版
装丁:hive 金子歩未 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第61位】 エリア51 11巻 / 久正人 (★ ) 本作品もだいぶ長期連載になってきて、久先生初の2桁突入。
タイプ的には雑踏に紛れる主人公をピックアップ、という感じの表紙になるが、紛れ先が濃すぎて百鬼夜行と例えた方が良いのかもしれない。ちなみに本巻は先生がネメシスで連載中の『
ジャバウォッキー1914 』(講談社)と同時発売。そしてさりげなく紛れ込んでいる。
出版:新潮社
装丁:crazy force 竹内亮輔 [ ] ▲裏表紙 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第62位】 怪獣の飼育委員 1巻 / 島崎無印 学校裏の森に住み着いた巨大な怪獣のお世話をする
飼育委員の日々を描いた作品。
怪獣は表表紙から裏表紙にかかり配置され、表紙に出ているのは顔のみ、そこに怪獣と対面させる形で人物を配置。サイズ感が分かり、見えない怪獣の体の部分が頭の中で大きく広がる構図も面白い。背景は破線のグリッドで分割されており、タイトルの1文字ずつ、作者名、英語の文字情報などが綺麗に収められていている。
出版:芳文社
装丁:コメワークス 木緒なち [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第63位】 百万畳ラビリンス
上下巻 / たかみち たかみち×宮村和生。謎めく異次元迷宮の出口を求め彷徨うSF長編。上巻が青で下巻が赤。『LO』の表紙を幼女と日本の旅行宣伝ポスターとするならば、こちらは電脳の雰囲気が漂う映画のポスター。 出版:少年画報社装丁:5GAS DESIGN STUDIO
宮村和生[ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第64位】 竹取オーバー
ナイトセンセーション 1・2巻 / モゲラッタ クリエイターユニットHoneyWorksによるVOCALOID楽曲、そのコミカライズ作品。 はっちゃけ竹取物語。着物の柄にとどまらず目が痛くなるくらいに鮮やかな色を盛り込みまくったイラストが黒いタイトルでびしっと引き締まって、正しくコミックの表紙に見える、このバランス。 出版:一迅社装丁:川谷デザイン [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第65位】 ごはんのおとも / たな 路地裏の料理店「ひとくちや」に集まる人達の食とドラマを描いた、全編フルカラーのグルメ漫画。
お腹がぽっこりでた男性が、「黄身のしょうゆ漬け」をごはんに乗せて食べる、そのひと時をイラストに用いた表紙。タイトルは小さく、キャラも小さく。肝心の黄身のしょうゆ漬けごはんもそのままは見せず、大きなフキダシに入れてしまうことで、おいしいものを口にしたときに「おいしい」と言っても全部伝えきれないくらいの最大限の幸福感が伝わってくるように思えた。
出版:実業之日本社
装丁:装丁:コードデザインスタジオ [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第66位】 君死ニタマフ事ナカレ 1・2巻 / ヨコオタロウ, 森山大輔, 倉花千夏 超能力を開花させられた少年少女が使い棄てられていくダーク戦場ロマン。白、シルバー、黒、+一色。何故か解説スペースが圧迫されているけれども、「この作品はフィクションです」をデザインに組み入れた奥付(
▲ )のちょっとしたかっこよさは伝えておきたい。
出版:スクウェア・エニックス
装丁:5GAS DESIGN STUDIO
宮村和生, 小島翔太 [ ] ▲奥付 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第67位】 世界鬼 9巻 / 岡部閏 11巻で完結ということで、色々変わる装丁を楽しむのもこれでラスト。
9巻は、10巻の月をバックにしたものを除けば最初で最後の風景描き込み型。
世界は銅色で人物部分はグレー。文字や人物部分にはUVあり。
敵の住む異世界という背景はあるんだけれども、
それがなくても異世界感が出ている。
出版:小学館
ベイブリッジ・スタジオ 石沢将人 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第68位】 鹿娘清美婚姻譚 / 緒方波子 人間の男性と鹿の娘。
奈良の鹿の未来を賭けた奇妙な異類婚の騒動を描いた作品。
花婿と花嫁、鹿、二足歩行鹿。鶴や亀、熨斗に紅白のしめ縄と、タイトル通りに日本の婚姻といった表紙。文字やイラストの要所の金箔が、豪勢なムードを効果的に高めており、祝儀袋のようでもある。見返し(
▲ )には着物を着たコミカルな鹿パターンあり。
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:林健一 ▲見返し(拡大) □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第69位】 海とドリトル 2・3巻
/ 磯谷友紀 大学の研究室を舞台にした海洋動物と恋の物語。 昨年紹介している1巻は白背景で表現した水中。 2巻はペンギン祭り、3巻はファンタジーな水中。 ←こうシリーズで並べたくなる綺麗な表紙で、 『さようならむつきちゃん 』(やはりarcoincさん)と どちらを紹介するか迷った。 出版:講談社装丁:arcoinc 楠目智宏 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第70位】 ランド 1巻 / 山下和美 その村では、人は必ず50歳で死を迎える。因習に縛られた村を舞台に…(ネタバレ注意)という作品。
目を見開いた少女。背後には獣の皮を被った大人たち。下地が黄色で印刷が黒、緑、オレンジ。明るい色合いと物々しいイラストの組み合わせで凄みのあるカバーに仕上がっている。カバーには蛍光色のような明るさを持った黄色の紙が使われているが、公開講義の時の新上さんの話では、裏表紙のバーコードエリアが無くなり、白いインクを使わなくていいので黄色い紙でもコストを抑えられているとのこと。なるほど、バーコードエリアが無くなったことによる意外な選択肢の増加を知った。
出版:講談社
NARTI;S 新上ヒロシ [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第71位】 セトウツミ 4巻 / 此元和津也 男子高校生2人が、川べりでひたすらダベるマンガ。
入道雲、海、自転車。
いい構図だな~というのと同じくらい、
いい空気感。
映画は7月2日(土)全国ロードショー。
出版:秋田書店
装丁:芦田デザイン事務所 芦田慎太郎 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第72位】 アフターアワーズ 1巻 / 西尾雄太 クラブから始まるガールミーツガール青春譜。
文字小さめでじっくり見せる、
上方向×下方向頭寄せ合いの構図。
床や小道具をきっちり描きこんでいるため、
オシャレ構図の割りに芝生上や謎空間で同じポーズをするよりも
キャラクターの存在が感じられる。
出版:小学館
装丁:セキネシンイチ制作室 森敬太 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第73位】 A子さんの恋人 1巻 / 近藤 聡乃 先延ばしと思考停止が招いたA子さんの奇妙な三角関係を軸に展開する、
面倒くさい人間模様をコミカルに描いた作品。
野暮ったい人物説明感が面白い表紙。主人公の英子=A子を始めに、A太郎、A君(アメリカ人)とAで呼ばれる三角関係の3人を配置。各々に辞書のような人となりの説明が添えられている。裏表紙にはU子、K子、I子友人達の人物紹介あり。
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:芦田デザイン事務所 芦田慎太郎 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第74位】 ライプニッツ / 大石まさる 宇宙と猫と人の心が交差する、近未来肉球SF。
中身は、表紙の女性が猫とエウロパに向かうばりばりの宇宙SFで満たされいるが、この通りイラストは油絵のような塗りで、写実的な女性と猫と海。タイトルだけ「i」の部分に衛星が回っているようなデザインを組み込んで、宇宙要素を隠し味程度に盛り込んでいる。中々に大胆。
出版:少年画報社
装丁:big body 萩原栄一 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第75位】 葛城姫子と下着の午後 / 畑田知里 女生徒たちが下着姿で集い、情報交換やコミュニケーションを行う「ランジェリー同好会」が舞台の学園コメディ。
大きく開けた引き出しの中には、色とりどりのランジェリーと下着姿でくつろぐ同好会のメンバーたち。引き出しを見下ろした構図によってイラストが段組でエリア分割されているように目に映り、枠や帯を配置したときのような整った印象を与える。見返し、遊び紙にはレースのように細かく蔦の模様が入っている。
出版:KADOKAWA / エンターブレイン
装丁:須田杏菜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第76位】 ねーちゃんとオレと、ときどき先生。
1巻 / TOもえ マセガキ弟×天然姉×変態JK家庭教師、トライアングルコメディ4コマ。3人のメインキャラの肩書きを特大の文字で配置。これがタイトルより目立って個性になっている。肩書きにはキャラに合った見った緑、ピンク、黄色の3色を使い、「マセガキ」「天然」「変態」と属性を入れたフキダシを添えて、装飾と説明を同時に行っている。背表紙、裏表紙にも、3人に関連する文字に対応するカラーを充て、必然のある形でアクセントを付加。さらに袖の作者コメントのエリアには「漫画家」の文字を大きく配置し、表紙との統一感を出している(▲ )。 出版:竹書房装丁:CHProduction 内古閑智之 [ ] ▲袖 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第77位】 マキーナ / ムライ (★ ) 少女とロボットのハートフルワンダーストーリー。
ハグルマの上を元気に駆け回る少女と奇妙な形のロボット。背景にはハグルマがびっしり。用紙はクリーム色で、ベージュや薄いグレーで色づけされ、下の文字の部分だけが緑。手描き感が溢れる高密度のイラストが低彩度の色味で構成されて、レトロで懐かしい雰囲気を出している。構図が2Dアクションゲーム的と言うか、足場のハグルマ良い記号になっているように見える。
出版:小学館
装丁:葛西恵 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第78位】 お酒は夫婦になってから 1巻
/ クリスタルな洋介 「ぷしゅー先輩」に続け!寡黙なキャリアウーマンが、家では漏れ出る「しふく」の声と共に可愛くお酒に飲まれてしまう、夫婦酔いデレコメディー。イラストエリアと文字エリアをぎざぎざしたラインで分割。イラストには飲んだ瞬間に発せられる「しふく」発動シーンの中で、基本形となるものをピックアップしている。文字エリアは紺色と暗め、イラストエリアは明るめの彩色、タイトルは1文字1文字ネオンのように色を変えてカラフルにと、お酒の入った楽しい夜のひと時を連想させる。扉と演出をそろえた、手が加わった奥付(▲ )が地味にうれしい。 出版:小学館装丁:ベイブリッジ・スタジオ 志村泰央(カバー) 本橋真規子(本文) [ ] ▲奥付 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第79位】 椿町ロンリープラネット 1巻 / やまもり三香 ビンボー育ちな高校2年生・大野ふみは父親の借金返済のため、ぶっきらぼうな小説家の家に住み込み家政婦をすることに。心が触れ合っていく共同生活を描いた少女漫画。
バストアップの人物絵、ディフォルメされた椿のパターン背景、枠でまとまったタイトル+巻数+作者名。枠の中の文字組みがさりげなく凝っていて華やか。
出版:集英社
装丁:川谷デザイン [ ] ▲タイトル拡大 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第80位】 World 4u_ 1・2巻 / 江尻立真 おなじみの怪談や都市伝説をひねりをきかせた形で紹介していく、オムニバス形式のホラー作品。
洋書のような背景を背に怪談に誘う案内役。真ん中には、「何か」が写りこんだ不穏な町並み。整っていて程よく不気味な少年コミックにぴったりのデザイン。
出版:集英社
装丁:バナナグローブスタジオ 阿部亮爾 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第81位】 俺とヒーローと魔法少女 3巻 / 九段そごう 変身すると魔法少女になってしまう男の活躍を描いた
WEB連載 のヒーローコメディ。
2巻までは全体に2行で特大配置していた「魔法少女」の文字を左に1行配置。主人公が躍動感を感じさせるポージングでパンチを繰り出したその拳の先には、表紙をはみ出す形でピントのずれた怪人を置かれ、擬似的に立体感が出た構図が面白い(片目で見ると脳の錯覚で怪人が浮き出て見える)。
出版:ほるぷ出版
装丁:川谷デザイン [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第82位】 機動戦士ガンダム アグレッサー 2巻
/ 万乗大智,矢立肇,富野由悠季 ジオン公国からの亡命兵で構成された地球連邦軍アグレッサー部隊を 主役とした、『機動戦士ガンダム』スピンオフ作品。 小学館のスピンオフ仲間『サンダーボルト』と歩調の揃った、パッケージ感のある白枠デザイン。「この後敵機が爆発します」的な決めの踏み込みポーズを縦長の1枚絵に収めた地面斜めの構図がかっちりとはまっていて気持ちいい。 出版:小学館装丁:ベイブリッジ・スタジオ 志村泰央 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第83位】 心が叫びたがってるんだ。 1巻
/ 阿久井真,超平和バスターズ 『あの花』スタッフのメインスタッフが再集結して制作されたアニメーション映画、そのコミカライズ作品。──手書き風、もしくは素朴な感じのロゴにしたいとのご依頼でした。(ベイブリッジ・スタジオブログ) と『あの花』同様、まず映像作品のロゴデザインを黒木さんが担当していて、コミカライズもそのまま担当。漢字が黄緑色で木の葉を添えたタイトルロゴに合わせて、木の葉を少し散らした白背景+白制服+黄緑色のすっきり爽やかな表紙。 出版:小学館装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第84位】 まほろばきっさ 1巻 / tugeneko アホ属性の英国メイドが他人の空き喫茶店を勝手に再開して変な店員が集まっていく、仕事しない系ゆる喫茶4コマ。
文字は全て黄色。イラストは全体的に低彩度で、空、空が映った建物の窓、ティーカップの水面、店長の瞳、アクセサリーなど部分的に差し込まれた水色が澄んだ空気感を出している。ポップな絵柄の4コマ枠のなかでも色使いが個性的で目を引く表紙。扉(
▲ )では店員が背の順に並んで「前へならえ」をして、こちらは白背景。
出版:竹書房
装丁:VOLARE 関善之 [ ] ▲扉 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第85位】 シンメトリーズ 1巻 / シバユウスケ 人格入れ替わり能力を持った双子を主人公とした、
女子学園新聞部ドタバタコメディ。
このタイトルならこれしかないでしょ、と思える
双子のシンメトリーデザイン。
一人だと風変わりすぎるくらいのポーズが二人で対称になるとピタッと収まる。
出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:LIGHTNING □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第86位】 銀狼ブラッドボーン 1・2巻 / 雪山 しめじ, 艮田竜和 吸血鬼退治の英雄(70歳)が”骨食い”の化け物に挑む、ダークファンタジー作品。背景はシルバーでイラスト部分はグレー。1巻は赤、2巻は青と、アクセントの1色をタイトルに使うと共に、キャラをカラーライトで照らすように部分的に着色。限定した色使いの中でもイラスト部分が力強く、デザインに負けていない。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 石沢将人 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第87位】 ヤスミーン 1巻 / 畑優以 この表紙を見て、二足歩行で歩くライオンが絶対王政を敷き、虐げられている動物が反撃の狼煙をあげるストーリーは想像しないだろう…という作品。
フサフサのたてがみと共に表紙を埋め尽くす猛々しいライオンのアップには間近にせまるような迫力あり。「ス」と「ミ」の字の上に動物達のシルエットを載せた、タイトルの一工夫が洒落ている。
出版:集英社
装丁:五十嵐卓也 ▲タイトル拡大 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第88位】 駄目な石 / 平方イコルスン 作者2冊目、1話4,5ページのショートショートな作品集。日本語タイトルの下に石のようなエリアを作ってタイトルフランス語表記と作者名、そして石を抱えてうつ伏せになったキャラ。大胆な余白使いが面白い表紙。一応表題作はあるが、友達の妊娠と結婚発覚から取りとめのない話がはじまり、最後に「花でも贈ろう」「いや石だ」と川辺で石探しを始めて終わる…というお話になっていて、そこからこの表紙、そして裏表紙(
▲ )、なるほど意味がわからない。カバー下は表紙と間逆のハイテンションカラーイラスト、見返しには『楽園』作家による「駄目な石」習字コレクション。妙な力の入れどころがロックかもしれない1冊。
出版:白泉社
装丁:30A 柴田昌房 [ ] ▲裏表紙 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第89位】 忘却のサチコ
1・2巻 / 阿部潤 結婚式で相手に逃げられた主人公が美味しいものを食べた時に得られる”忘却の瞬間”を求めて美食を追いかける、美食探求コメディ。 通巻でタイトル固定、構図固定。タイトルの隙間を通すように料理を手に持ち、真顔でよだれをたらしながら正面を見据える。「食べる」気合いを全面に押し出したデザイン。 出版:小学館装丁:川谷デザイン [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第90位】 戦闘破壊学園ダンゲロス 8巻
/ 横田卓馬,架神恭介 毎回、この企画には少年ジャンプ作品が不足しがちということもあり、今年は期待の『背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~』を並べて爽やかメジャー成分を強化しようと思ったものの、手元になかったので代わりに 横田先生の別作品を並べてみた。 大体の人物が物語から退場してしまっている状態の、死屍累々の大集合イラストで飾られた最終巻。お疲れ様でした。 出版:講談社装丁:banjo 坂上和也 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第91位】 現代魔女の就職事情 1巻
/ はま,相沢沙呼 現代社会における半人前魔女のお仕事探し奮闘記、 いわば「黒髪魔女子さんによろしく」。 慌てて箒で飛び立つ魔女、持ち忘れた弁当を手に呼び止める友人達。メインを大きく、サブを小さく配置した表紙は多いと同時にバランスを取るのが意外に難しい気がしているけれども、こちらはシチュエーション的にも構図的も必然を持たせて、それを上手く実現しているように感じられた。 出版:KADOKAWA / アスキー・メディアワークス装丁:BALCOLONY. 嶋美弥 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第92位】 妹ができました。 / 芥文絵 8話構成の百合短編集。
表紙には、親の再婚で義理の姉妹となった表題作「妹ができました。 」の二人が縁側で佇む趣きのある朗らかなイラスト。タイトルは「。」で閉じられている通り文章になっていて、装飾的な加工のない文字として整然と大きく並べられており、澄んだ声でナレーションが聞こえてくるようにも感じられた。
出版:新書館
装丁:arcoinc 楠目智宏 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第93位】 IT’S MY LIFE 1巻 / 成田芋虫 お家大好き元騎士隊長×魔法少女の日常ファンタジー。「剣と魔法のファンタジー」の世界観が浸透している現在増えてきた変化球ジャンルで、マイホームで平穏に暮らしたい騎士が主人公。厳つい悪者の雰囲気さえ感じさせる騎士と耳長の少女の完全なファンタジーイラストに、勇ましさもギャグっぽさもない等幅文字のプレーンなタイトルを載せて作品らしさを出していて、最近アンテナにひっかかる「幼い子+ギャップの大きいキャラ」の組み合わせを用いた表紙の中でも特に目を引いた。
出版:小学館
装丁:Beeworks 近藤雅己 [ ] ▲目次 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【第94位】 ホクサイと飯さえあれば
1・2巻 / 鈴木小波 売れない漫画家が縫いぐるみの相方と共に、日々の飯と全力で取り組む、グルメ漫画というか飯作り漫画『ホクサイと飯』の前日譚で、大学生時代のお話。出版社は変わりつつデザインは川名さん続投で、ロゴデザインのエッセンスを引き継ぎつつ今回はさっぱりとした白。塗りの個性が際立っている。 出版:講談社装丁:Pri graphics 川名潤 [ ] ▲『ホクサイと飯』 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第95位】 同居人はひざ、時々、頭のうえ。1巻
/ みなつき,二ツ家あす 人間嫌いな小説家と世話焼きな広い猫。一つのエピソードを人と猫二つの視点で見せる猫暮らし漫画。 「時々、頭のうえ」を再現した、猫、人の頭、本という縦3段の構図が面白い表紙。背景や中の装飾アイテムに猫の足跡を多用していて、見返し(▲ )にもさりげなく散りばめるなど、細かいところで可愛く猫感を上げている。 出版:ほるぷ出版装丁:名和田耕平デザイン事務所 [ ] ▲見返し □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第96位】 ヴぁるばいと!1巻 / あまー 女子高生コンビにバイト4コマ。セブンイレブンはオレンジ、赤、緑。ファミリーマートは水色と緑。ローソンは青と白。このコンビニにはこれ、という色使いがあるが本作品のコンビニ「ヴァルハラ」のそれは青とオレンジ。タイトルや作者名、キャラの制服はもちろんのこと、棚に陳列されたタバコにも沢山の青とオレンジ。上端の青+オレンジライン配置も合わせて、これでもかというほどコンビニ感を醸し出している。作者名は張り紙風。タイトルや裏表紙のバーコードは吊り下げパネル風。奥付はノートに貼り付けたレシート風(
▲ )。装丁とは少しズレるけれども、「本日のシフト表」として各話毎に誰が登場するか掲示しているところも面白い。
出版:芳文社
装丁:装丁:コメワークス 高橋忠彦 [ ] ▲奥付 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第97位】 ムシヌユン 2巻 / 都留泰作 亜熱帯のエロバカ昆虫ハードSFホラーミステリー(推定)。
一応説明すると、表紙のイラストは未知生命体が進入した沖縄の島を消滅させるべく沢山の核ミサイルが打ち込まれたシーンで、左端には誰かを犯すべく森を彷徨う主人公が描かれている、と言ってもなんのこっちゃという感じかもしれないが、「よくわからないけれどもスペクタクル」な感じが好みな表紙。文字部分や手間の主人公周辺の植物にエンボスあり。
出版:小学館
装丁:河野未彩 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第98位】 ポイズンガール 2巻 / 瀬野反人 「煽っていくスタイル」、というコメントを一回使ってみたいと思っていたところに、それは私にこそ相応しいと言わんばかりに現れたのがこちらの2巻。「脳に食べるほうのミソ入ってるの?」と毒を全方向に向けていた1巻、対して2巻は矛先を手に取った読者にだけ向けるというメタなやり方でアイディアの切れ味を増したように思う。
出版:竹書房
装丁:hive 久持正士 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第99位】 溶解教室 / 伊藤潤二 奇怪な妹と謝る兄、二人が現れるところ人間が溶けだす。どろどろぐちゃぐちゃのホラー作品。
教室、主人公兄妹、床を埋め尽くす仲良くゲル状に成り果てたクラスメイト達。タイトル、作者名はもちろん、レーベル名、出版社名等の文字は全てチョークで描かれたように黒板に配置。イラストは裏表紙まで繋がっていて、背表紙のタイトル、裏表紙のあらすじ等も黒板に描かれた体裁を取っている。グロテスクな光景が広がっているが、全体的に色が明るく手に取りやすいコミカルさを感じられる。
出版:秋田書店
装丁:Pri graphics 川名潤 [ ] ▲裏表紙 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第100位】 透明人間↑↓協定 2巻 / 克・ 亜樹 安心してください、穿いてませんよ。
(↑まだまだ元ネタ込みで通じるはすの2016年3月)
毎回100位は裸を扱ったデザインを紹介していますよと言わないと多分わからない、というか自分でも何故100位に裸ネタを持ってきているのか忘れかけている状態なのだけれども、例えば本作では「透明人間をテーマに扱っている⇒裸でも認識されない」といいたように何らかの理由でコンスタントに1冊以上裸を使ったアイディアが出てくるので毎年ネタには困らない。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ここまでがランキング発表。 最後に、カバー下や特殊加工など別なところに注目した作品を別枠で24作品紹介していきます。 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【見返し賞】 ジゼル・アラン 5巻 / 笠井スイ (★ ) ▲ 昨年はお休みだったので、2年ぶりとなる年刊ジゼル・アラン見返し通信。 何気に表紙のジゼルのスカートと色おそろいとなっている花柄のパターンで、4巻の見返しには小鳥が仕込まれていたが、今回は飼い猫のアルセーヌが紛れ込んでいる。袖に隠れる部分も含めて計3箇所。ポーズは別々で、それぞれ蝶々を追いかけたイラストになっている。裏側の見返しのにも3箇所アルセーヌと蝶々がいて、こちらも全て別ポーズ。最後はうずくまったアルセーヌに蝶々が止まって少しほっこりする。 ちなみに5巻の見返しに関する芥さんのツイートで本作の見返しが2色印刷であることを意識した。 出版:KADOKAWA/エンターブレイン装丁:note 芥陽子 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【カバー下賞】 つるまき町 夏時間 / コマツシンヤ 少しヘンテコなつるまき町で暮らす、少年みつるのひと夏の物語。 作品には植物にまつわる不思議な出来事や冒険が描かれており、カバーには植物の異常発生で緑色に埋め尽くされたファンタジーな町並みが広がっている。この緑豊かなカバーの下には同じ構図のイラストが収録されているが、そちらは植物の異常発生前の イラストになっており、空の青と建物の白のコントラストが映える。 イラストは1枚目がカバー全体を覆っており、裏表紙のエリアも同様に2パターンを楽しめ、カバーと本体でキャラを変えるなど細かい演出も見られる。 こういう仕掛けが遊びとして成立するのは本がカバーと本体と言う2重構造を持っているからであり、これを電子書籍でやるとして、ただカバー下を収録しても同じ効果はでないと思われ、隠し操作で表紙イラストが入れク替わる…的な仕掛けを忍ばせれば再現できるだろうか、などと考えてみたりもしたけれど、やはり紙は良い。 出版:新潮社装丁:アーテン 福躍惠 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【カバー下大賞】 枕魚 / panpanya (★ ) 『楽園』本誌、ウェブ増刊に掲載された作品を中心に、同人作品を加えた計22篇収録の作品集。カバーを外すと、そこには一面のタイル。タイルはUV加工ツヤでツルツル、凹んだタイルの継ぎ目はマットPPでサラサラ。まずタイルの印刷がリアルで光を反射するのもタイル部分のみ、触っても形状を感じられて、気分はとてもタイル。 裏側に排水口。 ちなみにカバーにはキャラの服とタイトル部分と背表紙の楽園マークにだけ赤が挿されており、あとは黒のみで、こちらのデザインももちろん面白い。カバーはさらさら(ブンペル ナチュラル)で本体はツルツル。この変化の大きさも大事なとこと言える。 出版:白泉社装丁:panpanya [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【グラビア賞】 とんかつDJアゲ太郎 1巻 / イーピャオ、小山ゆうじろう 「とんかつもフロアもアゲられる男になりたい!」異色のとんかつ × DJ 青春作品。表紙はマットPPで、とんかつの表面は衣のようにデコボコ、レコードの表面はレコードUV加工はツルツルして指でなぞりたくなる質感。レコードを使う作品の内容にも、イラストの持ち味味にも合ったレトロでアナログな味を持ったカバーデザインが目を引くが、今回紹介したいのはページの最初に挟まれているとんかつグラビア。 目次よりも扉よりも先に、読者が目にすることになるのがこの二つ折りとんかつグラビア。1巻の写真は東京都台東区の名店「すぎ田 」で撮影。表にはとんかつの写真、裏には店構えや店内、調理の風景写真をレイアウトしている。もちろん作品ととんかつは切っても切れない関係にあるが、貴重なフルカラーを使って純粋グルメ漫画でもわざわざ付けなそうな飯テロを引き起こすレベルの美麗とんかつ写真を単行本のおまけにしてとんかつの名店をリスペクトしているのは最高に意味不明で、クールとしか言いようが無い。 出版:集英社装丁:宮崎希沙 [ ] 撮影:行竹亮太 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【帯賞】 ポム・プリゾニエール / 鶴田謙二 (★ ) ▲ イタリアの古都ヴェネチアを舞台に、廃墟、猫、裸をふんだんに盛り込んで自堕落な女性の日常を描いた漫画であり、以前、2巻は出ないだろうと全1巻のオススメ作品として適当に紹介してしまった『Forget-me-not』の1.25巻とでも言ってもいいかもしれない作品。 裸の王様と言わんばかりに、裸体のまま王冠を身につけ王座に持たれかかる女性。女性の下半身には赤色と金色の上品な帯が巻かれ、あらぬ妄想がかきたてられるが、帯を外すと「にゃ?ん(笑)」と鉄壁のガードをした猫が現れる。少しエッチなイラストを帯で隠すという王道の仕掛けが、カバーや帯の紙質、美しいデザインによって上品に仕上がっている。 出版:白泉社装丁:名和田耕平デザイン事務所 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【表裏賞】 彼女はろくろ首 1巻 / 二駅ずい ▲ 妖怪マンガというわけでもなく、首をニョキニョキと伸ばしがちな高校一年生の日々を追った青春コメディ。 裏表紙はどうなっているでしょう、ともったいぶって隠しているわけではなく、もちろん表紙から裏にかけて首が"にょろ~ん"と伸びているわけではあるが、やはり最初は表紙だけ見て欲しい。表紙では少女の不自然な首の写り方と首を隠すポーズで「ろくろ首」を匂わせつつ、裏表紙を確認させる雰囲気を作って、カバー全体で見てみるとわかってはいても印象が変わる、というカバーを楽しむ流れを自然に構成できているように思う。 カバー全体。「ろくろ首」のイメージにあわせた英字の文字レイアウトも洒落ている。装丁:川谷デザイン [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【表裏賞】 たびしカワラん!! 1巻 / 江野スミ 地上と地獄を行き来する呪術師と大学非常勤講師。 “呪い”という縁に導かれた、歪な愛の物語。▲ 呪術師である主人公は作中で自らの意思で地獄にもぐり、呪術のために魔物に喰われる。 表紙にはそういった主人公が落ちていく地獄の景色が、描かれている。それで、裏には何があるかというと、左右対称の地獄。 そして対称が続き、面白いレイアウトだと思ったカバー全体。 R-TYPEの時機が飛んでいても違和感なし。 画像には上手く出ていないのだけれども、実物は赤系の蛍光色が綺麗に出ていて、 地獄の細かい書き込みが際立って見えて広げたときのインパクトも大きかったので是非。 出版:小学館装丁:名和田耕平デザイン事務所 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【表裏大賞】 orange 5巻 / 高野苺 ▲ 完結。 同じ空を眺める「今の私達」と「10年後の私達」。 カバーを外すのもお忘れなく。 出版:双葉社装丁:- □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【導入賞】 銀河ロケットにお葉書ください 1巻 / 太田垣康男 スタジオ・トア,太田優姫 『10か月後、人類滅亡は決定的となりました』。隕石の衝突による地球消滅へのカウントダウンの中、日本政府は遠い銀河へ人々の生きた証を届けるべく、国民一人一人からの最期のメッセージとなる葉書を集め始めた。終りを知った一人一人の最後のドラマを描くオムニバス作品。 縦置きの英字とハガキを手にした手を載せたすっきりした扉。 ポストを置いたシンプルな目次、そしてプロローグが始まる。 作品の世界観を説明するのに20ページ弱、そして 文字だけの見開き。 『最後の落書に皆さんは何を書き…何を残しますか?』 「銀河ロケット事業団」宛の落書、そしてカラーページが挟まれる。 人類滅亡のニュースを目にした、とある家庭の1シーン。▲ そしてプロローグの終り。ここで作者名を添えたタイトルページが登場する。タイトルコールをためてためて最後にドーン…というタイプの演出をカラーページを組み合わせて行ったとても凝ったプロローグが物語を盛り上げる。 散らばった文字の表紙、整った文字のタイトルページと、同じフォントを使いつつ目的の違いで大きく見せ方の違う二つのタイトルもポイント。 出版:スクウェア・エニックス装丁:川谷デザイン [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【完結賞】 せっかち伯爵と時間どろぼう 6巻 / 久米田 康治 (★ ) 時を越えて現れた長帽子の伯爵と、稀代の面倒くさがり屋の少年。せっかち×ゆっくり、時間をテーマにしたギャグ作品。 前回も大きく取り上げているけれど、完結して綺麗にデザインの揃ったものを並べておきたかった全6冊。こうしてみると、白黒+1色、影絵、文字盤の他、人物が全員行儀よく左に向かってるのも美しく整って見える要因になっているかもしれない。 ちなみに巻数表記は1巻から3巻までがローマ数字で4巻から6巻までは普通の数字(アラビア数字)。ローマ数字はかっこいいけれども巻数が多くなると認識がワンテンポ遅れたり使いどころが意外と難しい気がする。 出版:講談社装丁:hive 久持正士,金子歩未 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【完結賞】 聲の形 7巻 / 大今良時 (★ ) こちらも完結で、やはり最後に並べておきたかった全7巻。写真に収めたような景色のなか、二人の体の向きが、その心の距離を知縮めるように少しずつ外向きから内向きになって、最後は向かい合わせに。また、7巻の、ロゴの縁の部分に2色のグラデーションを持たせたほんのりと鮮やかなアレンジが実に最終巻の雰囲気を出している。ちなみに本作品の映画公開は2016年秋とのとで、こちらも作品的に文字周りを凝っていそうで期待している。 出版:講談社装丁:RedRooster 高木紗耶 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【最終巻賞】 天体戦士サンレッド 20巻 / くぼたまこと ▲ 悪の組織(悪い人とは言っていない)VS正義の味方(良い人とは言っていない)、川崎市ヒーローコメディもついに完結。最終巻となる20巻には、これまでの歴史が積み重なって、というかこれまでの19冊分の表紙が直接的に並べられている。ロゴやイラストの雰囲気を大胆に変えてきた、自由奔放なデザインの継続があってこそ成立している最終巻のデザインと言える。本企画ではデザインが好きな作品を紹介しているというのは当たり前の話だが、本作品についてはデザイン自体の良し悪しよりむしろ、この作品にしかでいないようなアイディアを通して最後を締めくくれたこと自体が良い作品であったことを象徴しているようですばらしい。そして、19冊の帳尻をピッタリ合わせられて、20巻完結で本当に良かった。 出版:スクウェア・エニックス装丁:2725 渡辺宏一 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【合体賞】 闇に恋したひつじちゃん 上下巻 / 長蔵ヒロコ 魔女の少女と転校生としてやってきたウィッチハンターの少年の出会いから始まる恋とバトルの物語。『ルドルフ・ターキー』作者のデビュー作で、富士見書房版では未完の第3巻分も収録した上下巻。 完全版の2冊同時発売ということでやりやすい表紙合体。イラストは主人公の住まいをミニチュアハウスのように描いて、ちんまりとディフォルメの効いた登場人物達を散りばめている。8年近く前の作品ということで、現在の絵柄で当時のキャラを描くとギャップが発生していたかもと思ったりしたけれども、そういった面でもディフォルメキャラ描き下ろしの表紙は上手いやり方かもしれない。(といいつつも、下巻ラストに収録された今の絵柄による追加エピソードがすごく良い) 裏表紙も合体。イラストの部分だけ光沢あり。 カバー下は、上下巻で色使い反転。おしゃれな上下巻。 出版:KADOKAWA / エンターブレイン装丁:林健一 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【裏合体賞】 かたくり 上中下巻 / マイカタ IT企業に勤めた経験を持つ作者が笑えることも笑えないことも面白おかしく描いた、IT系会社日常あるある漫画。掲載はWebコミックサイトモアイで、出版は一迅社。上中下巻同時発売で、さてどこが合体するのかというと…。 カバー裏、上中下巻3枚を合わせると50cm×62cmの世知辛いWEBすごろくが完成する。カバー下にはコマやサイコロあり。カバー下やカバー裏のおまけ好きとして、おまけが隠れていたら普通は「おまけがあった、ラッキー!」程度しか思わないが、これぐらい作りこんでいるのを見ると、こういう仕掛けは誰がどのくらいの手間をかけて作りこんでいるのか気になってしまう。 ちなみに裏で縦合体があるなら表でも縦合体があるんじゃない?ということでピンときた方はよろしくお願い致します。 出版:一迅社装丁:井上則人デザイン事務所 安藤公美 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【合体大賞】 中村明日美子コレクション / 中村明日美子 中村明日美子デビュー15周年として、太田出版でA5判で発売された初期作品、『コペルニクスの呼吸』『鶏肉倶楽部』『Jの総て』『ばら色の頬のころ』『2週間のアバンチュール』をB6判の新装版で刊行。なので計5作品、8冊の合体。別作品をコレクションとして同一シリーズとして発売。上部に個別タイトルとコレクションとしての巻数エリアを設けつつ、下は存分に合体するのみで、違う作品が繋がっていくから構図が大胆に変化していく。当たり前だけれども違う作品がこれだけの物量で繋がる、これが実現できるにはものすごい好条件が揃っていなければないというか、15周年おめでとうございます。 出版:太田出版装丁:内川たくや [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【オレサマ オマエ マルカブリ賞】 中原くんの過保護な妹 1巻 / ほっぺげ 2015/6/5 お前ら全員めんどくさい!3巻 / TOBI 2015/6/12 片や妹がベタベタと兄の世話をする4コマの1巻、片やめんどくさい生徒達がが先生に群がるハーレムコメディの3巻、そしてこのかぶり具合。 桜でんぶのハートをご飯に載せた弁当を片手に、卵焼きを箸でつまんで「はい、あーん」のポーズ。加えて学生服に白背景、縦型のタイトルレイアウト、丸で囲まれた巻数マークと、他の幾つかの要素にも共通項があるため、綺麗に揃った印象を受ける。『中原くんの過保護な妹』は同じ学校の妹が、毎日弁当を持って兄の教室に押しかけていて、この表紙。『お前ら全員めんどくさい!』は1巻につき表紙1ヒロインで、先生という属性が好きで弁当を差し入れにくるヒロインに順番が回ってきてこの表紙。発売日が6/5⇒6/12と非常に近く、「かぶり」としか言えない状況が逆に紹介しやすいし、むしろ天然物のコラボレーションとして推してみたい。 中原くんの過保護な妹 出版:竹書房 装丁:5GAS DESIGN STUDIO [ ] お前ら全員めんどくさい! 出版:ほるぷ出版 装丁:BALCOLONY. [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【新装版賞】 ゆるゆり 1巻 / なもり ▲ 百合姫コミックスが普通のコミックスよりひと回り大きいA5サイズから、青年コミックスでお馴染みのB6サイズへシフトを始めた2015年。単行本がA5サイズで13巻まで出ていた『ゆるゆり』も、1巻からB6新装版として刊行された。紹介する1巻を新旧並べてわかるように、背景色を白のままに、ロゴデザインやイラストの構図が旧版の流れを汲む新装版になっている。旧1巻発売から新1巻発売まで約2年8ヶ月、この期間を長いとみるか短いとみるか、比べて思ったのは「強くてニューゲーム」。新装版では、作者の自画像キャラであるクラゲがお茶目にロゴに組み込まれている。 百合男子も新装版をゲットした模様。ちなみに旧版11巻時点でロゴやデザインはリニューアルされてるが、11巻以降の新装版についても当然のように描き下ろしイラストを使用。相変わらず仕事量が恐ろしい。 出版:一迅社装丁:BALCOLONY. [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【アンソロジー賞】 大斬―オオギリ― 西尾維新原作読切集 / 暁月あきら,小畑健,池田晃久,福島鉄平,山川あいじ, 中山敦支,中村光,河下水希,金田一蓮十郎 西尾維新が9本の御題を元に創造した原作を9名の漫画家が各々の個性をもって描き切る、短編漫画集。大斬、つまり大喜利。『週刊少年ジャンプ』『ジャンプSQ』『週刊ヤングジャンプ』『別冊マーガレット』四誌合同企画。 特大タイトルでエリア分けして文字の隙間に嵌める形で漫画家9名のイラストを競演させた表紙。金の箔押しも多く、お祭り感覚でとても豪華。 アンソロジーの単行本は代表作家の一人がカバーイラストを担当することが多く、表紙としてまとまるのは当然として、イラストを描いた漫画家のイメージが本について、中身全体としてギャップが出ることも(超主観)。一方、収録されている作家のイラストを全部組み合わせるというのはおそらく面倒だし難しい。そういうのをやってしまったのがこの単行本で、エリア分けが結構強引な気がしないでも無いけど、そこにも勢いがあって西尾先生らしさも出ているように思える(小説など読んだことがない状態でとりあえず言ってみる)。 出版:集英社装丁:L.S.D. シマダヒデアキ [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【実写化賞】 俺物語!! 10巻 / アルコ,河原和音 毛色が違う、紹介したい方法も違う9巻と10巻。どちらを紹介しようと迷った結果、ランキングと別枠とで2回紹介してしまうことにした『俺物語!!』。10巻と並べて紹介するのは映画ノベライズで、10巻と構図、デザインをあわせている。30キロの増量で、コスプレの域を超えてリアル猛男を誕生させた主演・鈴木亮平。10巻とノベライズがコラボするようにここまで寄せられたのは役作りに定評のある主演の役者魂あってのものと言えるかもしれない。 ちなみに5月14日に公開される「変態仮面」第2弾、こちらも主演・鈴木亮平。新装版と映画ノベライズをこんな感じで出してください。 出版:集英社装丁:川谷デザイン [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【HO★MO★SHOW!】 手巻き寿司課長と覆面男 / 山口ツトム 作品内容は裏表紙参照↑な「エロス狂気の痛快コメディ」。この企画では基本的にBLを紹介していないため、「バイキンマンが天丼マンの中身を貪り尽くすのをBLとは言わない」という詭弁を考えていたものの、前回「ホモ賞」を作っていたのでその枠に入れればいいか的な作品。 「この商品を買った人はこんな商品も買っています」に映画泥棒の写真集が真っ先に表示されるのもさもありなんと思える手巻き寿司頭の課長。頭に盛られた大粒のいくら、潰れて滴り落ちたいくらの雫はUV厚盛りで、艶めかしい光沢を放っている。▲ 見返しには突っ込みどころの多い作中の台詞を袖に、ぎりぎり重ならない範囲で大きく配置。 隣にはカラーイラスト。▲ 次のページには見返しの続きの台詞を、見返しとは逆に小さく配置。 次にタイトルページ。 目次はあえて区切りよく改行しないことで斜めに中黒丸が並んで目立つ。 そして本編。印刷は紫色。▲ 奥付。見返しには、袖で隠すようにオマケイラストを仕込んでいる。 カバー下本体。 「カバー下なんて誰も覗かない」系のおまけネタの仕込みとデザインを両立。 帯付き表紙。 表紙のインパクトもさることながら、本編開始まで1ページ1ページのデザインを大きく変えた遊びの多い構成、紙選び、印刷など豪華で見所の多い1冊。ばかばかしくて勢いがあって楽しめて課長がちょっと好きになってしまったけれども、中身のオススメは特にしない。 出版:ふゅーじょんぷろだくと装丁:コードデザインスタジオ [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【装丁まんが賞】 まんがの装丁屋さん 1巻 / 小石川ふに ついに登場した、マンガ装丁にスポットをあてた4コマ作品。 頬杖をつき、赤ペンを上唇に挟んで憂鬱な表情を浮かべるデザイナー。カバー全体には赤紫で辞書のように、マンガ装丁に関係のある用語とその説明を、小ネタを挟みつつ散りばめている。 袖に入るデザイナーの名前には「カバーデザイン:」「装丁:」と添えられるのが一般的だが、この作品では中身にちなんで「このまんがの装丁屋=」と少しお茶目な表記を取っている。扉には自分で作品の表紙別パターンを眺めるメタなイラスト。背景色違い、タイトルのフォント違い、ペンの角度の違いなど、このページだけでもまんが装丁にちなんだネタが楽しめる。 人物紹介のページは赤ペンで修正の入った原稿の体裁を取っている。 カバー下には、実際のデザイン事務所の風景とネタの多い解説。他にもカバーデザインの打ち合わせの様子やラフ案がわかるおまけ漫画など、マンガ装丁に着目した作品として期待してしまうネタが盛りだくさんな1冊。 作者は漫画家であると同時に、前回の記事では『パレードはどこへ行くの?』でも紹介しているようにデザイナーでもあるが、本作品では漫画家に専念しており、装丁を担当しているのはBALCOLONY.さん。デザイナーがデザインに関する漫画を描いて他のデザイナーがデザインを担当する構図がコラボ的というか、なんとなく豪華で良い。 出版:芳文社装丁:BALCOLONY. [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【良いコミック賞】 櫻井大エネルギー / 櫻井エネルギー エロマンガ雑誌にある「一般マンガ枠」の作品、その1。徹夜明けのハイテンションでひたすら狂気を突きすすむようなギャグ短編集。作者の名前を取り入れたタイトルは人物イラストと絡ませつつ特大に配置。「エネルギー」の勢い良く伸びた横線、白、ピンク、黄色のとにかく明るい色選びと不純物の混じった胡散臭い装飾アイテムの日本らしさが合わさり、作中の異様なテンションが上手く表現されている。 <▲ 見返しと扉は水色。 「エネルギー」の横線は2ページをまたがって通常よりも広い袖まで続いており、 袖を取るとさらに長く伸びていく。 <▲ 終りの見返しも同様の水色+タイトル。 カバー下には黄色ベースの濃い登場人物。 帯付き表紙。 ピンク、水色、黄色と全体的にビビッドな色使いで明るく、 文字通り大きなエネルギーを感じられる1冊。 出版:ワニマガジン社装丁:VOLARE 星野ゆきお [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【良いコミック賞】 だいたいめる子 / 縁山 エロマンガ雑誌にある「一般マンガ枠」の作品、その2。『櫻井大エネルギー』を買っていてこのブログをよく見る方は大体こちらも買っている気がしているワニマガジン社仲間のCOMIC X-EROS巻末・ショートコメディ。 ピンクと黄緑のペンキのような何かで満たされた空間の中に、キャラや本編ネタが乱雑に放り込まれたカオスな表紙イラスト。黒い大きな円の中にはタイトル作者名、また小さい円を作ってキャラ名を入れている。▲ 見返し+扉。見返しは、カバーイラストと交じり合うようなピンクと黄緑のマーブル模様の空間、そして扉はキャラが空間から抜け出てきたような演出。 目次も黄緑、ピンクそして黒い円を使った構成で人物紹介を兼ねており、レギュラー3人の伸長差を強調している。 そして1Pマンガ、本編の繰り返し。区切りのように使われる1Pマンガには、これまでと同じ感じのマーブル模様。▲ ラストの見返しも同様にピンクと黄緑のマーブル。 こんな感じでどろっとしたマーブルによる一連のデザインが印象に残った1冊。 ちなみにカバー下にもこの空間を「カオスの海」「この漫画の全てを生み出した混沌」として メタなネタを扱ったオマケ漫画が収録されており、kindle版での扱いはわからないが、 デザインの流れでカバーの下に隠れていてこそのおまけだよな~と思ったりもした。 出版:ワニマガジン社装丁:arcoinc 楠目智宏 [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■【良いコミック大賞】 ビーンク&ロサ / 模造クリスタル (★ ) 放棄されたキャンピングカーに住み、怪人の一味の手伝いをする少年・ビーンクと 少女・ロサの日常を シュールな脱線多めで描いた作品。 最後は装丁の良さと内容の良さが自分の中でごちゃっとしているので 全体をさらっと見てもらって終わります。▲ 見返しには肉。第2話が焼肉回。 目次。▲ お話の開始ページ。ページのコマの外左下に話数、コマの外右にタイトル。▲ 奥付には作中登場のぬいぐるみ。文字情報は、ぬいぐるみにあっぱくされるように狭いところに敷き詰められている。 袖の下には、本体価格が税別822円なので税込み888円という主張。 カバー下は黒地に蛍光色のイエローでタイトルと三角が描かれている。 そして帯付き表紙。おしまい。 出版:イースト・プレス装丁:コードデザインスタジオ [ ] □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ という感じでお送りしました、 良いコミックお気に入り装丁紹介企画『この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2015』。 2016年の特集でまた逢いましょう。
関連記事
スポンサードリンク
2016年03月22日 |
この装丁がすごい!
| コメント 0件
| トラックバック 0件
| TOP
コメント
コメントの投稿