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とある殺戮の天使が巨人の世界に迷い込んだそうです 作者:二野瀬諷
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知らない異世界へ。

初投稿です。別のサイトで東方の二次創作もやっていたのですが失踪してしまい新しくスタートしようと心機一転して頑張っていこうという形になりました。まだまだひよっ子なのですが温かく見て下さると幸いです。では始めていきましょう!
「──────!!」

どこからか声が聞こえる。真っ白な中どこからか声が聞こえる。私はその声でゆっくりと目を開けた。

「──────!!おい!おいレイ!!」

「………ん、ザッ……ク?」

「早く起きろよ。どーやらめちゃくちゃなことになってんぞ!」


少し起き上がってみると私達はどこかの森の木の上にいた。

「えっ…。なに、これ」

「なにこれ、じゃねーよ。それはこっちが聞きたいぐらいだよ。俺もお前も意識が朦朧としてて気づいたら二人揃ってここの森に寝てたんだからよー」

あとでザックに聞いてみたところ、ザックが目が覚めた時には既にここにいたらしく私が起きるのを待っていたとのことだ。

…そうだ。私達はあのビルから出ようとして階段を上がりきったところでカウンセラーだったダニー先生に襲われたんだ。ってことは、私は助かったの…?それに、ザックも無事…?

しかも銃で撃たれて致命傷だったはずの傷が治っている。ザックの傷もどうやら治っているようだ。なんで…?

「おい!なにボーッとしてんだよ。そんなことよりあれみろあれ」

「ん…?」

ボヤける視界がだんだんとはっきりと見えるようになる。それと同時にこの世では考えられないような物を目撃してしまった。


「……。巨人?」

身長がどれくらいあるだろう。10mくらいはあるだろうか。童話とかでしか見たことのないような全裸の大きな巨人が自分たちから200mくらい離れたところでヨタヨタと歩いていた。でもなにか違うような雰囲気も感じる…。

「なんだよあれ…。あのビルのこともそうだったがもうこれわけわかんねえ…。でもよ、あんな見たことないでけえやつなんかよお、めちゃくちゃ殺しがいありそうだな!!」

ああ、やっぱりザックはこういう感じなのか。

あの時。ザックは私に誓ってくれた。




…お前に誓って殺してやるよ!



そして私はそれに対し、誓いはいつもじゃなくても、いいんだよ。こう返してそこから記憶は途絶えている。どうやらまだ誓いは守られているようだ。ほっとするような、今置かれている状況に動揺を隠せない気持ちもある。

「…レイ?まーだそんなつまんねえ顔してやがんなあ。んなことより今どーするべきかを考えろよ!」

ああ、そうだ。今この時を何とかしなければ私たちにの誓いも続かない。

「ザック。今は少しここから動かないほうがいいと思う…。たぶんだけど、今いるここは、私たちの知る世界じゃない」

「ああ!?んじゃあこのままずっとここにいろってか!?冗談じゃねえぞ!」

「そうは言ってない。ただ今だけ様子を見たいの。あの巨人がどう動くのかも見たいし」

「俺は今にもあいつをぶっ殺してみたいけどな!」


…なんといえばいいのやら。ザックにとって正体不明の巨人は恐るるにも足らないようだ。それは私にとってとても心強いものなのだけれど同時に正面から突っ込みやられるというシーンが思い浮かんでくる。純粋なのはいいことだけどここまでくると単純と言いたいものだ。

とにかく私達はしばらくあの巨人の様子を観察することに決めた。巨大な木が並ぶ林、というか森なのだろうか。巨人がいるところはちょうど広い空間があり、真ん中にはまた巨大樹が一本そびえ立っている。そこら中を行ったり来たりし、たまに走ってどこかに消えていくような面もあり、行動パターンはいまひとつ掴みにくいというのが正直なところだ。

それから二時間弱その巨人は姿を現さずどこかへ出ていったままで、私とザックは木の上から周囲を見たりしていたのだが、今のところ異常は見当たらず、何もすることがないのでついにザックが痺れを切らしてしまった。

「あーーーこんな暇なことってあるかよ!!しかもビルから脱出しかけた時からなんも食ってねえし腹減ったしよお」

少しは警戒するということを知らないの、と言いかけたがザックにこの言葉はいらないなと改めて思い、言わないでおいた。

あ。そーいえばポシェットの中にあれがあったような気がしたな…。

「ザック。お腹が空いてるならポシェットの中にザックのフロアから持ってきたポテチがあるよ」

「おお!!ナイスじゃねえかくれくれ!」

ポテチを渡すとザックはそれを貪るようにむしゃむしゃと食べ始めた。

……。あ、そういえば私もちょっとお腹空いちゃったな…。

「………」

私がザックを見ていると途端にザックが食べるのをやめてこっちを凝視してきた。

「…なんだよ。お前も食いたいなら食えばいいじゃねえかよ」

「え、いいの?」

「あたりめーだ。お前が腹減りで動けなきゃこっちが困んだよ。…あとは、まあ…なんだ、持ってきたのはレイだしな」

「ありがとザック。…いただきます」

いただきます。この言葉はいつ以来だろうか。小さい頃家族でディナーをしていた頃からだろうか。成長していくにつれて両親は仲違いをするようになり、しまいには父親の家庭内暴力に始まり、母親は病んで壊れてしまっていた。私もその情景をずっと目の当たりにし、何が正しいのか全部が全部わからなくなり自分の理想とする物を欲しくなり父親を殺し、両親とを縫い合わせてしまった過去があるが。食べながらそんなことを思ってしまっていた。

「…考えてみればポテチって食べたことなかったんだけど、これおいしいね」

「だろ?俺の人生の中でのベストフードだよ」

「それはそれでどうかと思うけど…」

そして気がつくとポテチの袋は空になり、間食程度のものとなってしまったが一応食事を済ませた。

「さーて、また暇になっちまったな。これからどーするんだよレイ」

「そうだね。まずは簡易的なものでもいいから生活できる環境を見つけないと…。この森を抜けたところに人が住んでるところがあるといいんだけど」

「ほんとにずっとこんな木の上のままじゃおかしくなりそうだったぜ。そうと決まったらさっさと行くぞ?…でもあの巨人見っけてぶち殺してみてえなあ」

「あ、そういえばザック。ビルで鎌は壊れちゃったんでしょ?いざとなったとき武器がないと危ないよ」

「あー…」

ザックの鎌は岩を砕いたときに既にボロボロになってしまっている。武器がない状態のままであの巨人や野生動物なんかに襲われたらきっとザックでさえひとたまりもないはず。でもここに武器なんてものはないと思うし……。あれ?

「ザック、あれみて」

私が見つけ指を指したのは広い空間の真ん中にある巨大樹。巨大樹には幹に大きな凹みがあり、とても奇妙な雰囲気を出している。その下に剣のような物が落ちていたのだ。

「うお!いいもんあるじゃあねえかっ…!」

「あ!ザック危ないよ!」

「よっと!!」

静止したのだがそれと同時にザックは20mくらいある高さから飛び降り、鮮やかに着地を決めたのだ。…まったく、心配がほんとに要らない感じにするのが得意なんだから。

ザックは剣に近寄り、それを手にして感触を確かめるように眺めていた。

「おー…。なんかよさげじゃねえか?柔軟性はあるが切れ味はよさそうだなっ!」

「ザック!あの巨人が戻ってくる前に早く戻ってきて!」

「あー?わぁーってるよもう少ししたらいくから…」

ザックがこっちに戻って来ようとして後ろを振り向いた。ほんとにその時だ。


「…グォオオオオーーー!!!!」

「うぉおおっと!!!」

「ザック!!!」

一瞬。ほんの一瞬ザックが巨人を見つけて避けるのが遅かったら。ほぼ即死だったであろう。その巨人はすごい速さで走ってきてザックの目の前に現れ襲いかかってきたのだ。

「…ふぃー。…あぶねえじゃねえかこの野郎…!!」

「ザック!!逃げて!!」

「任しとけレイ!こいつは俺がぶっ殺す」

あー…これは止めても無駄な感じだ。ザックの中のスイッチが入ってしまったのであった。

「危なくなったらいつでも戻ってきて!!」

こうなったらこれを言うしかない。さすがのザックでも身の危険は感じれるだろうから大丈夫だとは思うけど…。

「わぁーってるよ知らねえ敵だしな。ちったあ慎重にいく」

「グオオオーーーッ!!!」

「行くぜこのデカブツ野郎ッ…!!」

ザックはすぐさま剣を構え巨人の攻撃を避けると間髪入れず足に切れ込みを入れ、その後もニ、三回次々と切っていく。

「どーだよお切れ味抜群だろぉ!!」

「グオオオアアーーッ!!」

たまらず巨人がザックを掴みにかかるがそれをしっかりとザックは避け、少し距離をとるような形になった。

「ザック!大丈夫!?」

「おー!こっちはまだ余裕だけどよお…」

「大丈夫だけど…?」

「ちょいと面倒くせえことになりそうだぞこれ。切り込み入れたあいつの足みろ!」

「えっ…?あっ!!」

そこにはまた驚きを隠せない光景があった。なんと巨人の足の傷が徐々に回復しているのだ。ザックも驚いた表情でそれを見ていた。

「だけどよお…!こんな力があるんだったらやりすぎのうちに入らねえから最高じゃねえか!絶対ぶっ殺してやんよ!!」

その後もザックは巨人の攻撃を器用に避けつつ切り込みを入れていく。しかし巨人も大きいので足がどうしても中心的になるため、巨人が倒れるのを待つしかなかったのだ。

(どうしよう…。このままだとザックの体力の消耗が心配…。あの回復力じゃいくら切っても倒せない。なにか弱点とかないのかな…)

「ああもうくっそ!!!いくら切ってもぶっ倒れねえいい加減にしろよ!!」

「ザック!!これ以上は危険だよ!」

「しゃーねーこうなったら…」

(ダメだ、聞いてないっ…!)

木の上から叫ぶがそんなのはお構い無しにザックは再び体制を立て直し、巨人に向かって走っていく…かと思いきや。その走る方向は巨大樹にあった。

「うおおおお!!!」

ザックはなんと巨大樹を全力で走って駆け上がり、木を蹴ってその反発で巨人と空中で接近し、巨人の右腕を切り落とした。

「ガアアアアア!!!!」

「どーだいてえだろ!!?」




安心したのもつかの間。



「ゴガアアアアア!!!」

なんと巨人は右腕を切り落とされた状態でもなんなくその巨大な左手でザックを掴み掛かってきたのだ。

「うおっ…!?」

「ザック!!!!」

不意を突かれザックは防御の姿勢が出来ていなかった。もうこれまでかっ…!?そう思った。次の瞬間であった。




キィイイイイン!!!



甲高い剣の音。心地よいほど綺麗な音を奏でたそれと同時に、巨人が一緒に倒れるのが見えた。

「おい、おまえら…。こんなところで何をしている?」

「あぁっ…!?」

ザックの目の前に横たわっている巨人の頭の上には。二本の剣を両腕に持ち、重装備と翼の柄のマントを身にまとった目つきが怖い人間が立っていた。
なんとか書ききれたことがよかったですね。これからどうしようかと悩んでいるところで難しいのですが頑張って書いていこうと思います。あとやっぱりザックはかっこいいよね。みんなも思うでしょ。笑

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